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ピクサーが『星つなぎのエリオ』で描いた孤独との向き合い方

始めは空しか見ていなかったエリオ
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 ディズニー&ピクサー最新作『星つなぎのエリオ』のマデリン・シャラフィアン監督とドミー・シー監督がインタビューに応じ、それぞれに孤独を抱えた登場人物たちを描いた本作について語った。

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 『星つなぎのエリオ』は、両親を亡くして地球でひとりぼっちの主人公エリオが、何光年も離れた星で、本当の居場所、大切なつながりを見つける姿を追ったファンタジー・アドベンチャー。昨年『インサイド・ヘッド2』で「不安」という感情を深掘りしたピクサーは、本作ではきらめく宇宙が舞台の心躍る冒険を描きながら、現代人が抱えてしまいがちな「孤独」という感情との向き合い方を突き詰めている。

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 「孤独」は、特に新型コロナウイルスのまん延後に世界的な問題となった。シャラフィアン監督は「わたしたち全員が孤独を抱えています。本作の制作のために、専門家、心理学者、そして公衆衛生局長官にも話を聞きました」と徹底したリサーチをしたと明かし、「わたしたち個人にとってもためになりました」と笑って打ち明ける。「わたしたちが聞いたのは、『どうすれば孤独のサイクルを打ち破れるのか』ということ。それは大人にも必要なことですから。そして、そのうちの一つが『自分以外の誰かに手を差し伸べること』でした」

 シャラフィアン監督は「とても孤独だと、すべてが内を向いてしまいがちです。だからわたしたちは、エリオがこの旅路の中で、彼自身を超えて物を見られるようになっていくようにきちんと描こうとしました。映画の初めの方では、彼は周囲の人を誰も見ていません。(親代わりの叔母の)オルガのことすら見るのを拒んでいました。唯一見ていたのは空だけ……。物語が進む中で、彼のボディランゲージからも、彼が人の顔を見ることを学んでいくのがわかると思います。それについては本当によくリサーチしました」と振り返った。

星つなぎのエリオ
ドミー・シー監督とマデリン・シャラフィアン監督

 きらめく宇宙を舞台にした本作には、シー監督とシャラフィアン監督をはじめとした製作陣のSF映画愛もたっぷり込められている。シー監督は「この映画全体が、SF映画へのラブレターになっていると思います。わたしたちは『未知との遭遇』『E.T.』といったスティーヴン・スピルバーグ作品の大ファンですし、『コンタクト』(ロバート・ゼメキス監督)といった映画も。宇宙が怖くてダークな場所ではなく、『人生の全ての答えはそこにあるのでは?』と思わせるようなポジティブな、憧れの場所という点、そして未知のものに対する神秘的な感動という点で、『コンタクト』からとてもインスパイアされました」と明かす。

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 シャラフィアン監督も「一番大きなインスピレーションになったのは『E.T.』かもしれません。少年とエイリアンの友情というストーリーの面でも、ビジュアルの面でも」と続く。スピルバーグ作品の影響を受けて本作はアナモフィックスレンズで撮影したといい、「コンピューターの中でですが、それでもわたしたちは“本物の”カメラレンズを使っているんです。『E.T.』やスピルバーグ映画、それより古い1970年代、1980年代の映画の、ちょっと霧がかっているような雰囲気。わたしたちはそれが好きで、そのレイヤーを映画全体に与えて、豊かさや、ほとんどノスタルジアを感じさせるようにしました。とても美しくなっていると思います」と現代における古き良き時代のSF映画の再現に自信をのぞかせた。(編集部・市川遥)

映画『星つなぎのエリオ』は公開中

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