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『近畿地方のある場所について』モキュメンタリーの名手が明かす“ヤバい映像”の作り方 意外な重要ポイント

『近畿地方のある場所について』
『近畿地方のある場所について』 - (C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

 人気ホラー作家・背筋氏の同名ホラー小説を映画化した『近畿地方のある場所について』(全国公開中)。モキュメンタリーと劇映画の巧みな融合で本作の映像化に挑んだ白石晃士監督が、かつてないほどのフェイクドキュメンタリー映像を制作したという裏側を背筋氏に明かした。

【動画】菅野美穂が大変なことに!『近畿地方のある場所について』本予告映像

 本作は、背筋氏が「カクヨム」で連載したホラー小説の映画化。失踪したオカルト雑誌編集長の特集を引き継いだ編集者・小沢悠生(赤楚衛二)と、特集への協力を求められたオカルトライター・瀬野千紘(菅野美穂)が、編集長が集めていた資料を調べるうちに、“近畿地方のある場所”にまつわる怪異に迫る。

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 雑誌記事や新聞、インタビュー、ネット掲示板のログなど、さまざまな形で残された怪異で構成された原作小説は、バラバラな情報の断片が恐ろしい“呪い”へとつながっていく考察系ホラー。映画では、それら情報の断片を白石監督がモキュメンタリー方式で映像化。千紘と小沢が再生する資料映像として劇中に登場する。

 『ノロイ』『オカルト』『戦慄怪奇ファイル コワすぎ!』シリーズなど、モキュメンタリーホラーの名手としても知られる白石監督。本作でも、ホームビデオ映像に配信者の突撃動画、往年のバラエティー番組やワイドショーの映像など、あらゆる手法で原作のエピソードを映像化。そのどれもが、本物の“ヤバい映像”を見てしまったような気分になる。

ヤバすぎる映像の数々が、やがて何かにつながっていく…(C)2025「近畿地方のある場所について」製作委員会

 圧巻のリアリティーで迫る恐怖映像をリアルに仕立てる苦労について、白石監督は、芝居を芝居に見せないことが最も難しいと語る。

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 「今回の『近畿地方のある場所について』は劇映画として始まっていますが、それでもリアリティーがあったほうが説得力が増すので、(モキュメンタリーパートは)あれ? この映像だけ本物なんじゃないの……って思わせるくらいものにしたいと思っていました。そこで今回もいろんな映像を作りましたが、どれも共通して大変なのは、“芝居”の部分ですね」

  「技術的な部分は、仕上げの段階や美術なんかで、僕らが頑張ればいいのですが、芝居だけはどうしてもコントロールがしにくいんです。でも、1番リアリティが出るところでもあるので、現場で本当に頑張って練習して、編集段階で良かったところを使ったり、場合によっては声だけを違うテイクとはめ替えたりとか、工夫を重ねて何とかするっていうのを延々とやっている感じです」

 「そうなると今回は、たくさん子供たちが出てくる団地の『ましらさま』のシーンとか、林間学校のパートが一番大変だったかもしれません。やっぱり出演者の人数が多いので、リアルさを保つのが難しい。ちょっと気を緩めると芝居っぽくなっちゃうし、何度もやり直すと子供だから疲れてテンションが落ちてしまう。だから『ここだ!』っていう瞬間を見極めて撮影するのが一番大変でした」

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 また、カメラマンに「上手すぎない映像」を求めたことも印象的。白石監督は「よくあることなんですが、今回の撮影の高木風太さんも劇映画のカメラマンなので、いいカメラワークで、いい画を撮る癖がついてるんです。でも、劇映画的な美しい構図や動きが見えると、作り手の作為のようなものが出てしまう。そうすると、“何かが映り込んでいた”ように見えないので、わざと下手に撮ってもらうようにしました。そのシーンにおいては、下手にすることが美しく撮るということなので」と語っている。(編集部・入倉功一)

映画『近畿地方のある場所について』は全国公開中

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