福山雅治「ガリレオ」東野圭吾と再タッグでダークヒーロー役　有村架純「圧倒的でした」

　俳優の福山雅治が11日、東京ポートシティ竹芝で行われた映画『ブラック・ショーマン』完成報告会に出席、本作で挑んだダークヒーロー役について語ると共に、共演者の有村架純に対して「実力のある方」と絶大なる信頼を寄せるひと幕があった。この日は田中亮監督も登壇した。

【トークノーカット動画】福山雅治＆有村架純『ブラック・ショーマン』 完成報告会

　東野圭吾の小説「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」を実写化した本作は、元中学校教師の父親を何者かに殺された女性・神尾真世（有村）が、卓越したマジックの技と人間観察力を誇る元手品師の叔父・神尾武史（福山）と共に事件の真相を追うミステリードラマ。

　昨年10月にクランクインした本作は、今年の5月下旬にクランクアップ。まさに完成したばかりの映画を鑑賞してきたところだという福山が「ずばり面白かったです。大変楽しめました。スピード感もあって、テンポも良かった」と語ると、有村も「すごく迫力も感じましたし、テンポの良さも感じました。ひとつのミステリーエンターテインメント作品に仕上がっていて。また劇中でかかる音楽も、こちらを疾走感あふれる気持ちにさせるというか。そうしたトータルバランスがしっかりしていて。各ピースがパチッとハマるような作品になった」と語った。

　原作者の東野が原作を執筆したきっかけとなったのは、福山の「ダークヒーローを演じてみたい」という言葉だった。福山には、長らく東野原作の「ガリレオ」シリーズで天才物理学者・湯川学を演じる中で、「もし湯川がダークサイドの人間だったら」という考えがあったという。「幸いなことに湯川さんは正義側の人でしたが、人間の感情にはあまり興味がなく、事件が面白いか面白くないかということだけで事件に向き合っていく人でした。もし、湯川さんがダークサイドの人だったら。ともすると湯川さんのそういった人間性というのはダークヒーローっぽい側面もあるのかなと思いながら演じさせてもらっていました」といい、東野への言葉について「それで、そちら側に触れた感じで描いたものは面白いんじゃないですかね、ということを言わせていただいたんじゃないですかね」と振り返った。

　今回、バディとなる有村とは初共演。有村の印象について、福山は「本当に実力がある方。今回の神尾武史というキャラクターは、非現実的なところが多分にあって、だからこそ面白い存在なんですが、その非現実世界を現実をつないでくれる存在が有村さん演じる真世。彼女がこの映画の世界、神尾武史というキャラクターにリアリティを持たせてくれる存在だった」と絶賛する。

　さらに「有村さんは、心からの芝居、心と同時に体が動くということを、最初からブレずにずっとやっていらっしゃったので。今回はそこに甘えさせてもらった。それで自分もより自由にやれるようになった」と福山から絶大な信頼を寄せられた有村は「恐縮です」と返答する。

　そのうえで、有村は「実は以前、報知映画賞の授賞式でごあいさつさせていただいた時に『いつかご一緒できたらいいですね』とお話をさせていただいたら、まさかこんな大きな作品でご一緒させていただけるとは。しかも、かなうのがかなり早かったなと。ご縁があって良かったなと思いました」と述懐。

　そして実際に共演してみて「福山さんが歩まれてきた歴史を感じたというか。ドラマの世界でも映画の世界でも、時代を築き上げて、先頭をきって歩いてきてくださった方。もちろん気持ちを込めて芝居をするというのは大前提なんですが、プラスアルファ、こういうこともできる、ああいうこともできる、こんなことも考えられる、あんなことも考えられる。とにかくご自身が持っている武器みたいなものを駆使して撮影、お芝居されてるのを見て圧倒的でした。圧倒的な存在でした」と絶賛すると、福山も笑顔で「恐縮です」と返していた。

　今回、元・超一流マジシャンを演じた福山は「雨の日も風の日もひたすらコインを持って、体に馴染ませるまでずっと練習の日々でした」と振り返る。田中監督は「福山さんとは準備段階から何度も打ち合わせをさせていただきました。武史という役柄についてや、この原作をどうやって映像化していけばいいかというお話もできた。もちろん“スター・福山雅治”さんではあるんですが、勝手ながら一緒に作っている制作チームのひとり、仲間として頼りにさせてもらった」と福山も含め、チーム一丸となって作品に臨んだと語っていた。（取材・文：壬生智裕）

映画『ブラック・ショーマン』は9月12日より全国公開