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橋本愛、4作目の大河でクランクイン前の所作指導ナシに 3度目の妻役は「これが最後の気持ちで」

橋本愛演じる蔦重(横浜流星)の妻てい
橋本愛演じる蔦重(横浜流星)の妻てい - (C)NHK

 横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(毎週日曜NHK総合よる8時~ほか)で主人公・蔦屋重三郎(横浜)の妻ていを演じる橋本愛。大河ドラマへの出演は「西郷(せご)どん」(2018)、「いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~」(2019)、「青天を衝け」(2021)に続いて4度目、主人公の妻役は3度目となる橋本が役づくりを振り返るなか、本作ではこれまで大河ドラマで培った経験が実を結び、所作指導が入らなかったことを明かした。

【画像】おていさん(橋本愛)の表情に変化…これまでの歩み

 橋本演じるていは、市中の本屋の娘で謹厳実直で控えめな性格。父から受け継いだ本屋が元夫の吉原通いのために傾いて店じまいを余儀なくされ、その土地を蔦重(横浜)が買い上げ「耕書堂」をオープン。初めは蔦重に反発していたが、「本」に対する彼の真摯な思いに共鳴し、やがて夫婦となる。

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 「西郷(せご)どん」では吉之助(のちの西郷隆盛/鈴木亮平)の最初の妻、「青天を衝け」では渋沢栄一(吉沢亮)の妻と、これまで大河ドラマで主人公の妻を2度演じている橋本。本作で出演をオファーされた際、喜びと同時に不安もあったという。

 「またご縁があるのがとても嬉しくて。大河ドラマのように長い作品もないですから、役柄に対しての愛情はやはり段違い。大河ドラマで今まで演じてきた役はどれも大好きで、未だに日常生活でその魂が残っていると感じるぐらい強く刻まれるというか。収録は大変ですが一つの役を集中して演じられることはとても好きですし、ありがたいです。ただ、主人公の妻という役柄が重なってきてはいるので、視聴者の方に飽きられてしまうのではないか、否定的な気持ちを抱かれる方もいるのではないかとも。もちろんこれまで演じてきた役柄とは全く違いますが、全く違うように見えるように意識して演じたいと思いましたし、主人公の妻役はこれが最後だと思うぐらいの気合いで演じたいと思っています」

 3度目の妻役にプレッシャーを感じる一方で、これまで大河ドラマで培った経験が報われることもあった。それが時代劇での「所作」だ。

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 「(大河ドラマで)1番初めに出演させていただいたのが「西郷どん」で、その時は時代劇の経験も初めて、というくらいのレベルでした。『いだてん』『青天を衝け』まで、所作指導の先生にたすきの結び方、畳の歩き方など、0から教えていただいたのですが、ついに『べらぼう』から、クランクイン前の所作指導がなくなったんです。畳のへりを踏んではいけないといったルールですとか、お着物の着こなし方なども、最初の頃よりは身についてきた実感もあって。とはいえ、少しでもお着物に慣れたいと思ったので、収録前から日本舞踊に通い始めました。おていさん自身が踊りを習っていたかはわかりませんが、習っていなくても、どこか凛とした所作が表現できればいいなと。身体表現が好きなのですごく楽しんでやっています」

 所作指導が入らなくなったからといって現状に甘んじることなく、ストイックかつ柔軟に取り組む橋本。なお、ていは大の本好きだが、橋本自身も書評の連載を担当しているほどの読書家。それゆえ、役に親近感もあるようだ。

 「わたしは基本的にずっと大笑いしてるタイプの人間なので、笑わない表現は難しく感じますし、わたしも真面目だけれど常にほどよい緩さを意識しているので、ていさんのような堅さはあまりなく、ギャップは多々感じています。でもだからこそ自分のクリエイティビティーが試されているようで、日々楽しんでいます。共鳴する部分は、蔦重さんの“書をもって世を耕す”という作品の根幹とも言えるような信念もそうですし、おていさんが和尚さんとの会話で話していた、本で子供たちや読んだ人の人生を豊かにするという思い。それはわたし自身が実感を伴って大切にしていることです。本に限らず映画やさまざまなエンターテインメントによって人生を豊かにしてきてもらったことに、どこか恩のようなものがあって、その恩返しをしたい気持ちもあります。加えて、エンターテインメントを作る側の人間として、社会を変える力があると心から思っているからこそ、その力を雑に扱ってはいけないと、常に覚悟を持って取り組んでもいます」

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第25回よりてい(橋本愛)、蔦重(横浜流星)

 ていと言えば、トレードマークのメガネ。これはていの父が視力の弱いていのためにあつらえたもので、今では橋本自身「おていさんの扮装になると、メガネがないと恥ずかしい」と感じるぐらいなじんでいるという。

 「もはやメガネをつけている方が落ち着くぐらいです(笑)。メガネはおていさんにとって父親からもらったギフトであり、相棒のような大切な宝物。その点は前提として意識していますが、一方でメガネに頼り過ぎたくない気持ちもあり、自分でどうこうすることは考えないようにしています。基本的には演出の方の判断におまかせしていて、例えば第25回(6月29日放送)では、おていさんが照れ隠しから指でメガネを持ち上げる仕草がありましたが、あの場面も演出の方のディレクションです。これから先もメガネを活用したシーンが出てくる予定なのですが、なぜおていさんがそこでそんなことをするのかわかっていなくて、今のところ大いなる謎です(笑)」

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 脚本の森下佳子が描くていの人物像が橋本のモチベーションになっているようで、これから先、蔦重との夫婦関係が新たなフェーズに突入するにつれ、一層役への愛着が増していくと話す。

 「森下さんの台本は、女性のキャラクターを主人公のために機能する存在ではなくて、ちゃんと自分の人生を生き抜いているところを描いてくださるのがとても好きで。おていさんに関しては特に、瀬川さんや誰袖さんと比べると、妻という立場上、当時の時代の背景を鑑みても能動的に、主体的に生きる姿を描くのは難しいのではないかと思うんです。この作品に限らず、わたしは演じる役が誰かを支える、誰かをサポートする役回りであっても、常にその人自身の主体的な生きざまをお芝居に反映できるように意識しています。まだ収録できていないのですが、これからおていさんがどんどん1人の女性として自立していきます。今でも言うべきことは言っているおていさんですが、より強く、幹が太くなっていくような。“もうこんなことを言い合うようになったんだ”と驚くようなシーンもあって、蔦重さんと衝突したり、意見を言い合うことで関係が深まり、対等な関係性になっていくのでそれが楽しみにしているところでもあります」

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 橋本にはもう一つ大きなモチベーションがあるといい、「大河ドラマの最終話まで立ち会わせていただくかもしれなくて、それが初めてなんです」と目を輝かせる。

 「あくまで多分……ですけどね。途中参加も初めてなのですが、最後の方まで出させていただくのも初めてで、それはものすごく楽しみにしていて。きっと言い表し難い感慨に襲われるだろうなという予感もありますし、大きく長い川を流れてきたような体験が必ず今後に活かされるだろうなと。長い間一緒にやってきたスタッフ、キャストの皆さんと共にゴールテープを切れると思うと、嬉しいです」

 加齢表現にあたって思い返されるのが樹木希林さんの言葉だという橋本。「樹木さんが30代くらいの時におばあちゃんの役をやられた時に“普通、役者さんは背中から曲げるけど、違うのよ、腰なのよ”とおっしゃっていて、それ以来“腰、腰”と自分に言い聞かせていて。今回も意識していきたいと思います」と先人の言葉をかみしめていた。(編集部・石井百合子)

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