細田守、芦田愛菜、岡田将生、ベネチア国際映画祭に登場!『果てしなきスカーレット』制作秘話を語る

長編アニメーション監督として国内外で数々の賞に輝き、観客を魅了し続けてきた細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』(11月21日公開)が、第82回べネチア国際映画祭に参加。現地時間4日の21:30から始まる公式上映を目前に、細田監督、芦田愛菜、岡田将生がプレスカンファレンス(公式記者会見)に出席し、これまでの細田作品のイメージを覆す挑戦的なテーマや役づくりについて語った。
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作品を作るきっかけについて尋ねられると、監督は「“復讐劇”の映画を作りたいと思いました。世界中の人が“復讐劇”(が描かれた作品)が好きだと思ったので、皆が見たいと思ってもらえる作品を作ろうと思ったんです」と明かし、「ただ“復讐”だけではなく、もう一つの要素として“赦し”という部分を同時に含めて、今までにない映画を作ろうと思いました」と、作品に込めた意図を語った。
主人公の王女スカーレットを演じた芦田は、役づくりのために「中世の動乱の時代を生きたジャンヌダルクやエリザベス1世などの作品や映像を見て、イメージを膨らませていきました」と話した。細田監督は「これまでのプリンセス像のような、王子様に守られるプリンセスではなく、もっと新しい、自分自身で道を切り開いていくようなプリンセス像をこの映画では表現しました」と、芦田が演じたヒロイン像へのこだわりを語った。
制作にあたり特に難しかった点を聞かれると、監督は「主人公のスカーレット(芦田)と聖(岡田)をどんな風に設定し、魅力的な人物にしていくのかという部分が難しかったです。“対比”ということに重きを置いて考えました。一人は王女、一人は看護師。その立場の違いを描くことによって、どちらも魅力的(な人物)に見えるように作っていきました」と述べた。
スカーレットと共に死者の国を旅する現代の看護師・聖を演じた岡田は、「(過去に)演劇でシェイクスピアをやったり、看護師の役を演じていたので、聖という役に関しては、自分の体に染み込んでいる状態でした」と、この役との運命的な巡り合わせについて語り、「スカーレットに対する気持ちであったり、時間であったり、そういう部分を大切にしようと演じました」と明かした。
また、「今の世界情勢を踏まえ、この作品にどんなメッセージを込めたのか」という質問に細田監督は「今、この瞬間でも苦しい思いをしている子どもが世界中にたくさんいると思います。そういう子供たちに、この世界に絶望しないでいてもらいたい。この世界が希望に満ちた世界であってほしいという願いが、一人の親として、一人の社会を構成する大人としてあります。子供たちを勇気づけるような世界になってほしいという願いを込めました」と、作品に込めた切実なメッセージを明かした。
そして、昨今のアニメーション作品と未来について聞かれると、「アニメーションの世界は非常に自由で何を表現してもいいと思います。今回“シェイクスピア”や“ダンテ”の作品を(モチーフに)映画を作るとは思っていませんでしたが、そのくらいアニメーション映画というのは新しい可能性があるということです。可能性が無限大なので、これからも面白い作品ができると思います」と語った。
会見を終え、細田監督は「(会見に集まってくださった)プレスの皆さんがこの映画を気に入ってくださって、すごくいい質問を情熱的にたくさん投げかけてもらえて、この映画についてたくさん話すことが出来ましたし、芦田さんと岡田さんが、スカーレットとして、聖として、いい回答をしてくれているのを横で聞いていて、とても感激しました」と手応えを感じた様子。芦田も「少し緊張しましたが、監督の素敵なお話を横で聞かせていただき、“そうだったんだ!”という気付きがあり、楽しい時間を過ごせました」と感想を述べた。岡田も「映画を気に入ってくださったからこその愛のある質問が多かったと思いましたし、監督のお話を聞けて僕も嬉しかったです。とてもいい時間だったと思います」と、海外メディアの熱量の高さを喜んだ。
『果てしなきスカーレット』は、『サマーウォーズ』(2009)、『竜とそばかすの姫』(2021)など数々のヒット作を手掛けてきた細田監督が、“生きる”をテーマに描く最新作。父の復讐に失敗したある国の王女スカーレットが、≪死者の国≫で、再び宿敵に復讐を果たそうとする姿を描く。スカーレットの声を芦田が、スカーレットと共に旅をする現代の日本人看護師・聖(ひじり)の声を岡田が担当。さらに、スカーレットと聖の前に立ちはだかる最凶の宿敵・クローディアスを役所広司が演じるほか、市村正親、吉田鋼太郎、斉藤由貴、松重豊、山路和弘、柄本時生、青木崇高、染谷将太、白山乃愛、白石加代子ら豪華俳優陣がボイスキャストを務める。(加賀美光希)


