ベネチア金獅子賞はジム・ジャームッシュ監督作!藤元明緒監督作はオリゾンティ部門審査員特別賞

第82回ベネチア国際映画祭コンペティション部門の受賞結果が発表され、米インディペンデント映画界の雄、ジム・ジャームッシュ監督の『ファーザー・マザー・シスター・ブラザー(原題) / Father Mother Sister Brother』が最高賞の金獅子賞に輝いた。
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『ファーザー・マザー・シスター・ブラザー(原題)』は、3章から成るコメディードラマアンソロジー。アメリカ北東部、アイルランドのダブリン、フランスのパリと章ごとに異なる舞台で、成人した子供たちと彼らとどこか疎遠な親たちの関係が描かれる。出演はトム・ウェイツ、アダム・ドライヴァー、シャーロット・ランプリング、ケイト・ブランシェット、ヴィッキー・クリープスなど。予想外の最高賞受賞にジャームッシュ監督は「ここにいるわれわれ、映画を作る者たちにとって、競い合うことはモチベーションではないものの、この思いがけない栄誉に心から感謝します」と喜んだ。
批評家たちから金獅子賞本命と目されていた『ザ・ボイス・オブ・ヒンド・ラジャブ(原題) / The Voice of Hind Rajab』は、次点にあたる銀獅子賞(審査員大賞)を受賞した。イスラエル国防軍によって殺された5歳のパレスチナ人少女ヒンド・ラジャブさんの実話を、『Four Daughters フォー・ドーターズ』のカウテール・ベン・ハニア監督が映画化。ブラッド・ピット、アルフォンソ・キュアロン監督、ホアキン・フェニックス、ルーニー・マーラらそうそうたる面々が製作総指揮を務めている。
ロック様ことドウェイン・ジョンソンが伝説の総合格闘家マーク・ケアーにふんした伝記映画『ザ・スマッシング・マシーン(原題)/The Smashing Machine』では、ベニー・サフディ監督が銀獅子賞(最優秀監督賞)を獲得した。
また日本勢では、オリゾンティ部門(新しい映画表現の潮流を感じさせる新鮮で革新的な作品で構成)で藤元明緒監督作『LOST LAND/ロストランド』が審査員特別賞を受賞した。世界で最も迫害されている民族の一つといわれるロヒンギャの人々の証言を基に、無国籍の幼い姉弟が家族との再会を願い、いくつもの国境を命がけで越えていく旅路を描いた同作は、独立賞である最優秀アジア映画賞特別表彰、ビサート・ドーロ賞(金の鰻賞)最優秀監督賞も受賞している。(編集部・市川遥)
第82回ベネチア国際映画祭コンペティション部門の受賞結果は以下の通り
■金獅子賞(最優秀作品賞)
『ファーザー・マザー・シスター・ブラザー(原題) / Father Mother Sister Brother』(アメリカ、アイルランド、フランス)
ジム・ジャームッシュ監督
■銀獅子賞(審査員大賞)
『ザ・ボイス・オブ・ヒンド・ラジャブ(原題) / The Voice of Hind Rajab』(チュニジア、フランス)
カウテール・ベン・ハニア監督
■銀獅子賞(最優秀監督賞)
『ザ・スマッシング・マシーン(原題)/The Smashing Machine』(アメリカ)
ベニー・サフディ監督
■最優秀女優賞
シン・ジーレイ
『ザ・サン・ライジズ・オン・アス・オール(英題) / The Sun Rises on Us All』(中国)
■最優秀男優賞
トニ・セルヴィッロ
『ラ・グラツィア(原題) / La Grazia』(イタリア)
■最優秀脚本賞
ヴァレリー・ドンゼッリ、ジル・マルシャン
『アット・ワーク(英題) / At Work』(フランス)
■審査員特別賞
『ビロウ・ザ・クラウズ(英題) / Below the Clouds』(イタリア)
ジャンフランコ・ロージ監督
■マルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人賞)
ルナ・ヴェドラー
『サイレント・フレンド(原題) / Silent Friend』(ドイツ、ハンガリー、フランス)


