「べらぼう」恋川春町の悲劇に松平定信が慟哭したワケ　井上祐貴が解釈

　横浜流星主演の大河ドラマ「べらぼう～蔦重栄華乃夢噺～」（毎週日曜NHK総合よる8時～ほか）の21日放送・第36回では、松平定信（井上祐貴）の政策に追い詰められた恋川春町（岡山天音）が悲劇の展開を迎えることとなり、定信を演じる井上がコメントを寄せた。

【画像】豆腐の角に頭をぶつけて…恋川春町（岡山天音）の壮絶な最期

　第36回「鸚鵡のけりは鴨（おうむのけりはかも）」は、蔦屋の新作「鸚鵡返文武二道（おうむがえしぶんぶのふたみち）」「天下一面鏡梅鉢（てんかいちめんかがみのうめばち）」が大ヒット。しかし、定信は蔦重（横浜流星）の本に激怒し、絶版を言い渡す。喜三二（尾美としのり）は、筆を断つ決断をし、春町は呼び出しにあう。そして蔦重は、南畝（桐谷健太）からの文で、東作（木村了）が病だと知り、須原屋（里見浩太朗）や南畝とともに、見舞いに訪れる。

　劇中、追い詰められた春町は自害。少年時代から春町の黄表紙が好きだった定信は、春町の切腹の知らせを受け、ひとり慟哭する。春町の切腹を知った定信の気持ちについて、井上は「どこかにぶつけないと収まらないような感情になったからこそ、あのような行動に移ったのかなと思います。定信にとっての恋川春町、その黄表紙というのは、自分の世界を広げてくれた存在。そんな大切な存在を自分の政策によって命まで絶たせてしまった。定信からすると、とても複雑で、僕には想像もできないようなことがたくさん頭の中を駆け巡ったシーンなのかなと思いました」と解釈を述べる。

　また、定信の葛藤について「本当は、好きなものを取り締まるというのは、不本意だと思うので、でも今の政(まつりごと)を見たときに、やっぱり質素倹約を掲げないとうまくいかないだろうという定信の中で考えがまとまったから、好きな黄表紙とかそういうものを制圧しながらも、ちゃんと自分が正しいと思ったことを貫くっていう、良くも悪くもすごく太い芯の通った人間だと思っています。特に寛政の改革の時期は、定信は葛藤を常に持っているんだろうなと思って演じています」と語っている。（石川友里恵）