「ばけばけ」北川景子、起用のきっかけは「どうする家康」 制作統括「あの佇まいをもう一度」ヒロイン親戚役に期待

高石あかり(高=はしごだか)が主演を務める連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の制作統括を務める橋爪國臣チーフ・プロデューサーと演出の村橋直樹が、ヒロイン・松野トキ(高石)を見守る親戚・雨清水タエ(うしみず・たえ)と雨清水傳(うしみず・でん)夫婦を演じる北川景子と堤真一の起用理由を明かした。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘で、小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の妻・小泉セツがモデルの主人公・松野トキの人生を描くオリジナルストーリー。西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本を舞台に、「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語をフィクションとして描く。
雨清水家は、松野家の親戚にあたり、松江藩で名をはせる上級武士の家だった。北川と堤のキャスティングについて、橋爪は「雨清水家は松江の中の名家として描きたいと思っていたので、それ相応の説得力、雰囲気を出せる人でないと困るという気持ちがありました。その上で、そんなことができるのは北川さんしかいないと思っていましたし、それを温かく包み込んでくれるのも堤さんしかいないと思っていました」と当初から二人を思い描いていたことを明かす。
村橋も、二人がオファーを受けてくれた時は嬉しかったという。「この時代の中で揺らいでいる人たちを描きたいという思いが強くあったんです。堤さんも北川さんも、僕たちから見ると揺らがない人に見える。揺らがない軸みたいなものを持っている人なんです。人には見せないけれど、心の中で揺らいでいる、そういった演技をすることがとても長けた人たちだと思っています。それは芝居のうまさだけでなく、二人の纏う空気感のようなものも関係しています。惑わないけど惑う。自分でこうだと決めたことより、大きなことが世の中で動いている中、揺らいでいる人たちをうまく表現できるのは、二人じゃないかと思っていました。お二人に来ていただいてありがたかったです」
村橋と北川は、大河ドラマ「どうする家康」でも一緒に仕事をしており、その際、北川は織田信長のお市の方とその娘・茶々(淀殿)の二役を務めた。「どう見たって揺らがない強さを持っているけど、心の中では揺らいでいる。そういう役柄を好演していただいて、北川さんならではの佇まいをもう一度撮ってみたいという気持ちがありました」と「どうする家康」での印象が大きかったことも振り返る。
撮影時の二人の様子について、村橋は「堤さんも北川さんも『私たちがいる時だけ大河ドラマだね』って仰っていて、それが印象的でした」と笑顔で紹介。「台本を読んでコメディーだなと思って現場に来たと思うんですけど、ふじきさん(=脚本・ふじきみつ彦)の脚本は真剣にやらないと面白くないんです。コメディーだと思って笑わせようとする演技をすると面白さが消えてしまう。そういう不思議な台本なのですが、北川さんは実際にそれを現場で見ながら、『意外と真面目にやるんですね』とすぐに汲み取っていました。『真面目だから面白いんです』と話したのを覚えています」と撮影時のやりとりも紹介していた。(取材・文:名鹿祥史)


