「あんぱん」最終回、のぶと嵩の8分越えのシーンは本番一発勝負 やなせたかしさんの出身地でトークショー

本日(26日)、最終回を迎えた今田美桜主演の2025年度前期 連続テレビ小説「あんぱん」。同日、高知県内の会場で最終回を観る会が行われ、登美子役・松嶋菜々子、脚本・中園ミホ、チーフ演出・柳川強エグゼクティブ・ディレクターが登壇。柳川はのぶ(今田)と嵩(北村匠海)の8分を超えるシーンの裏側を語った。
朝ドラ112作目の「あんぱん」(全26週/130回)は、「アンパンマン」を生み出した漫画家・やなせたかしさんと妻・暢さんの夫婦をモデルとしたオリジナルストーリー。激動の時代を生きた二人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現したアンパンマンにたどりつくまでの物語を描く。脚本は「花子とアン」(2014)以来2度目の朝ドラ脚本となる中園ミホ。主題歌はRADWIMPSの「賜物」で、語りを林田理沙アナウンサーが務めた。
やなせたかしさんの出身地である高知で行われたイベントの応募数はおよそ4400件。当選倍率はおよそ6.3倍で、約1300人が来場した。最終回では余命宣告を受けたのぶと、嵩のエピソードが展開。「いろんな想像力を最終回の最後の青空に託しました」という柳川。のぶと嵩が話す8分を超えるシーンは、リハーサルなしの本番一発勝負だったことを明かし、「のぶと嵩が話す8分を超えるシーンに関しては、本番1回で撮りました。芝居を固めるのが嫌で、リハーサルもしませんでしたが、今田美桜さんと北村匠海さんと相談したところ、お二人とも「リハーサルはなしでいい」ということでした。本番1発勝負の方が、緊張感もあり、2人も1年間のぶと嵩として暮らしてきた思いもでてくるので、このような撮影にしました」とその意図を語った。
嵩の自由奔放な母・登美子を好演した松嶋は主演の今田に「今田美桜さんには「1年間、本当にお疲れ様でした」という思いでいっぱいです。現場では、いつも明るく頼りがいのあるヒロインだったので、安心して見守っていました。登美子のストレートな発言は役柄として必要なもので、どのセリフも迷わず、気持ちよく言い切ることができました」と一年間の労をねぎらう。また、歯に着せぬ物言いの登美子について「中園さんが描かれるキャラクターは、言いたいことをズバッと口にするはっきりした人物が多いので、登美子が毒舌をはかない場面では、少し物足りなさを感じることもありました(笑)。間違っていると思えばオブラートに包まず発言する点は、のぶさんとも重なる部分でしたし、嵩が母親に似た人を好きになるという細やかな演出も、とても好きでした。最終週まで登美子を演じることができて、本当にうれしかったです」と役への愛、思い入れを吐露。
脚本を手掛けた中園は、最終回について「やなせたかしさんのエッセイの中で書かれている言葉をたくさん散りばめていて、のぶが新聞記者のインタビューに答えているシーンも、暢さんの言葉そのもの」だったといい、「やなせたかしさんの作品は、みんなが知っている優しい言葉を使っていますが、この作品を描いてやっと言葉の奥にある深い感情が分かった気がしました。「アンパンマン」が体現するメッセージは、全てやなせ哲学だと思っています。この作品を見てくださった多くの人たちに知ってもらえたらと願っています。そして、ひとかけらのパンを待っている子どもたちのことを考えていただけたら嬉しいです」と視聴者に呼び掛けた。(石川友里恵)


