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高良健吾&田中俊介、北朝鮮拉致事件に思い 知ること、忘れないこと

高良健吾&田中俊介
高良健吾&田中俊介

 10月18日にNHK総合で放送される「未解決事件」「File.02 北朝鮮 拉致事件」の会見が10日、NHK放送センターで行われ、ドラマパートに出演する主演の高良健吾田中俊介が演出・桑野智宏チーフプロデューサー、和久田麻由子アナウンサーと共に登壇。ドラマへの出演を通して拉致問題に触れた心境についてコメントを寄せた。

【画像】「未解決事件 北朝鮮 拉致事件」ドラマパート場面写真

 「未解決事件」は、社会に衝撃を与えた未解決事件を独自取材で追跡するプロジェクト。18日の放送では、日本人の失踪事件が相次いだ1970年代から1990年代前半に至る、警察と北朝鮮工作員の攻防を取材した。ドラマとドキュメンタリーで「拉致の解決を阻むものはなにか?」国家と個人、その狭間でもがき続けた人々を見つめる。ドラマでは、長年北朝鮮と対峙してきた外事警察の捜査員や幹部への取材をもとに、当時の知られざる捜査の裏側を映像化。1978年に北朝鮮に拉致され、24年間現地での暮らしを余儀なくされた蓮池薫さんも制作に協力している。

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 1978年7月31日、蓮池薫(田中俊介)は交際していた奥土祐木子(堺小春)と新潟県柏崎市の海岸を歩いている途中に、煙草の火を貸してくれと言う男(大倉孝二)に応じたところを、突然見知らぬ集団に暴行される…。連れてこられた先が北朝鮮と知らされた蓮池は、祐木子とも離ればなれのまま“招待所”で終わりの見えない軟禁生活を強いられる。1970年代後半から日本各地で相次いだ日本人の失踪は、後に北朝鮮による拉致であることが明らかになるが、当時、警察はその輪郭をつかめておらず、捜査は難航していた。8月、喜多見守和(高良健吾)が警視庁公安部外事第二課に着任する。

 ドラマパートで北朝鮮工作員を追う外事警察の捜査官・喜多見を演じる主演の高良は「僕自身は2000年の日朝国交正常化交渉が北朝鮮拉致事件を知る初めてのきっかけだったと思います。今回の役を頂いてから北朝鮮拉致事件について初めて知る事が多すぎました。視聴者の方々も初めて知る出来事や、時系列があると思います。それはこのドラマの面白さというよりは、怖さでもあります。無関心であり続ければ、感じない怖さです。僕は役とは全く違う時代、人生を送りながらも、役の葛藤には共感を覚えました。しかし、役の立場によってはなにも共感ができず、ただただ残酷なだけだったと思います」と撮影を回顧。そして、視聴者に「人と人、国と国の問題の大きさは違えど、そこから生まれる葛藤には多くの人が自分を重ね、なにかを考えるきっかけになると思います。時代の問題は大きく変化しますが、人間の問題はそこまで変化しないのではないか。そんな事を考える日々でした。1人でも多くの方に北朝鮮拉致事件を知ってもらうこと、改めて考えるきっかけになることが、これからの未来に繋がりますように」と呼び掛ける。

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 蓮池薫を演じる田中もいまだ解決されないこの問題について「北朝鮮が拉致を認め、5人の拉致被害者の方々が帰国を果たしてから23年の月日が経ちました。未だに帰国が叶っていない拉致被害者の方々がいらっしゃいます。プロデューサー、監督の熱意に心を動かされ、新潟県柏崎市の海岸に足を運び、蓮池さんご本人にお会いし、今作に挑む覚悟を決めました。進展のない拉致問題。私たちに何ができるのか。それは、拉致問題は未解決なのだということを忘れないこと。再び多くの方に関心を抱いてもらうことが、この膠着状態を打開するきっかけになると信じています」と真摯に語っている。

 脚本の大森寿美男は下記のようにコメントを寄せている。「毎回注目してきた「未解決事件」に関わることができました。今回はあの拉致事件です。これは、いつ、どこで、誰が、何のために犯行に及んだのか、それが解明できてもまだ解決に至らない、つまり犯人も動機も居場所さえもわかっているのに、生きている被害者を取り戻すこともできない、ミステリーの常識から見れば、稀有な未解決事件ということになります。これを解決することは、この世界から分断と戦争をなくせないことに共通する難問です。それでも我々人類には、諦めずに立ち向かう知恵はあるのか。その糸口を見つけることはできるのか。そんな思いに駆られながら、人間の無力さや儚さを思い知るように、シナリオに取り組むほかありませんでした。とはいえ、私のしたことはほんの少しです。ディレクターの桑野氏と未解決事件チームが入念な取材を重ね、膨大な資料を集めて、伝えたい情報を精査した構成を元に、私は少しでもドラマとしての醍醐味を出せるようにお手伝いをしたに過ぎません。特に桑野氏の演出家として長い時間をかけた執念と、強い意志と言葉が反映されたものになったので、共同脚本とさせてもらいました。今は一視聴者として、人として、この未解決事件の帰着を期待して待つばかりです」

 ドラマは午後7時30分~8時53分、ドキュメンタリーは午後10時~10時49分放送。(石川友里恵)

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