スピルバーグ、『E.T.』続編計画を阻止していた「どうしても作りたくなかった」

1982年に公開され、不朽の名作として今日まで語り継がれているSF映画『E.T.』。時を経て、多くの名作にリメイク&続編が誕生する中、誕生から43年経った同作は続編が作られていない。そんな中、メガホンを取ったスティーヴン・スピルバーグ監督が今年1月、過去に『E.T.』の続編企画を阻止したことがあったと「TCM Classic Film Festival」のパネルディスカッションで明かしている。
同作でエリオットの妹・ガーティ役を務めたドリュー・バリモアと共に登壇したスピルバーグ監督は、『E.T.』の続編構想を考えたこともあったが「私はどうしても作りたくなかった」と心境を明かしている。「唯一思いついたのは、E.T.の故郷を舞台にした『グリーン・プラネット』という本を映像化する話だけだった。E.T.の暮らしを見ることができる内容だったが、それは映画より小説にした方がずっとよかった」
スピルバーグ監督が言及した内容は、『E.T.』のノベライズを手がけたウィリアム・コッツウィンクルによる“続編”小説「E.T.グリーン・プラネット」(1985)として形になっている。故郷に帰ったE.T.が、親友エリオットにおとずれた危機を知り、ふたたび地球に戻るという展開だ。
続編を望まないスピルバーグ監督に対して、スタジオ側はアカデミー賞にも輝いた同作の続編を熱望していた。『E.T.』撮影前は、スタジオが続編を製作することを止める権利(=フリーズ)もなかったスピルバーグ監督は、「本当に苦労して勝ち取った権利だった」とスタジオの要望に抗い、続編を阻止したことを回顧。「続編・リメイク・その他の二次的利用を凍結できる権限を私は持っていなかった。『E.T.』が成功したおかげで、ようやくその権利を得ることができた」
続編企画は生まれていないものの、2019年にはE.T.とエリオットが37年ぶりに再会を果たすショートムービー「A Holiday Reunion」が誕生した。コムキャストの子会社Xfinityがプロモーション用に制作した内容で、続編に反対しているスピルバーグ監督も企画を好意的に受け止め、コンサルタントとして携わっている。(編集部・倉本拓弥)


