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「ばけばけ」脚本家、朝4時起きで朝ドラ執筆 打ち合わせも「家庭優先」子育てとの両立で意識変化

画像は「ばけばけ」第5週より
画像は「ばけばけ」第5週より - (c)NHK

 高石あかり(高=はしごだか)が主演を務める連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の脚本を担当するふじきみつ彦。広告代理店勤務を経てコントや小劇場の世界に入り、その後、テレビや映画に活動の場を広げ、「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」(NHK)や映画『子供はわかってあげない』(2021)などの人気作品を手がけた。本作で「15分×125回」という初の大長編作に挑むふじきが、半年にも及ぶ執筆作業を乗り越えるために工夫していること、執筆活動と子育ての両立について語った。

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 連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

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「ばけばけ」執筆作業の苦労

「ばけばけ」脚本家・ふじきみつ彦 - (c)NHK

 ふじきは、朝ドラの脚本作業について「今までの最長が15分×32回の夜ドラ(『褒めるひと 褒められるひと』)です。その時も長いと思ったんです。主にテレビ東京の深夜枠とNHKドラマを手がけてきて、長い物語はあまり書いたことがありません。朝ドラのような長編作品に自分が適しているのか、実際に向き不向きもわからないくらい経験がありませんでした。大変なことになるだろうなと思いつつ、引き受けたからにはやらないといけないと思いました」とオファー当時の心境を振り返る。

 「ばけばけ」のような長編作品で、先々の筋書きを考えることは、ふじきにとってハードルの一つとなっているという。「私は先を見通してものを書けないタイプなんです。長さ自体にあまり苦痛は感じないですが、終わりまでなんとなく筋をつけるのは得意ではありません。そういうのは書きながらコロコロ変えていったり、制作統括や演出と話し合いながら考えていくタイプなんです。書くことが決まると、すぐできるのですが、先々の筋をつけるところで苦労がありました」

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 最終回の展開もまだぼんやりとした構想しか持っていないとのこと。「もちろん史実があるので、史実から大きく外れたりはしませんが、具体的なことは書きながら考えるタイプです。ある程度、その時にならないと出てこないもの。今は第22週を書いていますが、(最終回の)本当にぼんやりとした構想しかありません」

 長編が故に、途中で筋書きの変更を余儀なくされることや、現場で脚本に手が加えられることもある。だが、ふじきはそれも柔軟に受け入れているという。

 「基本的には自分の書きたいものを頑固に貫くというより、流されて生きて行こうと思っているタイプです。周りの人が考えていることを割と全部受け入れてしまう。それが良くない時もありますが、頑固さはあまり持てません。自分の書いたセリフのニュアンスとか、語尾は変えてほしくないという気持ちはあります。でも、それ以外のこと、例えば『構成を変えてください』ということがあったとしても反論はしませんし、その時間があるなら、新しく面白い方向に持っていくにはどうすればいいかを考えるタイプです」

子供といる時間は仕事しない

「ばけばけ」第5週より - (c)NHK

 プライベートでは子供を抱える父親であり、子育てをしながら脚本執筆に励んでいる。1日の仕事サイクルにも工夫を持たせているといい「朝4時くらいに起きて、6時くらいまで(脚本を)書きます。その後は子供が起きてくるので、そこから子供を保育園に預けに行くまでがお父さんの時間になります」と子育てと仕事のバランスについて語る。「保育園に預けた後、朝9時から再び書きはじめて、夕方の6時くらいにまた保育園に迎えに行きます。そこからがまたお父さんの時間です。夜の9時くらいに子供が寝る……。そんなペースを守っていつも書いています。仕事をするのは朝昼という感じです」

 ふじき曰く、今の生活サイクルは朝ドラを書き始める以前から取り入れるようになったという。「子供が生まれてから、仕事をする一日のサイクルがだいぶ変わりました。生まれる前と後でいうと、前は時間がいっぱいあったので、そんなに朝早く起きる必要もないし、夜中何時まで起きて書いていても大丈夫。土日も仕事という感じでした。書くのは好きなので、書く時間があればあるほど嬉しいタイプ。その頃は時間があればずっと書いていました。でも、子供が生まれてすぐコロナ禍になって、子供も自分も家庭にいる時間が増えると話は変わってきました」とコロナ禍をきっかけに作業効率を考え直すきっかけが生まれたと振り返る。

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 子供と向き合う時間が増えた後は、「5分でも隙間を見つけて書こうという感じでした」と当時を振り返る。「半年くらい後に、これはしっかりと割り切って仕事をする時間を決めないといけないと思いました。子供といる時間は仕事はしないと決めて、仕事に向かうと、逆にうまく行くようになったんです。朝ドラに関しては、大阪で脚本打ち合わせがあるので、東京からの出張も日帰りにさせていただいたりして、家庭優先にさせてもらえています」

 さらに、ふじきは「子供が生まれて半年は、正直苦しかったです。なぜこんなに書く時間が取れないんだろうって。仕事の量は変わっていないのに、仕事をする時間は半分くらいになった。でもやればできるものだと、今は思っています」と新しい生活サイクルを肯定的に捉え、現在は子育て&仕事の両立に充実さを感じていると話していた。(取材・文:名鹿祥史)

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