木村拓哉、山田洋次監督と熱い抱擁 「特別功労賞」受賞を祝福
第38回東京国際映画祭

俳優の倍賞千恵子と木村拓哉が29日、第38回東京国際映画祭(開催中)のセンターピース作品に選ばれた映画『TOKYOタクシー』(11月21日全国公開)の舞台あいさつに、山田洋次監督と共に登壇。二人は、映画祭から「特別功労賞」が贈られた山田監督に花束を渡して祝福し、木村は監督と熱い抱擁を交わした。
本作は、クリスチャン・カリオン監督作『パリタクシー』を原作にした物語。タクシー運転手の宇佐美浩二(木村)と、その乗客となった85歳の高野すみれ(倍賞)が、東京の柴又から神奈川県の葉山に向かう道すがら、寄り道をしながら心を通わせていく姿を描く。
東京国際映画祭での上映に、木村は「センターピース作品ということで、この映画を選んでいただき嬉しく思います」と笑顔を見せると「いまはご家庭でもスイッチ一つ入れれば、いろいろなコンテンツが選べる時代。でも映画館のスクリーンで、特別な音響に身を置いていただくという特別感が、僕にとってはスペシャルな環境。その状況下でしっかりと作品を受け取ってもらえるのがとても嬉しい。そしていろいろな国の方々が、どんな価値観や恋愛観で、この映画を観てくださったのか興味があります」と語っていた。
また倍賞も「自分が出演している作品が、こうして通訳の方を交えて舞台あいさつするということが初めてだったので、とても不思議な気持ちです」と率直な胸の内を明かすと「一生懸命キャスト、スタッフと共に、目に見えない山を登るのが映画作り。そのなかで、富士山よりも素晴らしい『TOKYOタクシー』という山に登ることができました。私にとっては忘れることができない作品になりました」と感無量な表情を浮かべていた。
山田監督は、長年の国内外を含めた映画界への貢献が目覚ましい人に贈られる「特別功労賞」を受賞。倍賞と木村から花束が贈られると「こうして映画を称える催しがあることに感謝しています」と笑顔を見せ、日本映画の過去と現在、そして未来に対してエールを送る。そんな山田監督の言葉に、倍賞が「これからもまた仕事場でお会いできることを楽しみにしています」と声をかけると、木村も山田監督と熱い抱擁を交わし「こういう先輩がいると、とてもやる気が満ちてきます」と90歳を超えても現役で映画を撮り続ける山田監督に、敬意を表していた。(磯部正和)


