『プレデター』新章、過去作とココが違う!史上初の「未熟な主人公」が誕生

世界中でカルト的な人気を誇る『プレデター』シリーズ。11月7日に公開される新章『プレデター:バッドランド』では、これまでの作品の常識を覆す設定が導入されている。この記事では、過去シリーズの描写と『バッドランド』を比較し、その違いを検証する。
【動画】銀河の狩人プレデターが“狩られる”!『プレデター:バッドランド』予告編
過去作との最も大きな違いは、シリーズで初めてプレデターが主人公として描かれる点にある。これまでプレデターは、常に人類やエイリアンの前に立ちはだかる圧倒的な“敵”として描かれてきた。プレデター伝説の原点となった1作目の『プレデター』(1987)では、アーノルド・シュワルツェネッガーを主演に、当時の“最強の男”を窮地に追い込むほどの身体能力の高さと知能で、観客に衝撃を与えている。プレデターは“捕食者”の名が示す通り、強き者を“狩る”ことを美学とする宇宙一のハンターであった。
しかし、『プレデター:バッドランド』の主人公像は、我々が知る「プレデター」のイメージとは大きく異なっている。主人公となる若きプレデターの名はデク。彼は未熟ゆえに氏族の掟を破り、誇り高き戦闘一族から追放され、ほぼ生きて帰ることができない「最悪の地(バッドランド)」に辿り着いた。過去のプレデターが“宇宙最凶戦士”であったのに対し、デクは戦闘でミスが多く、予想外の襲撃にも弱いなど、“プレデターの弱さ”を見せているのが今回の意外な点だ。また、歴代のプレデターの多くが筋肉隆々の巨体を誇っていたのに対し、デクは比較的軽装備なうえ体つきも細身で、未熟さが窺える。例えば、『ザ・プレデター』(2018)に登場したアサシンは3m超えの身長を誇っていたが、デクの姿はそれらと対照的である。
さらに、本作では「孤高のハンター」の美学が打ち破られる。プレデターは「仲間に助けられることは不名誉」とされ、『プレデター2』(1991)や『エイリアンVS. プレデター』(2004)でも、仲間が殺されかけていても戦いに手を出さない様子が描写されているなど、戦う時は常にひとりであった。しかし、デクは半身アンドロイドのティア(エル・ファニング)を背中にくくりつけ、このバッドランドで最凶の敵を狩り、己の存在を証明するため共闘していく。これは今までのプレデターの常識とは全く違う状況と言える。
若く未熟なデクがアンドロイド・ティアと組んだ異色のコンビで、「狩るか、狩られるか」の極限の地から生還するため、そして自身の強さを証明するために這い上がろうとする姿は、観客を惹きつける。これまでのシリーズ作品とは一線を画す、新たなプレデターの物語に注目だ。(加賀美光希)


