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『国宝』吉沢亮、難役続きに吐露「何も背負わない役をやりたい」

第17回TAMA映画賞で表彰された吉沢亮
第17回TAMA映画賞で表彰された吉沢亮

 俳優の吉沢亮が「第17回TAMA映画賞」最優秀男優賞を受賞し、15日に東京・パルテノン多摩大ホールで行われた授賞式に登壇。『国宝』「ばけばけ」をはじめ、映画やドラマで難しい役が続く吉沢は、思わず愚痴をこぼして会場を笑いに包んだ。

【画像】この世ならざる美…吉沢亮撮りおろし<8枚>

 吉田修一の同名小説を基に、極道の息子として生まれながら歌舞伎の世界に飛び込んだ喜久雄の50年を追う『国宝』で、稀代の女形となる主人公を演じた吉沢は、本年度最も心に残った男優を表彰する同賞を「命を削るように役と向き合う姿は演技とは思えない高みへと達し、その美しさに息をのみました」と評価されて受賞した。

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 7年前に同映画賞で新進男優賞を、昨年は最優秀男優賞を受賞した吉沢は「僕にとって(新進男優賞は役者人生で)初めていただいた映画賞でしたので非常に心に残っていて、特別な思いがTAMA映画賞にはあります。今回、最優秀男優賞ということで非常に嬉しく思います」と笑顔。続けて、「『国宝』は尊敬している監督・キャストの皆様とハードな3か月間の撮影だったんですけれども、皆様と共に乗り越えて、たくさんの素晴らしい景色を見させていただいているなぁと思っている日々でございます。これからも、このような素敵な賞に恥じぬように精進してまいります」と力を込めた。

 すり足からはじまる歌舞伎の稽古は約1年半に及び、撮影では1つの演目を「最初から最後まで撮った」と言う吉沢は、「使われているのは(劇中で披露された)あれぐらい。まぁまぁまぁ、そうだろうなとは思っていたんですけど、非常にもったいない」と本音を明かして、会場の笑いをさらった。

 コメディー映画『ババンババンバンバンパイア』では童貞の高校生の血を味わおうと、彼の初恋を邪魔するために奔走する450歳のバンパイア、昨年公開の『ぼくが生きてる、ふたつの世界』では聴覚障害者の両親を持つ青年、現在放送中の連続テレビ小説「ばけばけ」では英語教師を演じている吉沢は、「手話をやって、歌舞伎やって、英語やって、次はミュージカルで歌があって(舞台ミュージカル「ディア・エヴァン・ハンセン」)、何かしら重いものを背負った状態で何かを演じていることが多いので。そろそろ何も背負わない役をやりたい」と吐露。

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 しかし、「何かに打ち込みながら芝居をさせていただくのは勉強になりますし、素晴らしいキャスト・スタッフさんと共にいい作品をやるという経験を立て続けにできている感じがして、幸せな日々だと思います」と充実した表情も見せる。そして、「これからもいただいたお仕事を一つ一つ丁寧に、一生懸命向き合いながら、皆さんにいいと思ってもらえる作品を届けられるように頑張っていきたいと思います」と誓った。

 『国宝』は、本年度最も活力溢れる作品の監督及びスタッフ・キャストに対し表彰する最優秀作品賞を受賞しており、李相日監督が登壇。同作は175分の長尺ながら170億円を突破する異例の大ヒットを継続中。李監督は「皆さんの心に美しい映画として届くことを願っていたので、成績を騒がれたりしますが、たくさんの心に届いたことを皆が喜んでいますし、こういった賞という形で表彰されることを嬉しく思っております」と喜びのコメント。

 また、「3時間という長い映画を劇場でかける難しさ。大きな声では言えませんが、予算もそれなりにかかってしまっているので、困難の大きい、作るにはチャレンジ精神がいる作品だと思います」と伝え、本作に命運を賭けたすべての人々に感謝した。最後に、「歌舞伎の女形の一代記を撮りたいと思いはじめて十数年経って、ようやく注ぎ続けたものが形となって、すっからかんなんですよ。すべてのものが出て行ったというか……」とぶっちゃけ、「なので、まずは水を満たすために休養したいと思います」と宣言した。

 「TAMA映画賞」は多摩市及び近郊の市民からなる実行委員が「明日への元気を与えてくれる・夢をみさせてくれる活力溢れる<いきのいい>作品・監督・俳優」を、映画ファンの立場から感謝をこめて表彰する。(錦怜那)

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