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細田守監督、ヒロインに芦田愛菜起用の理由 エンディングテーマを依頼したのは想定外

『果てしなきスカーレット』より芦田愛菜が声優を務める主人公の王女スカーレット
『果てしなきスカーレット』より芦田愛菜が声優を務める主人公の王女スカーレット - (C)2025 スタジオ地図

 細田守監督の4年ぶりの新作となるアニメーション映画『果てしなきスカーレット』(11月21日公開)で、16世紀を生きる主人公・王女スカーレットの声を担当する芦田愛菜。大ヒットドラマ「マルモのおきて」(2011)などで子役時代から国民的人気を誇る芦田だが、細田作品は初参加。復讐に燃える王女という、パブリックイメージとガラリと異なる役柄に挑んでいる。芦田の才能にほれ込み、エンディングテーマ「果てしなき」の歌唱も依頼したという細田監督がキャスティングの理由を語った。

【動画】芦田愛菜の美声!『果てしなきスカーレット』EDテーマ特別PV

 ウィリアム・シェイクスピアの戯曲「ハムレット」をモチーフにした本作。芦田が声を担うのは、父アムレット(声:市村正親)を叔父クローディアス(声:役所広司)に殺され、その仇をとろうとする19歳の王女スカーレット。しかし、スカーレットは復讐に失敗して≪死者の国≫に堕ち、そこで再びクローディアスに復讐を果たすため、彼がいるとされる“見果てぬ場所”を目指して旅に出る。

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 スカーレットの年齢など基本設定については「19歳にしたのはスカーレットのモデルの一人で、同時代に生きたエリザベス一世で、彼女がそれぐらいの年に即位しているから。スカーレットという名前には、力強い主人公にしたいという思いがあります。『ハムレット』のレットにかけているんじゃないかと聞かれる事もありますが、それは関係なくて。スカーレットという名はもっと昔から6、7世紀ぐらいからあるようです」と語る細田監督。

 そのスカーレットの“力強い”イメージについては、故・蜷川幸雄氏が演出した舞台「ハムレット」で荻野目慶子氏が演じたオフィーリアが影響しているという。

 「大学時代、1988年にテレビの舞台中継で観たのですが、渡辺謙さんがハムレット、その恋人オフィーリアを荻野目慶子さんが演じていたんです。オフィーリアって辛い目にあって狂気の中で死んでいく、悲劇的なヒロインとして知られていますが、荻野目さん演じるオフィーリアはただ可哀想なだけじゃなくて、運命に負けない力強さみたいものを感じたんです。僕も当時からオフィーリアをもっと力強く描くべきなんじゃないかと思っていて、まさにそれを荻野目さんが演じる事で体現されていた。このことはこの映画の主人公スカーレットを女性として描いたことにも影響していると思います」

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 芦田をスカーレット役に起用した経緯について、細田監督は「芦田さんってパブリックイメージとしてはとても利発で、復讐するスカーレットとは全然イメージが違うと思うんですよね。でも、違うからこそ良いとも思うわけです」と語る。「芦田さんはさまざまな経験を積まれていて、長いキャリアで培われた表現力があって、その表現の幅がものすごく広いんだと改めて感じました。イメージと違う役を演じることによってさらに広がるというか、素晴らしさがより際立つことがあると思うんですけども、芦田さんもそういう方なのではないかなと思いました」

 なお、芦田は声優のみならず劇中歌やエンディングテーマも歌唱しているが、細田監督いわく初めから芦田の歌唱を想定していたわけではなく、「芦田さんの歌唱力があまりに素晴らしかったから」と話す。

 「例えば『竜とそばかすの姫』では主人公・すずがバーチャルの世界で歌姫・ベルになるという設定で、劇中歌や主題歌を主人公の声優と同じ人が歌う意味があったんです。ところが今回はそのような設定はなく、歌唱シーンは別の方にお願いする選択肢もありました。そこで芦田さんに歌っていただいたら素晴らしくて。クレジットは『歌唱・芦田愛菜』となっていますが、劇中で歌うシーンも含め、芦田さんはおそらくスカーレットの気持ちになって歌ってくれていると思うんですよね。役柄を反映して歌うというのはかなり難しいことだと想像しますが、彼女は見事に表現してくれました。改めてすごい表現力だなと思った次第です」

 本作では「ハムレット」が題材とあって、シェイクスピア原作の舞台に出演したキャストが多数集結。岡田将生山路和弘白石加代子宮野真守津田健次郎吉田鋼太郎松重豊、市村正親、役所広司ら豪華な顔ぶれが名を連ねている。(編集部・石井百合子)

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