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「ばけばけ」なぜ“クイズ大会”を描いたのか 「ヘブンの人間味を表現したい」制作サイドの狙い

ヘブン先生主催のクイズ大会!
ヘブン先生主催のクイズ大会! - (C) NHK

 21日に放送された連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)第8週・第40回では、ヘブン(トミー・バストウ)がヒロイン・トキ(高石あかり※高=はしごだか)、松江中学の生徒、英語教師・錦織友一(吉沢亮)に自分の素性にまつわるクイズを出題する“大クイズ大会”を開催した。制作統括の橋爪國臣が、斬新な同シーンがいかにして生まれたのか、制作の裏側を語った。

【画像】「ばけばけ」キャスト一挙紹介

 連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。

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 “大クイズ大会”では、ヘブンが現代のクイズ番組や講談さながらに、小気味好く台を叩きながら「ヘブン!」と自分の名前を叫んで調子をとる。クイズを通して彼の意外な素性が明かされ、参加した全員の表情が子供のように和らぎ、心を通わせるさまが、コミカルかつ優しいタッチで描かれる。
 
 橋爪曰く、当該シーンは脚本家・ふじきみつ彦のアイデアであるとのこと。少し偏屈で、とっつきにくさのあるヘブンの人間味を表現するための演出だったといい、「序盤のヘブンは“偏屈な外国人”に見られやすく、愛せないと感じられる方もいらっしゃるだろうというころで、彼のバッグラウンド、人柄をきちんと見せないといけない。その方法の一つとして、クイズ大会をやろうとなりました。彼の人となりを自然に見せられると思ったんです」と振り返る。

全くクイズに正解できないミスター錦織(左) - (C) NHK

 クイズ大会のアイデアは、プロットを組み立てる初期段階から存在していた。「英語指導の先生という立場から、ヘブンの人柄はなかなか視聴者には伝わりにくい。ああいう形のクイズのようなことは、もちろん当時は絶対になかったこと。でも、史実に全て基づいて物語を見せたほうがいいかというと、エンターテインメントなのでそうではないと考えています。ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)自身も冗談やパーティが大好きだったと伝わっているので、ああいうことが起きてもいいのかなと思いました」と橋爪も賛成だったという。

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 撮影当時は「このシーンが本当に面白くなるか、みんなドキドキでした」と橋爪は回顧する。「あのシーンはとても長いので、一日中スタジオでクイズの撮影をしていた感じでした。完成した映像を見ると笑えるけれど、現場では編集で繋がってみないとわからない部分もあり、シュールな笑いの方が多かった気がします。あのシーンが面白くなったのは、役者の力も大きかったと思います。松江中学の学生役の3人もとても細かく芝居をしてくれて、それが積み重なり、面白いシーンに仕上がりました」

 橋爪はまた、素朴でどこかつかみどころのないユーモア溢れるアイデアこそ、ふじきの持ち味であるとも強調し、「ふじきさんには自由に書いてくださいとお願いしました。これこそ、まさにふじきさんの得意分野。ヘブンさんの人柄が伝わる良いシーンになったと思います。台本もすぐ上がり、一発で面白いねとなりました」と満足げな様子で話していた。(取材・文:名鹿祥史)

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