木村拓哉、舞台あいさつでの観客の表情と目は「いつも忘れられない」

倍賞千恵子と木村拓哉が21日、丸の内ピカデリーで行われた映画『TOKYOタクシー』初日舞台あいさつに登壇し、「忘れられない出会い」について語った。イベントには、蒼井優、迫田孝也、優香、中島瑠菜、神野三鈴、山田洋次監督も参加した。
本作は、クリスチャン・カリオン監督作『パリタクシー』を原作に、『男はつらいよ』シリーズなどの山田洋次監督が映画化。東京の柴又から神奈川の葉山へ向かう85歳の女性・高野すみれ(倍賞)と、彼女を乗せたタクシー運転手・宇佐美浩二(木村)が心を通わせていく姿を描く。
倍賞は思い出に残っている撮影エピソードを聞かれると「たくさんあって困ったな」と苦笑いを浮かべつつ、「初日のロケが柴又から始まったんです」と語り出し「『男はつらいよ』が柴又で終着駅を迎えて、今度は『TOKYOタクシー』の初日が柴又の門前から始まったんです。終わりと始まりが柴又だったということが、わたしにとっては生涯忘れられない自分の思い出になりました」としみじみ。
木村は「撮影が終わったあと、僕らを含め、現場のスタッフに対して山田監督が『この作品に携わった人の思いが、作品の艶になっていると思う。今回の作品は、本当に艶に恵まれた作品になったことを僕は感謝しています。ありがとう』と仰ったんです。そのときこんなにいい場所に参加できたという思いが溢れてきました」と山田監督の言葉に感激したことを明かす。
そんな倍賞と木村に、奇跡を描いた作品にちなみ「忘れられない出会い」について質問が。倍賞は「私は84歳になるのですが、これまで178本の映画に出演させていただきました。そのなかで70本が山田さんの作品なんです」と語ると、「山田さんの最初の作品が『下町の太陽』という作品で。初めてなのでご挨拶に行ったとき『二階の他人』という映画を撮られていて。そのときごあいさつをしたら、ハンチング帽が落ちそうになるぐらいに『いやあ、よろしく』と言ってくださったあと、すぐに現場に戻られたんです。そのとき、すごく作品に集中している方だなと思い、そんなタイミングであいさつに行ったことを、とても後悔したんです」というエピソードを披露する。
山田監督は「セットでお会いしたことは覚えていませんが、あのころの倍賞千恵子さんといえば、それまでの松竹にはまったくいなかったタイプのニュースターで、僕ら若手監督にとっては憧れの存在でした。映画を撮るならあの人を主役にしたいと誰もが思うような存在でした」と懐かしそうに語っていた。
同じ質問に木村は「いっぱいありますが」と悩ましい顔を浮かべると、「この作品との出会いは、今後もきっと忘れることがないような出会いでした」とコメント。そして「いつも映画が公開されると、作品を観てくださった方の前に立つことができます。そのときの皆さんの僕らを迎えてくださる表情、温かい目はいつも忘れられないんです」と映画を観る観客も、木村にとっては忘れられない出会いであることを述べていた。(磯部正和)
映画『TOKYOタクシー』は公開中


