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大森元貴の“聖域”を見た監督が感じたこと ミセスの300日間に密着し「心が震える瞬間」

『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~』よりMrs. GREEN APPLE
『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~』よりMrs. GREEN APPLE - (C) 2025 MGA Film Partners

 大森元貴(ボーカル/ギター)、若井滉斗(ギター)、藤澤涼架(キーボード)からなるスリーピースバンド Mrs. GREEN APPLE。どこまでも可能性の翼を広げながら今年デビュー10周年を迎え、今や前人未到を切り開くトップランナーとなった。ドキュメンタリー映画『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~』(公開中)では、彼らの今とその先、そして原点を追いかけつつ、映画と共に生まれた楽曲「Variety」が観客に届くまでの約300日間に密着。メンバーすら踏み入れたことがない“聖域”である、大森がゼロから楽曲を生み出す瞬間を捉えている。本作のメガホンをとった豊島圭介監督が、大森が“聖域”の扉を開いた心境について語った。

【画像】“剥き出しのミセス”を捉えた場面写真

メンバーが自覚するバンドの「過渡期」

ジェラートを食しながら驚きの会話を繰り広げる若井滉斗、藤澤涼架、大森元貴

 本作は、今年7月26日、27日に神奈川・山下ふ頭で開催され、合計約35万人を熱狂させたバンド史上最大規模(当時)の公演を再び体験できるライブフィルム『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~ ON SCREEN』 と同時公開となる、ドキュメンタリー映画。大森が菊池風磨timelesz)と共にダブル主演を務めた映画『#真相をお話しします』(2025)も手掛けた豊島が、監督を務めた。

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アーティストのドキュメンタリーを撮ることは、豊島監督にとっても新たなチャレンジ。「知らない世界に踏み込むことには不安もあった」と切り出しつつ、「日本で一番売れているバンドの姿をつぶさに見られるなんて、滅多にできない経験。それをやらない手はないなと思いました。音楽業界を生きる、彼らのビハインドにもとても興味がありました」と前のめりになって、約1年にわたることとなった密着がスタートした。

 映画の一つの柱となるのが、ミセスの全楽曲の作詞・作曲・編曲を手がける大森が、新曲を生み出す瞬間を捉えていることだ。“聖域”にカメラが入り込む企画はいかにして実現したのか? 豊島監督が目にした光景には、大森のバンドの現状に対する思いや、未来へと目を向けるチャレンジ精神がみなぎっていた。

 豊島監督は「大森さんは自分がやれないことに対してものすごい努力をする人なんです。もし失敗したとしても、そこから何を得て、次にどのように反映できるかを考えていく人」だと分析。「アーティストにとって作詞作曲をする姿を見せるというのは、きっと誰もが嫌なこと。でも大森さんは、何かを繰り返すのではなく、やったことのないものに挑み、自分自身も“その先”を見たいと思っている」と大森の目線について触れる。

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 劇中、大森が“もう誰も、僕たちに何も言ってくれない”と今はバンドにとって「過渡期」だと語る場面があった。豊島監督は「何か言ってくれたり、怒ってくれたりする人がいなくなったからこそ、自分たちが変わるためには恥をかく経験や、スパイスとなるものが必要。きっと俳優業も、そういう思いで挑んでいるんだと思います。見たことがないこと、見せたことがないことに臨んで、さらにそれをどうやったら楽しめるかと実験しているようなところがある。すごいですよ」と舌を巻く。

大森の曲作りの過程は「すべてが驚き」

大森がかつて味わった孤独を吐露する一幕も

 世代を超えてたくさんの人々を熱狂させている Mrs. GREEN APPLE。その新曲誕生の時間を「本当に撮ることができるかは、この映画にとっても運命の分かれ道だった」と語る豊島監督。深夜にこの映画のプロデューサーから「これから大森が曲を書く」と連絡があり、豊島監督が駆けつける場面は高揚感に満ちあふれている。

 「ものすごく緊張もしましたし、興奮しました」と大森の作業部屋に入った一夜を振り返る豊島監督は、「大森さんの背中を見つめる場所に、ほぼ正座状態でスタンバイして。最初に鍵盤を鳴らした瞬間は、“始まる!”とものすごく感動しました」と回顧。「サビから作っているのかと思いきや、メロディラインが決まっていないまま、オケを作っていたり」と大森が頭を抱えながら試行錯誤している様子を目撃しながら、「詞を先に作るのか、曲が先なのか、アーティストによっていろいろなタイプの方がいると思うんですが、大森さんは詞と曲を同時に作る。見ていて、すべてが驚きでした」と声を弾ませるように、監督がとんでもないものを目にしたような感覚が観客にも伝わるシーンとなっており、必見だ。

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 そうやって大森が作り出した楽曲「Variety」に、若井と藤澤は彼の熱に応えようと魂を注ぎ込みながら、ミセスの曲として完成させていく。レコーディングでは、大森が2人を鼓舞しながらぐんぐん豊かな表現を引き出していく一幕も。

 「大森さんは、“僕はこれだけ楽しんで作った。君たち2人は、僕と同じくらい楽しむレベルまでやって来てほしいし、それが僕ら3人の曲であり、3人である意味なんだ”と考えているのではないでしょうか。若井さんは、最初は上手にギターを弾こうとしていたけれど、大森さんが“ミセスとして、どう楽しめるかが大事だ”と話すと、すぐに楽しんで弾いてみようとする。藤澤さんは、自分のテーマソングとして音を鳴らしながら数日間を過ごしてみたりと、それぞれ大森さんのリクエストに対するアプローチが違ったりもする。それもとても面白かったです」

ミセスの楽曲が人々の心を震わせるワケ

そして圧巻のステージ!撮影:田中聖太郎写真事務所

 Mrs. GREEN APPLE は、2020年7月の「フェーズ1完結」宣言から約1年8か月の休止期間を経て、2022年3月に「フェーズ2開幕」として活動を再開。「フェーズ2」での快進撃は止まらず、国民的バンドへと成長してきた。大躍進の要因について、豊島監督は「まず、圧倒的な大森さんの才能。同時に大森さんは、自分がやりたいことは一人ではできないという自覚があり、バンドのメンバーとしてお互いを必要としている。そういったバンドとしての成熟度が、年齢を重ねるごとに増している」と思いを巡らせる。

加えて、「大森さんは視野が広くて、いろいろなものが見えていて。スタッフへの指示も的確で、周囲の人々の能力を引き出すような力がある。劇中で本作のエグゼクティブプロデューサーも言ってますが、大森さんはまるで戦国武将のように、適材適所に人材を配置して、全員を高みに連れていくんです。尊敬に値する人です」と大森のパワーについて言及。「僕もドキュメンタリーの監督に据えられて、高みに連れて行かれたような気がするというか。すべて彼の術中なのかもしれない」と笑いながら、「それでいて、どこかいたずらっ子のようなところもあって、すごくチャーミングなんですよね。その人間性にも惚れ込んで、みんな自分を捧げてしまうのではないでしょうか」と語る強固なチーム力も、ミセスの武器のひとつだ。

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 約300日間の密着を経て、「JAM'S(ミセスのファンネーム)の方たちは、彼らの歌う“孤独”に共感している人が多い」という発見もあった。劇中では、大森が深い孤独を抱えていることを吐露する一コマもあり、豊島監督は「大森さんは、幼少期の傷のように、周りと馴染めなかった孤独をずっと抱えていて。その話をしている大森さんの表情を見て、僕は心が震えました。そういった孤独を知っている彼が作る楽曲だからこそ、たくさんの人の心を惹きつけている」としみじみ。「Variety」がお披露目されたアニバーサリーライブ「MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~」では、「観客の皆さんが、初めて聴く楽曲なのにものすごく感動していることがわかった」そうで、「その顔を見ていると、観客に届いた時に初めて、曲が完成するんだと実感しました。この景色は、絶対に映画に収めなければと思いました」と力を込める。

 2025年12月31日をもって、「フェーズ2」を完結することを発表したミセス。本作は3人の“今”をキャッチしつつ、「フェーズ2」を締めくくる1本としても重要な意味を持つ。豊島監督は「彼らが現状を続けるつもりがないことはわかっているので、これからどうしていくのかにもとても興味があります」と、サプライズを仕掛けながら心の奥底の孤独に寄り添い、希望の光を届けるMrs. GREEN APPLEの今後にさらに期待していた。(取材・文:成田おり枝)

映画『MGA MAGICAL 10 YEARS DOCUMENTARY FILM ~THE ORIGIN~』と『MGA MAGICAL 10 YEARS ANNIVERSARY LIVE ~FJORD~ ON SCREEN』は公開中

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