山田洋次監督、お巡りさんと“幸福の黄色いカード”で交流 巡回カードに映画の感想

山田洋次監督が3日、都内で行われた映画『TOKYOタクシー』(公開中)の大ヒット御礼舞台あいさつに登壇し、本作をきっかけに警察官と“幸福の黄色いカード”による交流があったことをうれしそうに語った。この日は、俳優の倍賞千恵子、木村拓哉、蒼井優も来場した。
本作は、クリスチャン・カリオン監督のフランス映画『パリタクシー』(2022)を原作にした物語。タクシー運転手の宇佐美浩二(木村)と、その乗客となった85歳の高野すみれ(倍賞)が、東京の柴又から神奈川県の葉山に向かう道すがら、寄り道をしながら心を通わせていく姿を描く。
本作の反響を尋ねられた山田監督は、11月21日の公開翌日、家のポストに、周辺をパトロールする警察官による「異常なし」の知らせを伝える黄色い巡回カードが入っていたこと、そのメモ欄には小さな字で「昨日、新宿で『TOKYOタクシー』を観てきました。とてもいい映画でした。監督さん、ありがとうございました」と書かれていたことを紹介し、「僕は嬉しくてね。ピストルをぶらさげて歩いているお巡りさんのことを、向こうの方の人だと思っていたけど、急にそのお巡りさんが身近な人に思えてきて嬉しかったですね」と顔をほころばせた。
話には続きがあり、「翌日、派出所に行って、お礼を言ったんです。ご本人はいなかったけど、そしたら今週月曜日かな? また黄色いカードが入っていて『先日はわざわざお見えになってありがとうございました』って」と再びメッセージをもらったことを打ち明ける。そして、「本人の顔は見てないんだけど、黄色いカードを通して、お巡りさんとの交流が始まったから、これは『幸福(しあわせ)の黄色いカード』と言うべきかなぁなんて、家内と話をしたりしています」と自身が監督を務めた、高倉健主演、倍賞がヒロインを演じた名作『幸福の黄色いハンカチ』(1977)をもじってにっこり。「そんな風な観客もいるんだなっていうことは、とっても作り手にとって幸せです」としみじみと語った。
木村は、久しく会っていない人からも連絡が来たり、本作を鑑賞した多くの人から「ありがとう」と言われることを伝え、「本当は僕らが声を大にして言いたいことなのに、観てくださった方が自分たちに向けて言ってくださる『ありがとう』という言葉が印象的。(観客と僕たちの間で『ありがとう』という)言葉の往来が尽きない」と話していた。(錦怜那)


