岩井俊二×庵野秀明×鈴木敏夫そろって登壇 特撮企画から『式日』へ制作当時を振り返る

19日、都内で開催された「『式日』特別上映イベント 岩井俊二×庵野秀明×鈴木敏夫 ~IWAI SHUNJI Film Works 30th Anniversary 1995-2025 Special Event~」に、主演を務めた岩井俊二をはじめ、監督の庵野秀明、プロデューサーの鈴木敏夫が登壇。スタジオジブリが設立した「スタジオカジノ」で制作された、同作の撮影経緯を振り返った。
【動画】「 IWAI SHUNJI The Film Works 30th Anniversary 1995-2025」特別予告映像
この日の上映は、岩井俊二の映画監督30周年を記念して開催されるレトロスペクティブ上映「IWAI SHUNJI Film Works 30th Anniversary 1995-2025」の特別企画として実施。『式日-SHIKI-JITSU-』(2000)は、ジブリが立ち上げたブランド「スタジオカジノ」の第1回作品として、監督・脚本を手掛ける庵野の故郷・山口県宇部市を舞台に描かれた実写映画で、岩井が“描くべきテーマを見失った映画監督”である「カントク」役で主演を、鈴木がプロデューサーを務めた。
登壇した岩井は「3人で会うのは25年ぶり」と感慨深げ。鈴木も「僕は一度作った映画は観ない主義だったんですけど、今回、見直してみたら、岩井俊二はこんなに若かったんだなって。まあ、もう25年前ですから、若くてもみんな歳をとりますね」と笑顔で当時を懐かしむ。
そのうえで、鈴木は「庵野秀明は『風の谷のナウシカ』以後、色々ジブリに関わりましたが、この当時、ジブリの中でほぼ成り行きで『庵野秀明で実写映画を作ろう』って話が出たんです」と本作の制作経緯を紹介。「最初は大型の特撮映画を作ろうという話になっていた」と明かし、「戦艦が出てくる映画の予定だった。それがどんどん企画が変わっていって、最終的にこの『式日』に落ち着いた」と笑顔で紹介する。
庵野は「特撮は作るのが大変。実現可能な範囲の少し規模の小さな特撮作品に切り替えようとしたら、当時ジブリで絶大な権力を持っていた“Mさん”が反対して、特撮の構想は頓挫した」と笑顔で回顧。さらに「実現可能な映画でと言われたので、もっとアート的で実現可能な作品を撮っていいんだとなって、藤谷文子さんが原作の『式日』でいこうと言ったら、『いいよ』って話が決まった」と明かす。
そこで鈴木が「人が一人また一人と減っていた」とジブリ内部の動きを振り返ると、庵野も「規模が小さくなって少人数で、という事になって」と懐かしげに語り、「100人中、3人に届けばいいって思っていた。でもその3人の心には、一生心に残るものにしたかった」と作品への思いを明かしていた。(取材・文:名鹿祥史)
特集上映「IWAI SHUNJI The Film Works 30th Anniversary 1995-2025」 は2025年12月26日から2026年4月までTOHOシネマズ日比谷ほかで開催


