『ズートピア2』で最も重要なのはジュディ&ニックの“あのシーン”!製作陣インタビュー

ディズニー・アニメーション映画『ズートピア2』のジャレド・ブッシュ監督とプロデューサーのイヴェット・メリーノがインタビューに応じ、本作の要だというジュディとニックの関係について語った。(以下、『ズートピア2』のネタバレを含みます。本編鑑賞後にお読みください)
『ズートピア』(2016)は、あらゆる動物が共に暮らす文明社会“ズートピア”を舞台に、共に事件を追うことになったウサギの新米警官ジュディとキツネの詐欺師ニックの冒険を描いた作品。続編では差別や偏見といった前作からのテーマを引き継ぎつつも、メインとなるのは警察のバディとなったジュディ&ニックの関係だ。ズートピアに突如として現れたヘビにまつわる謎に迫る中で、二人のパートナーとしての関係が巧みに掘り下げられていく。
メリーノは「わたしたちはまず、本作では前作からどれだけ時間が経過した設定にしたいのかを決めようとした。“5年後”から始めて、“2年後”とかも検討したり」とさまざまな案があったと明かす。最終的に前作の直後から始めることにした理由は、本作が「ジュディとニック、そして彼らの関係についての物語」だからだ。「第1弾では彼らはうまく協力して事件を解決したけど、一緒にいたのは48時間くらいだった。だけど、第2弾での二人はパートナーであり、互いのことを本当に知ることになるの」
ブッシュ監督は、ジュディとニックの関係こそが本作の要だと断言する。「ニックとジュディの間には最初から、否定しがたいケミストリーがあった。言い合いをしている時でさえ、お互いのことが本当に好きなんだろうなというのがわかるはず。彼らの関係にはどこか不完全なところがあって、僕たちはそんなところが好きなんじゃないかと思う。彼らは個人としてもパートナーとしても欠陥があるけど、それは僕たち自身の鏡映しだから」と分析。
「だからこの物語に足を踏み入れるにあたり、もちろん“続編”として『観客を本当に楽しくてワクワクする冒険に連れていきたい』『新しい場所を見てもらいたい』という思いもあるけど、少なくとも僕にとっては、彼らの結び付き、彼らの友情を深く掘り下げることが重要で、彼らの関係こそが本作の要だった。観客にも彼らと時間を過ごして、彼らが互いにそうしていくように、二人のことをよりよく知ってほしかった」(ブッシュ監督)
そうして終盤に訪れる、事件を追う中で絆を試された不器用な二人が互いに本心を打ち明け合うシーンは涙を誘うほど圧倒的だ。ブッシュ監督は「認めるよ、僕たちも泣いたよ」とほほ笑むと、「あれは初期に書いたシーンの一つ。(ディズニー・アニメーションで)1作作るプロセスには約5年がかかるんだけど、実際にアニメーションを作るのは最後の1年でのことなんだ。それまでの4年間は、ストーリーを試しまくり、言うべきことを言うのに最適な“これぞ”という方法を探っている」と切り出す。
「あの瞬間は、彼らがついに正直に会話できるシーン。本作はアクションコメディーだけど、一番重要なシーンは、ただ2人のキャラクターが互いに話しているシーンというわけなんだ。僕たちフィルムメイカーは、あのシーンを本当に望んでいた。あのシーンを観たらすぐ、これが僕たちにとっての目指すべき“絶対的な指針”だとわかった。だから僕たちは常にあのシーンをターゲットとして、すべての時間をあの瞬間に到達させるために費やしたんだ」(ブッシュ監督)
本作には水生生物や爬虫類などが暮らす湿地の「マーシュ・マーケット」などズートピアの新たなエリアが登場するが、そうした新エリアもジュディ&ニックの関係を描く上で最も効果的なものを採用したとブッシュ監督は言う。
「もちろん『みんなを異なる場所へ連れていきたい』『観客を驚かせたい』というのもあるけど、核となるのはいつだってニックとジュディだ。だから、彼らが行くすべての場所は、彼らを“快適なゾーン”から出すことを目的としてデザインされている。第1弾ではニックは街のことを誰よりもよく知っていて、ジュディにとって“街の大使”だった。だけど本作では、二人が行くところすべてが、彼にとって初めての場所。つまり、彼にはこの関係に与えられるものがないってこと。彼らは他からの助けを必要とすることになるけど、それが彼を居心地悪くさせる。そして僕たちは、文字通り彼が苦手な場所を選んだ。彼は高所が苦手だから僕たちは彼を崖の端に置き、水中があまり得意じゃないから水中に置いた(笑)。だからそうした場所を訪れる結果として、多くのキャラクター構築が行われているんだ」と秘密を明かしていた。(編集部・市川遥)
映画『ズートピア2』は公開中


