【ネタバレ】『ズートピア2』まさかの名作オマージュ あの“迷路”はいかにして誕生したのか

ディズニー・アニメーション最新作『ズートピア2』(全国公開中)の共同監督であるジャレド・ブッシュ&バイロン・ハワードが、劇中に登場する名作映画のオマージュがいかにして誕生したのかを、Varietyに明かした。(以下、映画のネタバレを含みます)
【画像】あれから40年…『シャイニング』大人になったダニー少年の姿
全世界ヒットを記録した『ズートピア』(2016)の続編となる本作。警察官になったキツネのニックが、ウサギの警察官・ジュディと再びタッグを組み、あらゆる動物が共に暮らす文明社会「ズートピア」の歴史にまつわる巨大な謎を解き明かしていく。
劇中にはディズニー作品や名作映画にまつわる小ネタやオマージュシーンがいくつも登場するが、中でも大々的なのが、スタンリー・キューブリック監督による傑作ホラー『シャイニング』(1980)へのオマージュだ。映画終盤、特許証を狙うオオヤマネコのパウバートが、ジュディ&ニックを追って巨大な迷路園(※生垣を用いて作られた巨大迷路)へと足を踏み入れる。その景色は、『シャイニング』の舞台となったオーバールック・ホテルの敷地内にある迷路園そっくりで、わずかだがお馴染みのテーマ曲も流れる。
ブッシュ監督曰く、オマージュシーンは早い段階からアイデアが存在していたが、何百万枚もの葉で構成された迷路園の制作とそれを雪で覆う作業が必要になるため、アニメーターにとってはかなり大きな挑戦だったという。
そこで提案したのは、ニックとジュディが迷路を走り抜けるのではなく、巨大な雪上車で迷路ごと破壊するアイデアだった。「好きなように壊せるわけではありません。破壊シーンの全てがデザインに組み込まれていなければならず、雪上車が通るルートも正確に決める必要があります」とブッシュ監督は苦労を語る。
オマージュシーンを担当したのは、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ屈指の『シャイニング』ファンであるアニメーターだった。ブッシュ監督曰く、そのアニメーターは担当割り当ての当日に『シャイニング』のTシャツを着てアニメーション部に現れ、「このショットを僕にやらせてください」と直談判したという。
パウバートが足を引きずりながら迷路園を徘徊する姿は、『シャイニング』終盤のジャック・ニコルソンそのもの。ブッシュ監督も「そこには、ジャック・ニコルソンになりきった狂気のパウバートがいて、本当に素晴らしかった」と大満足の仕上がりだ。
ハワード監督も「エフェクト、アニメーション、風、キャラクターの毛並み、すべてが揃った状態のショットで、パウバートが足を引きずりながら、雪で覆われた迷路を進む……僕たちはそのシーンを観て爆笑しました。本当に最高でした」と『シャイニング』の再現ぶりを絶賛している。
またハワード監督は、『シャイニング』のオマージュシーンが子どもや若者に理解されないかもしれない懸念に対しても「子どもたちには『このキャラクターは悪いやつ、だからヒーローたちがやっつけるんだ』と思ってくれれば十分です」とも回答している。(編集部・倉本拓弥)


