【ネタバレ】「相棒」年内ラストは感動の結末 右京の静かな救いに涙

ドラマ「相棒 season24」(テレビ朝日系・毎週水曜よる9時~)の第9話「カフカの手紙」が、17日に放送された。特命係の杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)が紐解いた、文豪・カフカの手紙のエピソードをひいた物語は、「涙出ちゃった…」「期せずして癒された」「今年最後の相棒で……大号泣させてくるやん……」「やばいやばいやばいやばい。ステキなラストすぎ」「静かすぎる救いに涙が出る」「今日の話は悲しくもほんのりと温かいなぁ」と大きな反響を呼び、「カフカさん」など関連用語が一時トレンド入りした。(以下、内容に触れています)
公園で発見された身元不明の老人(小須田康人)の遺体の傍には、3,052万円という大金が紙袋で無造作に置かれていた。犯罪絡みの事件かと思われたが、外傷はなく死因は病死。捜査一課の伊丹憲一(川原和久)は「天下の捜査一課がこんなことに関わってられるか」、芹沢慶二(山中崇史)は「じゃ、あとは暇なお二人に託します」と特命係に身元の確認を任せて、早々に引き上げていった。
解剖の結果、直接の死因は心筋梗塞だが、全身がガンに侵されていたことがわかった。角田課長(山西惇)は「絶対まっとうな金じゃねえよ」と犯罪がらみの可能性も指摘するが、紙幣の内訳が年代の違う1万円札だったことから、長年にわたってコツコツと貯めた金だと推測された。
似顔絵を元に聞き込みを開始した特命係は、老人が「カフカさん」と名乗り、公園で少女・美香に手紙を読み聞かせていたことを突き止めた。美香が無くしてしまったぬいぐるみが世界中の冒険の旅に出ているという物語を手紙形式で語り、他の子どもたちも楽しみにするほど面白かったという。それは、小説「変身」で有名なフランツ・カフカの実際のエピソードをなぞったもの。「文学に造詣のある方だったのでしょうね」と右京は感心する。
可愛らしい便せんは、公園のカフェ「エアツェールンク」で買ったらしい。店主の女性(宮本真希)によると確かに老人は買い物に来たというが、会話らしい会話はなかったらしい。店は近々閉店すると、女性は片付けをしていた。
指紋から、老人がバブル時代に悪どい金儲けをしていた大原隆一だと判明した。所得税法違反で逮捕歴あり、執行猶予付きで終わったが、バブルがはじけたことで多額の借金を背負っていた。特に銀龍会の大幹部の億単位の金をパーにしたことで組から執拗に追われていたが、これまで姿をくらましていたのだ。
「大原隆一が生きてたっていうのは驚きだね。大騒ぎになるぞ」と角田が言うその後ろには、伊丹、芹沢、出雲麗音(篠原ゆき子)の姿が。「さては今になって手柄の匂いに吸い寄せられたか」と薫が言えば、「特命係がちゃんと仕事してるか確認しに来たんだよ」と伊丹。彼は右京に「多少の協力はやぶさかではありません」と言い、3人は口々に「失敬」と去って行った。薫の「課長、御唱和願います」に合わせて、2人は「暇か!」と声をそろえる。息の合ったやりとりにネットは「年内最後のコントか、テンション上がるなあ」「これが相棒の好きなところ」「結局みんな仲良しで和んだw」「かわいすぎるwww」と大盛り上がりしていた。
事件ではないのにまだ捜査を続けるのかと問うこてまり(森口瑤子)に、右京は「まだ謎はたくさんありますからね」、薫は「右京さんがこうなったら誰にも止められませんので」。さらに、記事を書いたのが帝都新聞を中途退社してフリーライターになった、自身の大先輩にあたる村沢榮治(工藤俊作)だと美和子(鈴木砂羽)が気づいた。大原と個人的な付き合いもあった村沢は、大原の借金のために組に追われ続けた妻が自殺し、娘の美幸も行方知れずだと語る。大原は、児童文学の作家になる夢に敗れた男だった。
美香が、カフカさんは大きなビルの工事現場で赤い棒を振る仕事をしていたと教えてくれた。捜査一課が見つけた大原の勤め先の会社では、先代社長・西本省吾(大滝寛)が大原の幼馴染だったという。西本は、彼が昔から作文がうまかったこと、内山洋という偽名を使わせていたこと、借金を抱え周囲から見捨てられて泣きつかれたことなどを語った。大原が妻と連絡が取れなくなり、その死を知ったのは5年後のこと。行方不明の美幸の行く先を調査会社に頼んで見つけたのは、末期がんが判明したからだろう。だが、大原は会うのをためらっていたという。
社員寮の大原の部屋には、畳の下を金庫代わりにしていた痕跡と、調査会社からの報告書があった。特命係が赴いたのは公園のカフェ。店長の女性が美幸だったのだ。便せんを買ったのが父かもしれないと思ったというが、「わたしと母を捨てた人です」と遺骨の引き取りを拒否する美幸。特命係は、夫のギャンブルの借金を肩代わりした美幸に、大原が金を渡そうとしていたと知らせる。
大原の顔も覚えてない、「今さら許せるはずがないじゃないですか」と泣く美幸に、右京はどうして老人が父親じゃないかと気づいたのかと聞いた。「声です」と美幸。「寝る前にいつも、物語を聞かせてくれたんです」「大人になった私が、世界中を冒険する物語でした」
カフェの店名はドイツ語で「物語」という意味だと語る右京。「どれほど憎んでいても大原さんに聞かされた物語が、あなたの支えになっていた、そう思えるのですがね」という右京の言葉を一度は拒絶する美幸だったが、最終的に、遺産相続は放棄するも遺骨は引き取ると言ってくれた。
「読むのは、君のほうがいいですかね」と右京は自身が書いた手紙を薫に渡した。「カフカさんのことは心配しないでください」という内容を、美香に読み聞かせる薫。噴水の前でお辞儀をするカフカの姿は、右京が見やった時には消えていた。
「こうして役割分担ができるのが右京亀山コンビのいいところ」とラストのやりとりにほっこりした声と同時に、右京が手紙を書く展開には「右京さん、流石の文章力」「右京さんがこんなことするとは! そういえば右京さんも昔は小説書いてたっけ」「右京さんもなんか『物語』書いてたことあったよね 幻の同人誌……」「杉下右京の書いた小説を、また読み……、聞き……観たいです」と、season4第8話「監禁」を思い出した人も多かったようだ。
また、今回も捜査一課と特命係のじゃれあいは健在。上記以外にも、「お前のその量の目は節穴か」「うっせえな、この亀」というやりとりもあった。大原の勤務先を見つけるも「あとは我々が。天下の捜査一課のみなさん、ごくろうさまでした」と薫におどけられて驚き、「え、終わり? 俺たち」と慌てる芹沢の姿が楽しい。「捜一終了のお知らせ(笑)」「天下の捜査一課を露払いのように使い倒す特命係」「トリオをパシリに使うとは」とSNSはにぎわっていた。
「こてまり」でバブル時代の話になり、当時駆け出しの赤坂の芸者だったというこてまりに薫が「いい思いしたんですか?」と聞くと、ものすごく含みのある笑いを浮かべながら「内緒です」。深みがありすぎる彼女の過去が気になるところだ。さらにファンのチェックポイントとしては、緊張気味の美香の心を薫がさらりとほぐしたところだろう。さすがの人懐こさと、サルウィンでの先生経験が生きている様子に、ネットも「薫ちゃん子ども好き健在」「対子どもで無双する亀山愛してる」とほっこりしていた。
次回は2026年1月1日夜の元日スペシャル。「推理小説になぞらえての見立て殺人! 楽しみ!!!」「元旦スペシャルが今までにない相棒で楽しみ過ぎる。そして誰もいなくなったみたいな話かな?」「スケールが大きくて今から楽しみだ!!」「元日スペシャルはクローズドサークル? たのしみすぎる」と待ちわびる声が続々。だが「またまた相棒お得意の元旦から物騒ごとを。甲斐パパァァァァァァァァァァァ」と、苦しんで倒れる様子が予告で映し出された甲斐峯秋(石坂浩二)の身を案ずる声もあがっている。(文・早川あゆみ)


