山路和弘「喉を引っ掻いたような…」コンプレックスが“ステイサムの声”に 激シブボイスへの支持に感謝

アクションスター、ジェイソン・ステイサムの吹替えを20年以上にわたり担当する山路和弘。最新作『ワーキングマン』(1月2日公開)でステイサムが見せるのは、タフな元特殊部隊員にして、娘に深い愛情を注ぐ優しい父親の顔。山路が長年の経験から読み解いた、ステイサムの二面性が同居するという本作の魅力を語った。
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ハードな骨太アクションをはじめ、パニック、クライム、スパイ、コメディーアクションまで、数多くのアクション映画で活躍してきたステイサム。そのほぼ全てで声を担当してきた山路は、ステイサムが演じるキャラクターに二つの特徴を見出しているという。
「去年の『ビーキーパー』で演じたクレイのような寡黙でストイックなキャラクターと、娘や仲間を守る優しさのにじむキャラクターの二方向に分かれるような気がしているんです。『SPY/スパイ』(2015)のようなアクションコメディで見せる顔も魅力的ですけどね」
『ワーキングマン』の主人公ケイドは、まさにその二面性が融合したキャラクターだ。妻を失った過去を抱える元特殊部隊員にして、一人娘のために現場監督として働き仲間たちをまとめる頼り甲斐のある男。娘には優しい笑顔を見せる一方で、世のためにならない悪人には容赦しない。
この悪人に対する残虐さと身内への深い愛情というギャップが、本作のキャラクターの魅力につながっていると山路は語る。「今回のケイドは、孤独でストイックな元特殊部隊員としての方向がありながら、娘や自分の恩人たちに対する優しさが劇中に散りばめられている。それでも、ふとした瞬間に孤独さがのぞく瞬間もあったりして、彼の両方の魅力が備わったちょうど良さがあると思います」
そのステイサムの感情を日本語で表現するのが山路の演技だ。劇場でかかる吹替えでは、スクリーンに大きく投影される俳優の口の動きにセリフを合わせるため、細かな工夫が求められる。「ある意味でごまかしですよね。やはり錯覚を起こすのが我々の仕事というか。日本語がうまい外国の方に見せるために語尾や息遣いを合わせて騙しているという部分はあります」
長年の経験もあって、アフレコはスムーズに進行する。その根底には、山路がステイサムの息遣いを完璧に把握していることがあるだろう。「そこは付き合いが長いのもありますから(笑)。流石に演技を先読みしたりはできませんが、ステイサムが話しているところを観ていて、“ここで息継ぎをするな”って瞬間で感じたりすることはありますね」
そう語る山路は、絶大な人気を誇るその“声”にコンプレックスを抱いていたこともあったという。「今はこうしてお仕事をいただいていますが、昔は喉を引っ掻いたような声だって言われたこともありますからね(笑)。ある方に『あなたの声はベルベットボイスよ』って言われて、いいじゃないですか! どういう声なんですかって聞いたら『喉を引っ掻いたような』って言われて、そっちかよって(笑)」
しかし今や、ステイサムだけでなく、多くのキャラクターの声としてファンに愛される存在に。「まさかここまで声のお仕事させてもらえるとは思っていなかったので、ありがたいですね。今では、あえて枯れ声を使ったりすることもあって、“そうか、これが仕事っていうことなのか”と感じることもあります」
仕事といえば、現場監督から『ビーキーパー』の養蜂家など、近年はどんな職業を演じるのかも注目されているステイサム。山路にどんなステイサムを見たいか尋ねると「ちょうど医者の役ってないよなっていう話をしていたんです。医者だけど実は“仕置き人”だったみたいな役。きっと彼ならできそうですよね」と笑顔。そのうえで、これからもステイサムの声を担当し続けることへの希望を語った。「やらせていただけるならぜひ。ステイサムもまだ若いですから、いろいろな役ができると思いますからね」(編集部・入倉功一)
映画『ワーキングマン』は2026年1月2日より全国公開


