「ばけばけ」松野家&雨清水家が一つになった瞬間 感動のラストシーン秘話

9日放送の連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)第14週・第70回では、ヒロイン・トキ(高石あかり※高=はしごだか)とヘブン(トミー・バストウ)が、松野家&雨清水家の両家にあいさつする日を迎えた。制作統括の橋爪國臣と演出の村橋直樹が、“15分ワンシーン”のように描かれた家族顔合わせの裏側を語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
トキとヘブン、お互いが隠しごとや不安でモヤモヤした気持ちを抱えたまま迎えた家族顔合わせの日。第70回では、ヘブンが錦織友一(吉沢亮)や松野家、雨清水家の面々の前で疑念をぶつけ、それを機に両家が“一つの家族”であることを再認識し合う印象的なシーンが映し出された。
橋爪は「今までの家族のあり方が一気に回収されるシーン」と第70回の該当シーンを振り返り、「そこを重々しく描くのは違うと、脚本のふじきみつ彦さんと話をしました。ヘブンの言葉を通して、くすぶっていた家族の問題点が噴出するわけですが、最後はそれをみんなでカラッと受け止めてしまう。このドラマらしいシーンだと思いました」と感想を述べる。
第70回のラストシーンでは、家族全員が縁側の外に向かって「だらくそ」(出雲の方言で「馬鹿やろう」)と叫んだ。「松江の人の言葉を入れる中で、『だらくそ』という言葉はこれまでも使っています。松江の人たちが、どうしようもない気持ちをぶつける時に使う言葉です。『だらくそ』はかなり荒い言葉でもあるので、今の松江の人も使うけど、そんなに頻繁に使う言葉ではありません。家族の話をずっと描いてきて、いろんなことが解決しているようで解決していない。この回でその部分に、ようやく一度丸がつく。そして、三か月溜めこんだものが一気に噴出する。その思いを乗せて『だらくそ』と叫ぶシーンは、みんなの感情が宿ったとてもいいシーンになったと思います」(橋爪)
村橋も「三之丞(板垣李光人)がとてもいい表情をしてくれているんです」と同じく笑顔で感動のラストシーンを振り返る。「トキたちが生きてきて、存在のないものに向かって馬鹿野郎という意味の『だらくそ』を叫ぶ。行き場のないものに何かをぶつけることで救われることもあるよねって。今、生きている私たちも包括するようなすごくいいシーンになったと思います」
続けて村橋は「15分ワンシーンみたいな感じ。でも、カメラの数に限りがあるので、4つか5つのブロックにわけて撮影を行いました」と現場の様子を明かし、「3つ目のブロックの撮影時に、まだリハーサルしていない、次のブロックの時までカメラを止められなくてずっと回し続けていました。北川(景子/雨清水タエ役)さんを撮っている時、2回目はもうこの表情は出ないと思ったので、止めるに止められなかったんです。15分のシーンだけど気がつくと25分になっていて、編集は大変でした」と話す。
三之丞がヘブンに隠していたことを打ち明け、頭を下げて謝罪するシーンについても、村橋は「煮え切らない思いを抱えている三之丞という役は、板垣さんのパーソナルな部分も借りて造形させてもらいました」と振り返り、「北川さんとのお芝居のところも好きだけど、私が一番好きなのはトキが『ママさん』って言った時に、板垣さんがホッとしたように涙を流す場面です。自分のことで精一杯だった人が、初めてそこで客観的に自分と周りの人が見えたんだなって。あそこが本当にすごく印象に残りました」と振り返っていた。(取材・文:名鹿祥史)


