「ばけばけ」トキの噂話にヘブン激昂…夫婦の負の部分を描く意図

連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の第18週では、ヒロイン・トキ(高石あかり※高=はしごだか)をめぐるネガティブな噂話に、夫のヘブン(トミー・バストウ)ら松野家の面々が翻弄される。3日放送の第87回では、トキが「ラシャメン」とレッテル貼りされ、激昂したヘブンが自身の日録を連載している記者・梶谷(岩崎う大)に怒りをぶつけた。制作統括の橋爪國臣が、当該シーンに込めた思いや、第18週でトキとヘブンの抱える負の部分にあえてスポットを当てる理由を語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
橋爪は「第17週まではトキとヘブン、そして家族が持ち上げられる様子を描いていたのですが、それだけではないものをきちんと描かなければと思っていました」と負の部分にスポット当てる展開は事前に考えて作った設定だと説明する。「史実上でも、セツさんはラシャメンと呼ばれ、石を投げられたことがあったと、資料に記録されています。その負の部分も描かないといけないということは、最初の段階から考えていました」
第18週の展開は、二人の結婚生活が落ち着くタイミングを見計らって描こうと思ったという。「今の時代もSNSだったり、いろいろなところで似たようなことが起こっています。おそらく、いつの時代も起こっていたことでしょう。現代は、それがイノベーションによって、スピードが速くなり、顕在化している。トキとヘブンの間に起こる今回の騒動が、現代と通じる物語になっていればいいなと思いながら撮影を進めました」と橋爪は振り返る。
第87回では、記事に対する世間の反応に驚く松野家の前に、梶谷がのこのことやってくる。激昂したヘブンは、彼に怒りをぶつけ、庭先で彼を投げ飛ばしてしまう。橋爪はこのシーンについて「今までヘブンが激昂するということはあまりなかった。一人で勝手に怒っていることはあったけど、誰かに対してこれほどの怒りを見せるのは初めて。その姿をトキが見るのも初めてだと思います。ヘブンの今まで見せていない一面を見せるためのシーンでした」と説明する。
撮影は、ヘブン役のトミーが解釈した通りに進められた。「基本はトミーさんの解釈通りです。あれがトミーさんの怒りのぶつけ方なんだと思います。高石さんは彼の姿を見て『怖かった』と話していました。逆に自分のために彼が怒っていて、それだけトキを思っているともいえる。いろんな解釈ができるシーンに仕上がったと思います」
投げ飛ばされた梶谷役の岩崎の反応についても「裏ではみんな仲がいいので、ワイワイ話しています。今回のシーンに関しては『ちゃんと投げ飛ばされたな』と言っていて、もちろんアクション指導もついての撮影ですが、想定よりちゃんと投げ飛ばされたことを彼なりに驚いていたのが印象的でした」と回顧した。
また、緊迫したシーンを撮影すると、スタジオが静まり返ることもあるそう。橋爪は「ああいうシーンを撮ると、周りがやけに静かになるんです。感情的なシーンがあって、スタッフや演者も静かにそれを見つめている。でもその後は、前室で『怒ってたね』とか当人に話しかけたりして、その場を和ませている姿もよく見かけます」とも話していた。(取材・文:名鹿祥史)


