「テミスの不確かな法廷」伏線回収も!これまでと今後の裏側を演出陣が明かす

松山ケンイチ主演のドラマ「テミスの不確かな法廷」(NHK総合毎週火曜夜10時~10時45分ほか)が、ミラノ・コルティナ2026オリンピック特別編成による休止を経て、24日より放送再開となる。同作の演出陣が、24日放送の第6話の見どころやキーパーソンとなる齋藤飛鳥の演技、制作にあたっての取材の裏側を語った。
新聞記者・直島翔の小説を原作とした本作は、松山ケンイチ演じる発達障害を抱える特例判事補・安堂清春をはじめ裁判所職員、検事、弁護士、それぞれが真実を求めてぶつかり合う緊迫した法廷の攻防と、時にかみ合わない会話をコミカルに描き、“普通”とは何か、“正義”とは何かを問いかけるストーリー。共演に鳴海唯、恒松祐里、山崎樹範、山田真歩、葉山奨之、小木茂光、山本未來、入山法子、市川実日子、和久井映見、遠藤憲一ら。
松山演じる安堂は、幼少期にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)の診断を受け、職場にはその事実を告げていないことからさまざまなトラブルに見舞われてきた。第1話「裁判官忌避」・第2話「真実義務と誠実義務」・第7話「裁判所主導の職権主義」・第8話「向き合う覚悟」を担当するチーフ演出の吉川久岳は、松山の演技について「第1話の冒頭で、安堂が歩道のタイルに沿ってまっすぐ歩いていくところは特に印象深い場面の一つです。あえて安堂の表情を見せずに彼が抱えている悲しさを表現したかったんですけど、すごく難しいなとも思っていて。撮影初日で松山さんも探り探り演じている部分があったと思いますが、リュックを背負ったその背中がものすごく悲しそうに見えて手応えを感じることができました。安堂というキャラクターを理解するうえでも重要な意味を持つシーンです」と振り返る。
また第7話・8話については「まだお話しできない部分が多いのですが」と前置きしつつ、「25年前の事件の真相を追究していく中で、地裁の人々の安堂に対する理解が深まっていったり、チーム感が色濃くなっていくのも見どころの一つだと思います。物語の前半で描かれていた伏線がこんなところにつながっているのかという驚きの展開もありますし、最後に安堂が法廷で何を話すのかというところもぜひご注目いただけたらと思います。松山さん自身も「まさかこんなふうになると思っていなかった」と驚いていたくらい、松山さんと安堂が一体となった芝居に、最後までぜひご期待ください」と期待を煽る。
24日放送・第6話「再審請求審」を担当したのは富澤昭文。今後、安堂と父である最高検察庁次長検事・結城英俊(小木茂光)との関係にも焦点があてられるという。「第1~5話でも時折出てきた「前橋一家殺人事件」。その全貌が少しずつベールを脱ぎはじめるのが、放送が再開される第6話です。この事件の詳細と並行して、安堂が誕生した瞬間まで時を遡り、結城との親子関係に光を当てていきます。演出するうえで意識していたのは、「変わっていくもの」と「変わっていかないもの」があるということ。つまり、大人になった安堂が持っている特性は、子どものころからそうだったのか、あるいは成長とともに変わっていったのかを明確に描こうと思いました。安堂は、赤ん坊のとき、小学校のとき、そして現代と父親の腕を掴む場面が3回あるのですが、それぞれ意味合いが異なるので、その違いが視聴者の方にもうまく伝わるといいなと思っています」と語る。
第6話以降のキーパーソンとなるのが、齋藤飛鳥演じる吉沢亜紀。富澤は齋藤の演技を「齋藤飛鳥さんの存在は、ラストに向けてすごく大きいと思います。父親の遺品を見て感情的になる場面が描かれるのですが、それが齋藤さんにとっての撮影初日だったんです。非常に難しいお芝居だったと思いますが、目の表情から亜紀の葛藤や裁判への思いが強く感じられました。すでに出来上がっているチームに自ら積極的に加わろうと努力される姿勢もすばらしかったですね」と絶賛。
また、ドラマの要ともなる法律やASD・ADHD関連の取材を担当した山下和徳は、「ドラマの中で、安堂が落ち着きなく机を指で小刻みに叩く場面が出てきますが、ASDの人とADHDの人とではその行動に至る理由が全く違います。ASDの場合、何かモヤモヤしたり自分のルーティンから外れると不安になり、それを抑制するために指で刺激を加える。一方、ADHDの場合はじっとしていられない衝動から動き始めるわけです。しかし、定型発達の人から見ると、この特性の違いはなかなか区別がつかないでしょう。ASDの人は他者とのコミュニケーションに苦労することが多いという共通の特徴があります。ただ、安堂の場合は、自分の意思を言語化できるために周囲の人から障害を持っていることを認識されにくい傾向にあります」とASDとADHDの違いに言及。演出を担当した第3・4話について「そうした特性やカムフラージュしている部分を分かりやすく可視化することで、安堂の生きづらさや葛藤をできるだけ理解してもらいやすいよう意識して演出しました」と話している。(石川友里恵)


