「ばけばけ」最終回、蚊の逸話&ラストシーンの解釈は…制作統括が明かす舞台裏

高石あかり(高=はしごだか)主演の連続テレビ小説「ばけばけ」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか ※土曜は1週間の振り返り)の最終回(第125回)が、27日に放送された。ヘブン(トミー・バストウ)の死後、トキが二人の日々をつづった「思ひ出の記」にスポットが当てられ、物語は静かに幕を下ろした。制作統括の橋爪國臣が、フロックコートの逸話や蚊のエピソードなど、最終回にまつわる舞台裏を語った。
連続テレビ小説の第113作「ばけばけ」は、松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々をフィクションとして描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
小泉八雲は「蚊に生まれ変わりたかった」という逸話を残しているが、そのエピソードが第24週&最終週で印象的に取り上げられる。
「蚊のエピソードは素敵なエピソードなので、最後に扱えたらいいなと思っていました。第24週を書くとき、最終週で取り上げることを前提に、その前振りとなるシーンを入れてほしいと(脚本のふじきみつ彦に)お願いして、入れ込んだのが第24週のお寺のシーンです。最終週のラストでは、並んだ本の前を蚊が通り過ぎる演出がありますが、あれは演出の村橋(直樹)のアイデアです。蚊は小さくて見えにくいので、CGでも難しいんです。劇中の蚊も実際の蚊より相当大きく作って再現しています」
蚊については、トミーが関連番組で、お墓参りをした時に蚊に手を吸われたというエピソードを紹介して話題となったが、橋爪はドラマの内容と紐づいたような撮影中の出来事が、他にもあったと紹介した。「八雲の導きなのか、出雲の神々の導きなのかわかりませんけど、何か、いろんなことが偶然うまくいくようなことがいくつかありました」
フロックコートのエピソードについては、「思ひ出の記」に登場する逸話を膨らませたという。「最終回では、トキが今まで恨めしいと思っていたことが逆転するようなエピソードを作りたいと思っていたんです。日々の日常の中、当時は恨めしかったけど、今から考えるとすごく素敵だったと思えるような感じで、話し合いの中で、ふじきさんから出てきたアイデアがフロックコートです。『思ひ出の記』の中には、フロックコートが嫌いとだけ書かれてあり、そこから話を膨らませました」
松野家がフロックコートの話を思い出して笑い合う中、フミが突然、トキに「(ヘブンとの生活が)たわいもない、素晴らしい日々だったじゃない」と声をかけ、トキが号泣する。橋爪は「ここまでくると何かを無理やり演出しなくても、勝手にああなってしまう」と当該シーンの撮影を振り返る。
「朝ドラの歴史で、こんなにも家族が延々と登場する作品ってそうそうなかったと思います。それこそ池脇(千鶴)さんも、ヒロインじゃないかっていうぐらいの出番でした。高石さんと2人でずっと一緒にいて、一緒に芝居をしてきて、ああいうセリフが書かれたら、自然にああいう感じになるんです」と泣きのシーンの雰囲気が、撮影現場で自然と生まれたものであると紹介した。
また「たわいもない、素晴らしい日々だったじゃない」というセリフについては、どの人物に言わせるかで話し合いを持ったという。
「司之介(岡部たかし)が言うべきなのか、フミが言うことなのか……ふじきさんと演出の村橋で話し合う中、やっぱり最後は、母親として見守ってきてフミが、それを言うのが一番響くのではないかという結論に至りました。フミに言ってもらった結果、自然と生まれたのが、あのお芝居です。泣きのシーンでリアルな感じをさらりと出せる高石さんは、改めてすごいと思いました。本当にあのシーンをために、このドラマを頭からやってきたようなものなんです」
ヘブンとの結婚生活の日々をつづった回想録「思ひ出の記」については、「ドラマは第1週から第25週まで『思ひ出の記』の内容にだいぶ沿っていた」と回顧。「ドラマを見た後に、回想録を読む人もたくさんいると思いますが、読んだらそれがわかると思います。本当に素敵な本です。2人の関係性、若い頃の関係性がわかります。これをドラマにしようというのが、『ばけばけ』の出発点でした。『思ひ出の記』とドラマが重なって見えたのなら、この作品がうまくいったという証拠かなと思っています」
また、トキがろうそくの火を消すラストシーンについても、橋爪は「最後は、物語の始まりで終わるというのをやりたかった」と意図を明かす。「あの世界が何なのかは、ご想像にお任せします。きっと、二人が夜な夜な楽しい話をして、散歩をしたというシーンだと思います」と個人の解釈を述べ、高石とトミーのクランクアップが、同シーンであったことも紹介した。「本当に最後ですから、みんな笑って泣いてという感じでした。スタッフもみんな集まっていて、10名以上の出演者が東京からわざわざ駆けつけてくれました。素敵なクランクアップでした」(取材・文:名鹿祥史)


