【ネタバレあり】『ゴジュウジャーVSブンブンジャー』歴代レッドで粋な演出 中澤祥次郎監督が明かす製作秘話

スーパー戦隊シリーズ50周年と「VSシリーズ」30周年を記念したVシネクスト『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSブンブンジャー』を手がけた中澤祥次郎監督がインタビューに応じ、歴代レッドも登場する集大成作品の裏側、リピーターに向けた2回目以降の楽しみ方について語った。(以下、本編のネタバレを含みます)(取材・文:編集部・倉本拓弥)
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光の吠は「宝塚みたいな感じで」
Q:Vシネクストの方向性について、脚本の樋口達人さんや松浦大悟プロデューサーとはどのように固めていったのでしょうか?
中澤祥次郎監督(以降、中澤監督):レジェンドのみなさんが出演されますということは事前にお話しがありました。アニバーサリー作品ではありますが、あくまでも「ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー」「爆上戦隊ブンブンジャー」をどう絡めていくのかが大事でした。松浦プロデューサーの中では、「ゴジュウジャー」最終回は吠が他の仲間を求める話で、『VS』は対になるような、他の仲間が吠を求める話にしたいという構想があったそうです。そこから、最終回後のブンブンジャーがどう絡むのか、誰と誰が組んだら面白いのかなどを考えていきました。
Q:撮影中に感じた「ゴジュウジャー」キャストの変化や成長はありますか?
中澤監督:「ゴジュウジャー」は途中参加(第22話&第23話~)なので、僕が入った時には、ある程度それぞれのキャラクター像が固まっていました。その時と比べると、全員お芝居に変化が見られて、それぞれがキャラクターとして生きている感じがしました。
Q:品行方正となった光の吠/セイントゴジュウウルフはどのようにキャラクター構築していったのでしょうか? 冬野心央さんの演じ分け秘話も教えてください。
中澤監督:「吠が2人になったらいいよね」という話になり、2人ならどちらかが良い人、もう一方は悪い人だよねということで、最終的に光と影の吠を登場させたと記憶しています。
演出については、まず(冬野)心央に「まずは思った通りやってごらん」と伝えました。その後、こちらから「宝塚みたいな感じでやってみたらどう?」とオーダーして、もう少しオーバーに、ゆったりした感じで演じてもらいました。陰がある通常の吠の真逆を行くので、「もっと歌うように喋ってもいいんじゃない?」など、心央と話し合いながら作っていきました。
Q:ゴジュウジャーとブンブンジャーがバラバラになるパートのメンバー編成、中澤監督が特にお気に入りの組み合わせはありますか?
中澤監督:松浦プロデューサーたちと一緒に、どの組み合わせが1番面白いんだろうっていうことを、パズル的な作業でやっていきました。シャーシロ(ブンブルー/鳴田射士郎)は誰と合わせてもマイペースだと思うので、ゴジュウポーラー/熊手真白と組ませてみるのは面白そうだと、松浦プロデューサーが言っていたと記憶しています。キャスト同士(葉山侑樹と木村魁希)も仲が良かったので、いい組み合わせだったと思います。
また、ゴジュウレオン/百夜陸王(鈴木秀脩)とブンピンク/志布戸未来(鈴木美羽)も誰とでも上手くやっていけるキャラクターですよね。多少の対立軸もほしかったので、未来が唯一苦手そうなタイプの陸王を組み合わせてみました。
“レジェンド”福沢博文がボウケンレッド再演
Q:ゲスト出演された歴代レッドのみなさん(中尾暢樹さん、小澤亮太さん、高橋光臣さん)について、演出面でこだわったことや撮影秘話を教えてください。
中澤監督:光臣(ボウケンレッド/明石暁役)は今もすごく活躍しているし、スケジュールもだいぶ忙しかったのですが、間を縫って来てくれました。ちょっとしたセリフの節々に明石の成長を感じられつつ、「大人になった明石暁はこういうことだ」という要素を、こちらが言わずとも出してくれました。光臣が明石に戻った時、「ボウケンジャー」を今も愛してくれているんだということを感じました。
亮太(ゴーカイレッド/キャプテン・マーベラス役)は『テン・ゴーカイジャー』(2021)以来の再会です。今回もかなり派手に行きましたが、マーベラスが簡単に負けるわけにはいかないので、3対1の勝負をどうするのかは少し議論になりました。本人は久々のアクションで大変だったと思いますが、頑張ってくれました。
暢樹(ジュウオウイーグル/風切大和役)は、大和の優しさをしっかり残しつつ、年月を経て「いい役者さんになったね」というのを感じながら撮影していました。「ジュウオウジャー」放送から10年の集大成として大和が登場しているというのを、セリフや行動からも感じ取ることができると思います。
Q:変身後のボウケンレッド、ゴーカイレッド、ジュウオウイーグルの演出でこだわった部分はありますか?
中澤監督:短い登場時間でインパクトが残せるように、藤田慧アクション監督に作っていただきました。アクセルテクター、ゴールドモード、ジュウオウホエールと姿が変化する演出も、スーツが残っていたので、ゴジュウジャーとブンブンジャーのバトルシーンとバランスを取りつつ採用しました。
また、ボウケンレッドには当時のスーツアクターである福沢博文さんが入ってくださりました。「超宇宙刑事ギャバン インフィニティ」の準備で忙しいところ、光臣が出るシーンの時は撮影現場に駆けつけて、「彼がやるなら!」とボウケンレッドを演じてくださいました。我々スタッフも「福沢さんのボウケンレッドだ!」とすごく盛り上がっていました。
Q:また、エンドクレジットも楽曲&映像共にスーパー戦隊シリーズ50周年にふさわしい豪華な仕上がりでした。
中澤監督:松浦プロデューサーから、エンディングは集大成となる映像で行きたいと要望がありました。ただ、僕が担当した作品以外までは手が回らない……と言ったら、加藤弘之監督が担当してくれました。最初の入りだけは相談して、後は加藤監督に全てお任せしております。歴史を感じる映像に仕上がっていたので、「加藤監督ありがとうございます!」という気持ちです。
スタッフの愛を受け取って!2回目以降の楽しみ方
Q:中澤監督が思う『VS』シリーズの醍醐味はどんなところにあると思いますか?
中澤監督:現行のスーパー戦隊に加えて、最終回を迎えた後のスーパー戦隊を再び描く作業もあるので難しいですよね。どういう風に組み立てればファンのみなさんが納得してくれるのか、考える作業は毎回大変です。求められているものをお見せしたいので、両戦隊がどう絡んでどう共闘するか、片方ばかりが目立ってもいけないので、バランスを見ながら撮影しています。完成した作品を観て、ファンのみなさんに喜んでいただけたら、頑張った甲斐があります。
Q:中澤監督のキャリアにおいて、スーパー戦隊シリーズはどのような作品として刻まれていますか?
中澤監督:スーパー戦隊シリーズに育てられて今の私があるので、足を向けて寝られないですよね。シリーズが一旦休止とも言われていますが、決して終わりではなく、たとえ新作が発表されなくても、みなさんの心に残っていれば、それはスーパー戦隊シリーズが続いていると言えると思います。スーパー戦隊は「仲間で力を合わせた方が素晴らしい」という普遍的な魅力があります。50年間の歴史で試行錯誤を重ねてきても、そこはずっと変わらない。何十年経ってから見直しても、スーパー戦隊シリーズの素晴らしさは色褪せないと思います。
Q:『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSブンブンジャー』をもう一度観る方へ、2回目以降の注目ポイントを教えてください。
中澤監督:画面の端っこでこっそり芝居しているキャラクターがいたり、実は変な動きをしていたりするカットもあったり、気づかれなくてもいいぐらいの小ネタがこっそり入っています。また、細武調(ハシヤスメ・アツコ)のブンブングッズも増えています(笑)。ぬいぐるみはキャラクター管理のスタッフの手作りで、このためだけに新しいぬいぐるみを用意しているので、スタッフの愛もぜひ受け取ってください。
Vシネクスト『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャーVSブンブンジャー』は新宿バルト9ほかにて期間限定上映中/Blu-ray&DVDは7月29日(水)発売


