“スター・ウォーズの聖地”イオンシネマ海老名、33年の歴史に幕 『ジェダイの帰還』最終上映に471人集結

1993年4月に開業した日本初(※)のシネマコンプレックスであり、“スター・ウォーズの聖地”として親しまれてきた「イオンシネマ海老名」(旧称:ワーナー・マイカル・シネマズ海老名)が17日、最終営業日を迎え、33年の歴史に幕を下した。最終上映作品には『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』(エピソード6)が選出され、上映後に行われたクロージングセレモニーでは、第17代総支配人の加藤曉司氏が駆けつけた471人のファンに向けて直接感謝を伝えた。
【画像】33年の歴史に幕…最終上映&クロージングセレモニーの様子
「イオンシネマ海老名」は1993年4月24日、日本国内初の本格的郊外型マルチプレックスシネマとして、神奈川県海老名市のイオン海老名店(旧称:海老名サティ)に開業。『スター・ウォーズ』生みの親であるジョージ・ルーカス監督が設立したルーカスフィルムの1部門としてスタートTHX社の厳しい審査を通過し、国内の一般顧客向け劇場として初めてといえる「THX」サウンドシステムを装備した7番スクリーン(通称:エビナナ)の音響と映像パフォーマンスが、映画専門誌のみならずオーディオ専門誌などにも取り上げられ、全国からファンが駆けつけるほどの人気を博した。1997年には年間観客動員数が100万人を突破、今日までの33年間で約1,800万人を動員してきた。
同館は33年間の感謝を込めて、先月24日(金)よりクロージングイベントとして『スター・ウォーズ』映画シリーズ11作品のTHX上映を実施してきた。最終上映日には、“エビナナ”の座席表と映画館のロゴが入ったオリジナルのクリアファイル(非売品)が鑑賞者全員に配布された。
14時5分にスタートした『ジェダイの帰還』最終上映には、ストームトルーパーやチューバッカのコスプレイヤーや、ライトセーバーを持参する熱狂的なファンが集結。劇場スタッフの前説が終わると、全員で劇中の名ゼリフ「May the Force be with you」(フォースと共にあらんことを)と叫び、上映が開始された。
海老名市在住の20代男性は「最後にまた『スター・ウォーズ』が観られて良かったです。小さい頃から『スター・ウォーズ』を観てきて、特に海老名は特別な場所。閉館は寂しいですが、とてもいい体験ができました」と名残惜しそうに語った。
また、クロージングイベントで初めて『スター・ウォーズ』を鑑賞したという50代男性は「初見でしたが、1977年の1作目でこの世界観を出していたんだと驚きました。これだけ多くのファンがいることもすごくわかりましたし、大スクリーンの迫力も相まって、映画館で観てよかったと改めて思いました」とコメント。期間中にスカイウォーカー・サーガ9作品すべてをTHXシアターで鑑賞したといい、劇場スタッフから「THXファイナル上映」制覇者として賞状が贈呈された。
THXシアターでのクロージングセレモニーには、イオンエンターテイメント代表取締役社長の藤原信幸氏、神奈川エリアのイオンシネマ総支配人が勢揃いしたほか、ライバル劇場としてしのぎを削った「TOHOシネマズ海老名」の石黒総支配人がサプライズ登場。石黒総支配人は「イオンシネマ海老名は、常にその背中を追いかけ、切磋琢磨する最高のライバルでした」と労い、「みなさまが切り開いて育ててきた映画の街・海老名の熱は、残された私たちがしっかりと引き継いでまいります。この街から映画の灯は決して絶やしません。共に走り続けた同志として、私たちからの約束です」と誓った。
加藤総支配人は「当館はTHXを日本で初めて導入した劇場でもあり、『スター・ウォーズ』の聖地として名を馳せました。最後の上映も『スター・ウォーズ』で締めくくることができたのは、映画人として光栄の至りでございます」と感慨深げにコメント。
続けて加藤総支配人は、「映画館で映画を観ることを続けてほしい」「これからもイオンシネマに足を運んでほしい」「イオンシネマ海老名に代わる新たな劇場でみなさんと再会したい」と“3つのお願い”を投げかける。「3つ目のお願いは私の願望ですが、イオンシネマ海老名から始まった物語をここで終わらせたくはない。もし、また海老名にイオンシネマが帰ってくることができましたら、その時はここにいるみなさん全員と新しい劇場のロビーでお会いしたいなと思っております」と将来的な再会を約束した。
閉館時刻を迎えた17時30分ごろ、劇場ロビーは最後のお別れしようと駆けつけた映画ファンで埋め尽くされ、THXシアターから退場する観客を一人ずつ拍手で迎えた。最後は、加藤総支配人をはじめスタッフ一同が来場客を見送り、イオン海老名店が閉館する18時ごろ、劇場入口の扉が完全に施錠された。
『スター・ウォーズ』シリーズは、22日に7年ぶりとなる劇場新作『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』が公開される。イオンシネマ海老名での上映は叶わなかったが、“聖地”で紡がれた歴史は、これからもファンの間で語り継がれていくことだろう。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
(※)シネコンの定義は日本映画製作者連盟「同一運営組織が同一所在地に5スクリーン以上集積して名称の統一性(1、2、3…、A、B、C…等)をもって運営している映画館を抽出したものです」を採用


