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「藻屑蟹」映画化 莫大な金が動いた原発事故後の除染ビジネスの裏側と被災者の分断描く

第79回カンヌ国際映画祭

「藻屑蟹」書影
「藻屑蟹」書影 - (c) 赤松利市/徳間書店

 現地時間17日、第79回カンヌ国際映画祭が開催中のフランス・カンヌでK2 Pictures(本社:東京都、代表取締役:紀伊宗之)が会見を行い、今後のラインナップとして赤松利市の小説「藻屑蟹」を映画化すると発表した。

【画像】永田琴監督の前作『愚か者の身分』

 映画『藻屑蟹(仮)』は、東日本大震災後の福島を背景に、原発事故による放射能汚染と補償金問題、除染ビジネスの裏側や被災者遺族など、現地の人々が抱えた分断を描く社会派ノワール作品。脚本は原作者の赤松と映画監督・脚本家の岩井俊二が執筆し、『愚か者の身分』の永田琴監督がメガホンを取る。岩井は企画プロデュースも務める。

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 会見に登壇した永田監督は「(原作の)小説を読んだとき、私は非常に衝撃を受け、正直に言って恐ろしさを感じました。なぜなら、福島第一原発事故の後、除染ビジネスを通じて膨大なお金が動き、それが人間の強欲さや欲望をまざまざと浮き彫りにしていたからです。そのため、最初は、この物語は自分が向き合うにはあまりに困難なものだと感じていました」とコメント。

 「しかし、前作(『愚か者の身分』)を制作する中で、人間の欲望の裏側に隠された孤独や愛について考え続けてきました。その経験を経て、この映画、この新しいプロジェクトを通じて、人間の欲望というものをさらに深く探求してみたいと思うようになったのです。社会問題の背後にある、実に深い人間ドラマを描き出したいと思っています」と展望を語った。

永田琴監督コメント

紀伊宗之さんはやんちゃでありながら、繊細で鋭い感性を持ち合わせた、頼もしい人です。今の日本で、原発に関わるこの企画を引き受けてくれるプロデューサーがほかにいるでしょうか。大げさではなく、この企画は紀伊さんがいなければ成立しなかったと思います。
そして今回は、師匠でもある岩井俊二さんに脚本を書いていただくというこの巡り合わせに、ありがたさと同時に大きな責任を感じています。
K2 Picturesの日本映画界に風穴を開ける新しいファンド方式の成功を心から願うとともに、その先に新しい日本映画界の未来が拓かれていくことを期待しています。

企画プロデュース・脚本:岩井俊二コメント

赤松利市という作家を知ったのはテレビ番組。続けて好きなYouTubeチャンネルにも登場し、まずはこの人物の人生に興味を持ちました。社長業から一転、原発事故後には除染作業員に従事。大藪春彦新人賞を受賞したのが62歳。当時彼はホームレスで、ネットカフェでパソコンを借りて原稿を書いていた。そんな作家が一体どんな小説を書くのだろうと最初に手に取った小説が「藻屑蟹」だった。ご本人の除染作業員の実体験を基に描かれたその内容は実に衝撃的で、そんな話を永田琴にすると、しばらく反応がなかったが、久方ぶりに会った時に、 「この作品やりたいです!」と。 決して軽くない原作。この作品を自分に落とし込むのにも、彼女なりにかなりの時間がかかったようで。 原発事故のあった福島を舞台に映画を作る。同じ東北地方出身の自分にとっても意義のあるプロジェクトである。同時に赤松利市というオンリーワンな作家とのコラボレーションも意義があると感じている。

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