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濱口竜介監督、日仏の映画作りの違い語る「回復の時間がシステムの中に」持続可能な映画制作に向け提言

会見に出席した、最優秀女優を受賞したヴィルジニー・エフィラ&岡本多緒、濱口竜介監督
会見に出席した、最優秀女優を受賞したヴィルジニー・エフィラ&岡本多緒、濱口竜介監督

 濱口竜介監督が26日、日本記者クラブで行われた映画『急に具合が悪くなる』カンヌ国際映画祭受賞凱旋記者会見に、本作の演技で最優秀女優を受賞したヴィルジニー・エフィラ岡本多緒、プロデューサーのダヴィド・ゴキエ松田広子と共に出席。女優たちへ賛辞を贈ると共に、日本とフランスの映画作りの違いについて語った。

【画像】カンヌで女優賞!『急に具合が悪くなる』主演の二人

 本作は、宮野真生子磯野真穂の著書を基に、パリ郊外の介護施設で理想のケアを探求するマリー=ルー・フォンテーヌ(エフィラ)と、ガン治療中の日本人演出家・森崎真理(岡本)という同じ名前を持つ二人が出会い、友情を超える絆を結ぶ物語。フランスのトップ女優であるヴィルジニーと、『ウルヴァリン:SAMURAI』など国際的なキャリアを重ねてきた岡本が主演を務めた。

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 濱口監督は、エフィラと岡本が女優賞を受賞したことに「カンヌ国際映画祭というのは本当に大きな舞台。本当に素晴らしい作品がコンペティションに集まっている中、2人の演技が特に注目されるものと認識されたということは、我々全員にとって本当に大きな喜びです」と笑顔を見せると「私にとっても映画の中心というのは俳優ですし、スタッフにもそのことは伝えていました。他の俳優たちとの相互反応もあって、2人の輝きにつながっているのではないかと思っています。その輝きをカンヌの観客たち、審査員の皆さんがちゃんと受け取って認めてくださったということは、とても光栄なことです」と語る。

 本作は、日仏独ベルギーの合作映画で、9割近くがフランスでの撮影だった。濱口監督は「撮影自体は9割方フランスで行われています。キャスティングもスタッフもフランスのチームでやっています。当然フランスの映画作りのルールでやることになるわけですが、何がいいかというと、休みがあるということです」と笑みを浮かべる。

 濱口監督は「これは当たり前のことなのですが、映画作りにおいて、それはなかなか難しい」と続けると「フランスだと1日の中でも8時間労働というのが決まっています。間に休憩を挟むということも決まっています。撮影行為というのは基本的には肉体労働。当然ものすごく疲れるんです。この歳になって、こんなに疲れるかなっていうくらい毎日毎日疲れるので、回復の時間がシステムの中に組み込まれているというのは、とても大事なこと。それがないと、持続可能な映画制作というのは決してできない」と強調する。

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 続けて濱口監督は「それでも現場は生もの。残業が発生することもある。そうなると、プロデューサーは時間ごとに125%とか150%の増額した時給を払わなければならない。そういうのが法律とか協定で決まっている。そして土曜とか日曜にもし撮影をしたい、本来休みである日に撮影をしたいとなったら、やっぱりそれはより多く給料を払わなきゃいけない。時には、2日分の給料を1日のために払わなきゃいけないんです」と説明する。

 プロデューサーとしては、既定の時間で終わらせなければ費用が増えていく。そのなかで「クオリティとバランスを探る必要がある」と濱口監督は述べると「これは本当かどうかわかりませんが」と前置きし「『日本で1のお金でできることがフランスでは3かかるよ』と言われました。いまは円安ですし、もともと給与基準もフランスの方が高いので、一見予算が多く感じても、できることは日本のときと変わらないのかもしれません」と日仏の違いについて述べ「日本の予算をいきなり3倍にするのは無理。だったら同じ予算で例えばスケールを1 / 3にするということはできるのかもしれない」と提言していた。(磯部正和)

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