【レビュー】『スーパーガール』パンクな新世代ヒーロー誕生 新ユニバース第2弾は特撮愛あふれるSF活劇

『スーパーマン』(2025)で華々しく開幕した新生DCユニバース(DCU)。早くも第2弾となる新作映画『スーパーガール』は、スーパーマンのいとこであるカーラ・ゾー=エル/スーパーガールのオリジンを、古き良き特撮技術にリスペクトを込めて描き出すSF活劇に仕上がっている。
DCUを率いるジェームズ・ガンが自ら監督した『スーパーマン』が文字通り王道ヒーロー路線へ舵を切ったのに対して、本作は『スター・ウォーズ』の銀河旅行、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の軽妙さ、『マッドマックス』の荒廃感をブレンドしたような濃密な世界観で攻めてきた。スーパーガールがさまざまな惑星を渡り歩き、行く先々でトラブルに巻き込まれる展開は、アメコミファンのみならず、往年のSF映画ギークの胸にも深く刺さるはずだ。
特筆すべきは、メガホンを取ったクレイグ・ギレスピー監督が「可能な限り実写で表現する」という精神で挑んだ世界観づくりだ。『スター・ウォーズ/マンダロリアン・アンド・グローグー』といった近年の大作でも見られた、VFXと古典的なアナログ手法を巧みに融合。登場するエイリアンたちは特殊メイクやアニマトロニクスで血肉を通わせ、スーパーガールが大暴れする宇宙都市は巨大な実物セットを組んで撮影された。画面の隅々から、作り手の凄まじい熱量とスクリーンへの説得力が伝わってくる。
人々の希望の象徴たるスーパーマンとは対照的に、本作のスーパーガールはヒーロー然とした気高さとは無縁だ。愛犬クリプトと共に日々飲んだくれるその姿は破天荒そのもの。『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』『クルエラ』などで一癖ある不完全な女性の輝きを切り取ってきたギレスピー監督の手腕が、パンクで等身大なカーラの魅力をこれ以上ないほど引き出している。故郷を失った壮絶な過去を背負いながらも、「S」の紋章を胸に戦う彼女を、新鋭ミリー・アルコックが圧倒的な存在感と説得力で体現してみせた。
家族の復讐に燃える少女ルーシー(イヴ・リドリー)とスーパーガールのバディは、コーエン兄弟の傑作『トゥルー・グリット』を彷彿させ、劇中で魅せるケミストリーは物語に深みを与える。また、DCユニバース復帰を果たしたジェイソン・モモアが演じる賞金稼ぎロボの存在感も抜群だ。パンクな見た目とイカした宇宙バイクで暴れ回るさまは、まさに適役。今後のユニバースにおける最注目キャラクターの一人になることは間違いない。
また、前作『スーパーマン』から続投となるスーパードッグ・クリプトの暴れっぷりも健在。今回はスーパーガールが旅に出る重要な狂言回しを担い、子犬時代の知られざる過去にもスポットが当てられる。『スーパーマン』に比べれば出番こそ限定的だが、登場するたびに心を鷲掴みにされる。
本作は単独映画として完結しつつ、2027年7月に控えるDCU次回作『マン・オブ・トゥモロー(原題) / Man of Tomorrow』の序章としても必見。スーパーマンも単なるカメオに留まらず、物語に欠かせない存在としてスーパーガールの冒険を彩る。今後の展開への重要なヒントが隠されているかどうかも、DCファンなら見逃せないポイントだ。(編集部・倉本拓弥)
映画『スーパーガール』は6月26日(金)日米同時公開


