「風、薫る」撮影佳境へ 見上愛、りんから受けた影響「まだ還元できていない」

連続テレビ小説「風、薫る」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)で主人公のひとり・一ノ瀬りんを演じている見上愛が、第19週におけるキャラクターの心情、終盤へと向かう撮影に対する思いを口にした。
連続テレビ小説第114作となる「風、薫る」は、まだ女性の職業が確立されていなかった明治期に、考え方もやり方も違う二人のトレインドナース(正規に訓練された看護師)をモチーフに描いたバディドラマ。看護婦養成所を卒業した一ノ瀬りん(見上)と大家直美(上坂樹里)が、患者や医師たちとの向き合い方に悩み、ぶつかり、成長していく姿を描く。
クランクインから10か月が経過する中、見上は演じているりんの心の変化を以下のように分析する。
「最初はすごくのんびりしていて、思ったことを正直に口に出し、間違ったことは嫌いと、自分を貫く人だと思っていました。見た目はふわっとしているように見えるかもしれないけど、実は芯の強い人。でも、りんもいろいろなことを経て、考えが変化していて、この後の展開では、そもそも正しさとは何かを考え、正しいことは一つじゃないと気づいていくようになります」
演じる中でりんに似てきた部分を聞かれると、見上は「全然ない」と笑顔を見せる。
「そういうことは極力考えないようにしています。私は25年しか生きていないので、自分が共感できるかどうかを考えるようになると、演じる自由度が減ってしまう」と役者としてのこだわりも口にする。「りんを演じて、自分が受けた影響というものをまだ生活に還元することができていない。撮影が終われば、だんだん、りんの強さに救われたとか、そんなふうに思えるようになるんじゃないかなと思っています」
第19週では、医師の黒川(平埜生成)から新潟の村で赤痢が発生したと報告を受けたりんが、現地に同行し、一人でも多くの人を救おうと奮闘する姿が描かれる。患者の中には東京から来た男・柳生藤次(中村倫也)もいて、後に彼がりんたちの前に壁のように立ちはだかる。
見上と中村は、本作が初共演。ファーストカットがとても印象的だったいい「(中村が)登場するシーンは筵(むしろ)に包まれているようなシーンで、初めてお会いした時も筵に包まれていて、気づかずに通り過ぎてしまって。その後あわててご挨拶をしました」と撮影当時をにこやかに振り返った。
第19週でのりんについては、「第15週までにあった『自分が未来の看護婦を減らしてしまった』という責任感、迷いがあって、適応障害のような状態になり、一度、看護を離れたのが新潟編。だけど、赤痢の防疫を経てまた誰かを救いたいと自覚するのが第19週の大きなテーマになっていると思います」と述べ、りんの恋模様についても「第18週までだと、りんは恋愛ということよりも、娘の環のことを考えていて。那須から連れ出した責任感も感じているし、環には好きな“夢”を見つけて欲しいと思っています。なので、恋愛に関してはあまり考えていないと思います。第18週の最後の方では、シマケン(佐野晶哉)への気持ちを少しずつ自覚し出ていきました」と語る。
第19週では、東京に戻ったはずの直美がりんの元にやってきて、共に患者を救おうと奮闘する。見上は、直美について「女学校編ではりんが直美を助ける場面が多かったですが、ここからは直美が常にきっかけを与えてくれるようになる。バディ感がどんどん強まっているという感じがします」と話す。撮影では、直美役の上坂さんから刺激を受けることが多いそうで「自分と役へのアプローチの仕方が違っていて、とても感受性かな人。直美とリンクしている場面も多く、隣にいると直美にしか見えないこともあります。上坂さんは仕事に対して、全て真面目に取り組む姿がかっこいい。学びの多い方です」と振り返った。
「風、薫る」の撮影もまもなく終盤に突入する。見上は撮影が終わりに向かうことについて「まだあまり実感がない」と語り、「終わってしばらくしてから、ようやく終わったんだと気づくと思います」とニッコリ。「この一年は(他に仕事を請けず)りん以外の人物を演じる機会がほとんどなかった。これから新しい作品に出会い、新しい役を生きるというのがまだ自分でも想像ができない」とも述べ、「これから、この作品を経たからこそ頑張れる部分が必ずあるはず。樹里ちゃんとまたどこかでまた一緒にお仕事ができるように頑張ります」と前を向いていた。(取材・文:名鹿祥史)



