実写『キングダム』第5弾、原作にないシーンで幕を開けるワケ 松橋Pが明かす

原泰久の人気漫画を山崎賢人(※崎=たつさき)主演で実写映画化するシリーズ第5弾『キングダム 魂の決戦』(上映中)。本作は前作『キングダム 大将軍の帰還』(2024)のラストから始まり、原作にはなかったオリジナルのシーンで幕を開ける。その意味を、シリーズ全作にわたってプロデューサーを務めてきた松橋真三が語った(※一部ネタバレあり)。
【画像】新キャラずらり『キングダム 魂の決戦』場面写真<12点>
紀元前の中国春秋戦国時代を舞台に、天下の大将軍になる夢を抱く戦災孤児の少年・信(山崎)と、中華統一を目指す秦(しん)国の若き王・エイ政(※エイは、上に亡、中に口、下左から月、女、迅のつくりが正式表記/吉沢亮)を描く本シリーズ。第5弾で描かれるのは、原作屈指の人気エピソード「合従軍(がっしょうぐん)編」。趙軍の総大将で軍師・李牧(小栗旬)が興した、秦以外の全ての国(楚・趙・魏・韓・燕・斉)から成る合従軍が打倒秦を掲げて手を結び、秦の国家存亡を懸けた攻防戦が繰り広げられる。
~以下、一部映画のネタバレを含みます~
冒頭は、前作で秦国の大将軍・王騎(大沢たかお)が馬陽の戦いで軍師・李牧(小栗)の策のもとホウ煖(※ホウはまだれに龍/吉川晃司)に討たれ、信に矛を引き継ぐ前作のシーンから始まる。
「映画『キングダム』シリーズは、ここまで積み上げてきた信と王騎との関係が骨格にもなっていると思うんですね。第1作の冒頭でも少年時代の信が王騎将軍の大軍を見て、自分もいつか大将軍になりたいと思うところからスタートしているので、そこを大切にしています。今回の第5作の幕開けには、信が王騎から受け継いだ矛を巡ってエイ政と言葉を交わすというシーンが必要だと感じ、原作にはなかったのですが、脚本の黒岩(勉)さんと原作の原先生にご相談しながら創りました。矛は、未来を背負う若きふたりへと託された。そうして本作の物語が始まります」
編集後に急遽追加したという前作のシーンを冒頭に入れたのはなぜか。その理由を、松橋Pはこう語る。
「もっと熱量を、前作の熱量を今一度感じるべきじゃないかなと。まず観て頂く方に前作のラストで信が王騎から矛を受け継ぐ姿を思い出してもらって、1度心を温めてもらいたいと。それで前作のラストをまるっと入れる決断をしました。そうしたことで続く信とエイ政のシーンもより胸アツなものになったと思います」
前作では「百人将」だった信が、本作では「千人将」に。シリーズで初めて甲冑をまとい、たくましさを感じさせるが、背中を追って来た王騎亡き後、彼は何を心の支えとしていくのか。
「王騎がいなくなったかというと、そうではないと思うんです。信はいつでも王騎と会話できると思う、心の中で。これからの『キングダム』の物語で重要なポイントの一つが、“思いが受け継がれていく”ことだと思うんですね。平和を願う心、人を思う熱い心というものは、誰かに受け継がれていく。そういう心の伝承のようなものが、このシリーズのテーマだと思っていて。それは今までも描いてきたと思っていますし、今後も大事にしていきたいこと。もちろん王騎が亡くなった喪失感はあるんだけれど、王騎が信じていたことというのは、みなの心の中にある。王騎が志半ばで叶えられなかったものを信が受け継ぐということでもあります」
本作には随所に王騎の存在を感じさせるシーンがあり、偉大なる将軍の遺志を継ぐ若き精鋭たちの「新しい始まり」の物語ともなっている。(取材・文:編集部 石井百合子)


