榎木淳弥、スパイダーマン声優10年「役者冥利に尽きる」 新章『ブランド・ニュー・デイ』で向き合う孤独と喪失感

トム・ホランド主演の映画『スパイダーマン』シリーズが、最新作『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』で新章に突入する。『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016)から数えて、主人公ピーター・パーカーの日本版声優を10年にわたり務めている榎木淳弥がインタビューに応じ、役者人生を大きく変えたというスパイダーマンへの思い、最新作の見どころを語った。
【動画】『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』日本語吹替版予告
日常でスパイダーマンを見かけるとすごく嬉しくなる
今から10年前、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でマーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)入りを果たしたスパイダーマンは、単独映画シリーズや『アベンジャーズ』などのクロスオーバー作品で活躍してきた。「ピーターの声優を10年間も担当させていただくなんて、当時は全く思っていなかったです。単独映画を含めて、10年も任せていただけることは本当に嬉しくて、役者冥利に尽きます」と榎木は感慨深げに話す。
スパイダーマンと出会っていなければ、自身のキャリアは「全く違っていたと思います」と語る榎木。今では、日常生活でスパイダーマンの存在を身近に感じるほど、自身にとって大切なキャラクターとして位置付けられているという。
「スパイダーマンの吹き替えをきっかけに別のオーディションに呼んでいただくこともありましたし、業界関係者の方から感想をいただく機会もすごく多いです。想像以上に、僕の人生に大きな影響を与えてくれた作品です」
「また、電車の広告などでスパイダーマンを見かけると、すごく嬉しくなります。自分が関わっている作品が世の中に広く発信されて、人々の目に触れる機会が多いのは本当に幸せなことです」
「前を向いて行くしかない」という気持ちを意識
最新作『ブランド・ニュー・デイ』は、前作から4年の歳月を経たピーターの姿が描かれる。“親愛なる隣人”として新たな一歩を踏み出したピーターを、榎木はどのように演じたのだろうか。
「世界から忘れられているという状況を、ある程度、自分自身で呑み込みながら活動している状態です。一種の我慢のようなものがあり、そういう部分を通して大人になりつつあるのかなと感じました。自分にとって良くないことも仕方がないと受け入れる姿勢は、変に暗くなりすぎず、『前を向いて行くしかない』という気持ちを意識して演じました」
また、榎木は本作におけるトム・ホランドの演技を「一度手に入れたものをすべて失ったピーターの喪失感や孤独感を意識して演じられていると感じました」と分析する。「それを分かりやすく見せつけるのではなく、要所要所に絶妙なバランス感覚で落とし込んでいます。スパイダーマンとして活動している時の楽しそうな部分も残しつつ、さまざまな一面が見える素晴らしい演技です」
ヴィラン側にも感情移入できる
すでに公開されている予告編では、スパイダーマンの前に数多くのヴィランが立ちはだかることが判明している。「ヴィランとの会話シーンなどで、これまでのピーターよりもさらに成長し、前向きに歩んでいく姿が描かれている気がしました。今回のヴィランは、単に『悪いことがしたいから暴れている』わけではなく、彼らなりの事情やバックボーンがあります。ピーターだけでなく、ヴィラン側にも感情移入できるように作られているのが魅力的です」
また、ニューヨークで自警活動を行う“処刑人”パニッシャーことフランク・キャッスルが、本作でスパイダーマンと本格共演を果たす。榎木は、活動スタンスの違いから時に反目するヒーローコンビの活躍にも注目する。
「いつの間にか、ピーターとフランクの関係性が出来上がっていて驚きました。軽口を叩き合ったり、かなり言い合ったりもするのですが、本当に嫌い合っているのではなく、何だかんだ仲良くて相棒感がにじみ出ています。嫌味になりすぎない掛け合いが、とても微笑ましくておもしろいです」
まもなく開幕する『スパイダーマン』シリーズ新章。ピーター・パーカーと同じく、榎木も人生で新たな一歩を踏み出したことがあるそうで、「海外でお仕事をする機会が増えているので、英語の勉強を始めました」と告白。「現地で相手の言葉が聞き取れないと怖いので、まずは単語から勉強しています。まだそれほど進んでいませんが、自分なりの“新たな一歩”です。トム・ホランドさんが次に来日するまでには、トムさんの話す内容が聞き取れるレベルまで上達していたいです」と意欲を見せていた。(取材・文:編集部・倉本拓弥)
映画『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』は全国公開中



