阿部サダヲ、映画館の観客を尾行していた 感想を知りたくて

俳優の阿部サダヲが22日、TOHOシネマズ日比谷で行われた映画『八月の声を運ぶ男』の公開記念舞台あいさつに本木雅弘と登壇。前日に同じ映画館で客席から本作を観ただけでなく、上映後、観客同士が語り合う感想を聞きたい一心で彼らを尾行したと明かして、客席を驚かせた。
被爆者の声を集め続けたジャーナリスト・伊藤明彦のノンフィクション「未来からの遺言 ある被爆者体験の伝記」を原案にした本作は、1972年、日本全国を回って被爆者の声を集め始める長崎の放送局出身のジャーナリスト・辻原保(本木)が九野和平(阿部)という被爆者と出会い、彼が語る体験を通じて被爆者の真実に迫るドラマ。2025年8月にNHKの戦後80年ドラマとして放送され反響を呼んだ作品に、未公開シーンを追加した劇場版となる。メガホンをとった柴田岳志監督も登壇した。
重い内容の作品だが、阿部は終始ユーモアを交えてトークを行った。前日に同じ劇場で本作を観たといい、「昨日公開されたということで、僕は昨日、初日、この劇場で観たんです。今日(舞台あいさつで)来るんだけど、昨日も来たんです。下見って言うんですかね? 6時50分ぐらいの回で」と詳細にその時の様子を話して笑わせる。
阿部は「満員ではなかったです。でも、半分以上は確実に入っていました」と客入りにまで言及し、「終わった後ね、(観客が)どういう感想をお持ちなのかなと思って、えーしばらく、あの、後ろをつけていったということがあります」と話して客席を驚かせると、「ご夫婦だったと思うんですけど、上映後も一言もおしゃべりにならなくて。いろいろ考えさせられる映画なんだなっていうのはすごくわかりましたね。お二人しばらく黙ってて……」とコメント。
司会者が「それなりの距離つけたってことですか? まさか後ろから阿部サダヲさんがつけてきてると思わないですもんね」とツッコミを入れてさらに会場の笑いを誘った。
本木は本作でその阿部と『トキワ荘の青春』(1996年)以来約30年ぶりの共演となったが、阿部の印象について「もう変わりません。言うなれば阿部さんは、愛すべき珍獣、愛すべき変人です」とその俳優としてのすごみを紹介。「純粋さと奇妙さみたいなものの振れ幅がすごい」と撮影現場での阿部の姿を絶賛していた。(取材・文:名鹿祥史)
映画『八月の声を運ぶ男』は公開中



