「風、薫る」甲斐翔真、「ごめんね」ではなく「怒らないで」残された直美へ伝えたい言葉

連続テレビ小説「風、薫る」(NHK総合・月~土、午前8時~ほか)で主人公のひとり大家直美(上坂樹里)の夫・小川吾郎を演じる甲斐翔真が、夫婦役として共演した上坂への思いや役柄へのアプローチ、直美や二人の間に生まれた明に寄せる思いを語った。(以下、第22週の内容を含みます)
連続テレビ小説第114作となる「風、薫る」は、まだ女性の職業が確立されていなかった明治期に、考え方もやり方も違う二人のトレインドナース(正規に訓練された看護師)をモチーフに描いたバディドラマ。看護婦養成所を卒業した一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂)が、患者や医師たちとの向き合い方に悩み、ぶつかり、成長していく姿を描く。
陸軍二等軍曹の吾郎は、帝都医大病院に入院する友人見舞いに訪れた先で直美と出会い、時折会ってたあいない話をする仲に。吾郎は直美にプロポーズし、晴れて二人は夫婦となった。その後、直美は妊娠し、いつ戦地に向かうことになるか分からない吾郎は、子供に「明」と名づけた。出産を待たず出征した吾郎は戦地で負傷し、陸軍病院へ後送されるも、手の施しようがない状態だった。最期は、直美につけてもらった軍服のボタンを多江(生田絵梨花)に託し、息を引き取った。
ーー小川吾郎という役柄の印象
吾郎のようにまっすぐに人と向き合える人物は今も明治の時代も多くはないのではないかと感じます。現代よりも男女の認識のずれや、日本と海外の考え方の違いなどがある時代で、吾郎は素直に曇りなく人を見ることができる人。美しい人間だなと感じますし、僕もそういう人間でありたいなと思わされました。
軍人だから偉いとかお国のために働いているからすごいとかではなく、仕事を自分の居場所にしながら、正直に生きている人というイメージです。
吾郎のキャラクターについては「軍人ぽくなりすぎないように」と演出からのお話もありましたので、軍人であるときと一人の人間であるときの違いは意識したつもりです。
当時の軍人は、国を守ることが家族や大事なものを守ることであると考えている。もちろんそのことは踏まえつつも職業にあまり引っ張られず、まずは一人の人間であるということを大切にしようと思いました。
ーー直美役・上坂樹里さんの印象
初めてお会いしたときはすごく可憐(かれん)でかわいらしい方という印象を受け「この人と夫婦になるのか……。すてきな方だな」と思いました。
そのあと、ご一緒すればするほど、すごく芯がある方という印象が加わっていきました。
僕のなかで直美という役は上坂さんに“当て書き”されているようなイメージ。ご本人は役作りに苦労したと話していましたが、『風、薫る』で直美を演じるべくしてこの世界に入ってきたのではないかと思うくらい、役に説得力があると感じていました。
吾郎の人生の佳境、重い空気をまとったシーンを撮り進めるなか、阿吽(あうん)の呼吸みたいなものができていき、「かけがえのない関係性を築けていた」と感じながら、撮影できました。
上坂さんには役作りの面でとても助けられましたし、撮影の合間のたわいもない会話が演技に生きている感覚がありました。
吾郎は直美という存在に出会い、最初は女性としてというより人としてかっこいいと思った。信念を持った彼女を目の当たりにしたとき、心が素直に動き、どっぷりとほれてしまったのだと思います。
ーー残された直美そして明へ、吾郎が伝えたいこと
明については、生まれる前ですけれども、吾郎は出征するときに「直美を頼んだぞ」くらいのことは思っていたのではないかと想像します。
自分にもし何かあったら、これからは明が直美のことを導いて、居場所を作ってあげてほしいと思っていたでしょうし、直美にとって明という存在が救いになればいいと願っていたはずです。
残された直美に伝えたい言葉はなんだろうな……。やっぱり「怒らないでね」かな(笑)。「帰って来なかったら許さないから」と言われましたし、本編で吾郎も「怒られそうだ……」と言っていますしね。「ごめんね」よりは「怒らないで」という言葉が、直美と吾郎らしいかなと思います。



