成宮寛貴、俳優復帰から1年 “今だからできる役”と向き合う現在地

昨年8年ぶりに俳優活動を再開した成宮寛貴(写真:TOWA)
昨年8年ぶりに俳優活動を再開した成宮寛貴(写真:TOWA)

 昨年、およそ8年ぶりに俳優活動を再開した成宮寛貴。復帰後の初映画出演となった『藁にもすがる獣たち』は、弱小大学生YouTuberが偶然手にした1億円を巡り、さまざまな悪人たちが争奪戦を繰り広げる痛快ループ型ノンストップ・サスペンスだ。江戸川乱歩賞作家・曽根圭介の同名小説に基づき、「岸辺露伴」シリーズの小林靖子が脚本、『悪い夏』『名無し』などの城定秀夫監督がメガホンを取った今作で、絶体絶命の不良警官役を務めた成宮が、復帰から1年が経過した現在の活動について、自身の“今”と“これから”を真摯(し)に語った。

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今の自分がやるならこの役だと思った

脇役だからこそ味わえる楽しさ - 写真:TOWA

 成宮は、本作について「自分の力では今のポジションから抜け出せなくてもがく、非常に人間っぽい、魅力的なキャラクターがたくさん登場します」と紹介する。自身が演じる江波戸良介は「借金を抱えた不良警官で、女にだらしなく、男気はあるけど女々しい男です。悪い奴ですが、弟分との掛け合いなんかはめちゃくちゃコミカルで可愛いんです。愛があって、僕は好きなんです」とにっこり。「40代になった今の自分が、少しやんちゃ性のある役をやるなら、この役だなと思いました」と出演を引き受けた意図を明かした。

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 さらに「主役だと割とガチっとしますが、脇役だから遊べて楽しいだろうなと思いました。喧嘩のシーンなど、当初少し硬めの普通のアクションでしたが、勝つために小ズルい技を使う良介らしい振りに変えてもらったりしました。ラストも監督にご相談して、台本にはなかった“らしい”シーンを足していただきました」と自身の工夫が多く入った役柄だったと振り返った。

 撮影現場は自由度が高く、成宮自身も楽しみながら芝居ができたという。「監督があまり事前準備はなく、1回テストして本番という“その時”を活かすタイプの撮影で、僕のほうから『念のため、もう1パターン、撮っていただけますか?』とお願いしたりしてました(笑)」。完成品を観た際には「『こっちのパターンになったんだ!』と楽しんでいました。それに、現場で感じた以上にスピード感が増していて、びっくりしました」と驚きもあった。

 演技面で苦労したのは「そういうテンポ感と、良介の女に弱い部分などしっかり見せたいところの芝居との切り替えです」と成宮。さらに、撮影中にぎっくり腰になってしまうというアクシデントもあった。「1億円を持って逃げ回るシーンが多くあるのですが、想像以上にバッグが重くて……(笑)。中身が見えないシーンでは少し軽くすることもありますけど、軽く見えちゃいけないので、やはりそれなりに重い。ぎっくり腰のまま、必死に走りました」と苦笑した。

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閉館した映画館で傷だらけのアクションシーン

が演じる不良警官・江波戸良介 - (C) 曽根圭介/講談社 (C) 2026「藁にもすがる獣たち」製作委員会

 主人公の大学生・寛治役の鈴鹿央士について、成宮は「お名前通り、本当に王子=プリンスという感じです。高身長とは裏腹に、小動物みたいにチャーミングでかわいい人です」と明かす。一方、良介と共に金を追うことになる悪女・し~な役の森七菜については「いい意味ですごく自然体で、物おじせず、僕や鈴鹿くんより肝が据わっている。一緒にいて心地よかったです」と述べた。

 「でも、監督はもしかしたら、その肝の据わり具合に怯えていたのかもしれません」と意外なことを明かしながら、「監督が森さんへ演技について話すのを、僕の顔を見て言っていましたから」と笑顔。それくらい、監督と成宮の間に信頼関係が構築されていたということだ。「ドラマ『死ぬほど愛して』から2作品連続ですからね。監督は前の作品が終わった時に『さて、次は何をやりましょうか』って言ってくださって。今作でも同じことを言ってくださったので、またぜひご一緒したいです」

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 自身の見どころは「アクションシーン。映画館をハチャメチャにしたところは、ホントに傷だらけになりながらやったので、楽しみにしてほしいです」と語る。その言葉通り、2025年に閉館した銀座・丸の内TOEIで行われたダイナミックなロケ撮影は見ごたえたっぷりだ。「先ほど言ったラストシーンも、ぜひ。お金に翻弄される人々を描いたこの映画を象徴するようなシーンになったと思います」

「ゆっくり、自分のペースで」俳優・成宮寛貴のこれから

今後も目が離せないキャラクターを演じていきたい - 写真:TOWA

 演技の仕事は楽しいというが、変化もあった。「辛いことも大変なことも楽しいことも、全部入っていることはもう慣れていますけど、没頭できるようになったことが大きな変化ですね。お芝居のスタイルとか、試しきれないところがたくさんありました。これからはゆっくり、自分のペースでやっていきたいと思っています。背伸びしていたようなお芝居も、年齢が追い付いてきたので、きっと今やると違うよなって」と“今”の大切さを語る。

 「今だからできる役ってあると思うんです。今の自分を見つめ直しながら、自分に尋ねながら、やっていきたいです。僕にしか出せない浮遊感みたいなものがあると思っていて。これからも、目が離せないキャラクターを演じていきたいです」

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 プライベートでの楽しみは、出かけた先々での「食」だという。「行きたいところは割と叶えていくタイプなので、先日も韓国に行って、エゴマ麺やユッケなどをいただきました」と楽しみ方のスタンスを示す。

 さらに「若い頃に取りこぼしたことを回収していく作業をしています」とも打ち明ける。「せっかくどこかに行っても楽しめなかったことがよくあったんです。例えば、屋久島に行ったのに、二日酔いで屋久杉を見に行けなかったり(笑)。けっこう歩かなきゃいけないから、体力がいるんです。あと10年したらできなくなりそうなことは、今のうちにやっておきたいと思っています」。歳を重ねた成宮がこれから見せてくれるものは何なのか。今後の動向に注目したい。(取材・文:早川あゆみ)

映画『藁にもすがる獣たち』は9月25日(金)全国公開

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