『踊る大捜査線』スリーアミーゴス、3人合わせて246歳 結成29年の伝説トリオ「何よりこの役が好き」

織田裕二が主演を務める『踊る大捜査線』シリーズに欠かせない、おとぼけ上司トリオ・スリーアミーゴス(通称:スリアミ)。1997年の連続ドラマから、シリーズ最新作『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』でも活躍する3人を演じているのは、北村総一朗(神田総一朗役)、小野武彦(袴田健吾役)、斉藤暁(秋山春海役)のベテラン勢だ。『踊る大捜査線』は大事な作品と口々に語る3人が明かした、当時の思い出と最新作の裏側は、笑いと温かみにあふれたものだった。(取材・文:早川あゆみ)
【画像】みんな変わらない!「踊る大捜査線」青島ら湾岸署メンバー
14年ぶりのスリアミ「またやれるんだ」
Q:14年ぶりの『踊る大捜査線』出演オファーをお聞きになった最初のご感想はいかがでしたか?
北村総一朗(以下、北村):僕はね、本当に嬉しかったけど、信じられなかったよ。だって僕、今年(2026年)91歳だからね。その歳で何をするのか、亀山(千広)プロデューサーに聞いたら「大丈夫」って。ホントに大丈夫かなって思ったよ。
小野武彦(以下、小野):僕はシンプルに嬉しかったですよ。『室井慎次 敗れざる者』(2024)を観に行ったら、甲本(甲本雅裕/緒方薫役)や遠山(遠山俊也/森下孝治役)が出演していてね。僕らはもう歳だし、お呼びがかからないと思っていました。お声がけいただいて「またやれるんだ」って感激しました。
斉藤暁(以下、斉藤):また3人でやれるなんて、夢のようだと思いましたよね。
北村:撮影現場に行った時はものすごく懐かしくて。
小野:撮影の前に実は署長(北村)から招集がかかりましたよ(笑)。3人で喫茶店で会ったんですが、台詞合わせが始まっちゃって。
斉藤:30分くらいやっていましたから。お客さんがチラチラこちらを見ていて(笑)。
小野:お店の方が気を遣って、個室を用意してくださいました。
北村:スリーアミーゴスは、僕らの人生でもめちゃくちゃ大事なんだよね。だからまた出られることに感激して。何とかして僕らの存在が役に立てばいいと思うから、頑張っちゃうの。何よりこの役が好きだしね。本当はそんな(お店に)失礼なことをしちゃいけないんだよ。
小野:情報解禁前でしたし(笑)。
斉藤:そうでした(笑)。でも皆さん、ニコニコしてらっしゃいました。それで僕は、受け入れられているんだなと安心しました。
北村:あのお店、あの後1人で行ったら、すごくよくしてくれたよ(笑)。素晴らしいよね。それだけ作品に力があるんだよ。『踊る大捜査線』って誰もが知っているからね。
我々は照り返しの一部
Q:スリーアミーゴスの存在は『踊る』の人気の大きな要因の1つになったと思われますが、そのあたりはどのようにお考えですか?
北村:ひとつのスパイスにはなっただろうけど、それよりもやっぱり、新しいものを作ろうと企画したプロデューサーや作家、監督とかがすごいんだと思います。今までなかった警察ものを作ったから、僕らも存在できたわけで。普通の警察ものだったら僕らは出てないよ(笑)。
小野:当時の刑事ものがよくやっていたこと、例えばあだ名で呼び合うとかはしないという、そういう思いがベースにあって、そこに織田くん(織田裕二/青島俊作役)、柳葉くん(柳葉敏郎/室井慎次役)、当時は和久さん(いかりや長介/和久平八郎役)もいらした。我々は照り返しの一部だから、そういう素晴らしい核と言うか芯があるからこそ、スリアミが活かされたんだと感謝しています。
北村:いいこと言うねぇ。
斉藤:警察関係の友達に、今までのドラマの中で一番現実に近いって言われました。
小野:そうそう。それは言われますね。
北村:全部じゃないだろうけども(笑)。でも新しかったよね。
小野:はい。そういうことを感じる前に、演じていて楽しかったです。現実は2つないから、僕の代わりに誰かが居た場合とか、署長が北村さんじゃなかった場合とか、もう今は考えられないです。
北村:テレビシリーズの制作発表の時は、まだ僕は決まってなかったからね。
小野:ユースケ(ユースケ・サンタマリア/真下正義役)が挨拶でスベって、可愛かったな(笑)。
斉藤:よーく覚えています。
北村:やっぱりね、この作品が究極のもので、エンターテインメントとして最高なんだってことなのよ。突き詰めているよね。僕にもたまには偉そうなこと言わせてよ(笑)。
『踊る大捜査線』に感謝
Q:当時と現在で、役への向き合い方などに変化はありますか?
北村:僕は全然ない。歳は取ったけど。スリーアミーゴスを演じているだけだから。
小野:それはそうですね(笑)。僕はあえて言えば、人気が出てからはちょっと、怖いというのとは違うけど、「次はどうすればいいんだろう」みたいな感じはありました。そこが29年前とは違うところかな。
北村:うん。29年とは言わずとも、途中でも思ったよね。余計なことをやっちゃうんだよ、もっとウケようとして。これは役者の心理でね、今もそうなの。これはよくないよね。
小野:役者の業ですよね。後輩の僕は僭越ですが、北村さんより若い時にそこは卒業して、「作品がよければいい」という心境になりました。
北村:偉い! もう僕は君についていくよ。小野ちゃんはちょっとした台詞にもリアリティーがあるの。僕は羨ましいと思う時がある。
小野:止めましょうよ。あまり褒められ慣れてないので……。
北村:照れるなよ(笑)。
小野:僕と北村さんは、実は『踊る』前にも共演がたくさんあったんですよ。先日も電話で2時間、「ほんとに『踊る』には感謝ですね」と話していました。
北村:昭和の男だね。今は2時間話す男はいないよ(笑)。
斉藤:僕ら一回りずつ年齢が違いますからね。始めた時、僕が40代で小野さんが50代、北村さんが60代で。
小野:こないだみんなの年齢を足してみたの。テレビシリーズの時(1997年3月時)は158歳か159歳で、今(取材時)は道路の名前みたいだけど246歳だった(笑)。
北村:君はそういうことが好きなんだねぇ。
斉藤:よくここまで続いてきましたよ。信じられないです。僕はアングラ出身で、お2人は新劇でしたから、ご一緒するのは『踊る』が初めてで。最初はどうしたらいいのかわからなかったです。
北村:でも、よく笑っていたよ。
斉藤:ついていくしかない、みたいな。合いの手も学びました。すごい勉強になっています。
北村:斉藤さんは偉いよ。ホントに真面目だしね。
青島俊作役・織田裕二は何年経ってもスター
Q:青島俊作として帰ってきた織田裕二さんについて、お三方はどのように感じられましたか?
北村:神田署長は青島に対して「刺されたね」とか言っていて、どっちかっていうとイヤがっていたと思うのね、問題ばかり起こすし。でもこの作品で、一生懸命やっているなって大好きになっちゃったの(笑)。
小野:そういえば撮影初日の後、北村さんから興奮した電話かかってきました。「小野ちゃん、織田くんが俺の手をすごく力強く握ってくれたんだよ」って(笑)。
北村:嬉しくてね(笑)。
小野:僕は、織田くんにはゆとりというか、包み込むような安定感を感じました。以前からエネルギーがありましたが、少しとんがった感じでしたから。僕、この場を借りて織田くんにお詫びを伝えていいですか? 以前、撮影現場に織田くんの休憩用のベッドが置いてあったのですが、僕はセットのベッドだと思って自分がぐーぐー寝ちゃっていたの。和久さんに言われて気づいて、慌てて「ゴメンね」って言ったら「いやいや」と笑ってくれて。悪いことしました。「織田君、ゴメンね」
北村:そうだよ、あれはひどかったよ。
小野:教えてくださいよ、遅いか。
斉藤:……あの、僕も言っていいですか?
北村:ああ! 僕らしゃべりすぎだね、ごめん(笑)。
斉藤:いえ(笑)。織田さんは年月を経ても輝いていました。スターなんですよ。ここにスターがいたことを発見したなぁと、改めて思いました。
Q:この先、もしまた『踊る』のオファーがあったらどうしますか?
斉藤:まだあるんですか?
北村:いや、仮定の話だからね(笑)。
小野:僕だけじゃないと思うけど、お声がかかるなら、俳優はやりたいと思うと思います。ましてや『踊る』みたいに人気シリーズで必要としてくださるならね。ただ、その時に何歳だろうとか、リアルなことは考えますけど。
北村:そうね、役者の年齢とか体調とかね。
斉藤:僕ははっきり言っておくと……。
北村:やるんだろ?
斉藤:やります(笑)。やらせていただけるかはわかりませんけど、お話をいただけたら嬉しいですよね。
北村:年を取ると肉体が衰えるからね、やるとか簡単には言えない。僕はたぶんやらない。だって91だよ?(笑) 僕は君たちが次のシリーズで活躍するのを楽しみにしているよ。
映画『踊る大捜査線 N.E.W. メトロポリスを駆け抜けろ!』は全国公開中



