「豊臣兄弟!」松下洸平、月代姿になった家康の真意を解釈 「視聴者に信じてもらえないんじゃないかという不安も」

仲野太賀が豊臣秀長役で主演を務める大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK総合・毎週日曜午後8:00ほかで放送中)で徳川家康を演じる松下洸平が、25日放送・第41回「家康の野望」の収録を振り返るなかで、終盤に月代姿で姿を現した家康の真意を巡る解釈を語った。
第41回では、和睦を巡り長らく膠着状態だった豊臣と徳川の転機となるエピソードが描かれた。秀長の妹・あさひ(倉沢杏菜)の輿入れも功を奏さず、上洛しようとしない家康。だが秀吉(池松壮亮)が母・なか(坂井真紀)まで人質に差し出したことで、ついに根負けする。とはいえ、それは形ばかりの上洛だと察した秀長は、謁見前夜に接待の場で家康に胸の内をさらけ出し、豊臣が真に手を取り合うべき相手か見極めてほしいと告げる。しかし家康は、この機に乗じて秀吉の懐刀である秀長を暗殺しようと企てていた……。
劇中、秀長と秀吉を「わしは、あやつらが恐ろしい」と評することもあった家康。松下は両者の関係をこう振り返る。
「家康から見た2人は、今までの人生の中には存在しなかったタイプなんだと思います。だからこそ、非常に扱いにくかったと思いますし、どう接するべきか、どう戦うべきか、非常に頭を悩ませた存在だったんじゃないかと。それほどまでに2人が魅力的だった、ということでもあると思います。のちに秀吉が亡くなった時、家康はその死を目の当たりにして涙を流したという話を伺ったことがあるのですが、家康はそれほどまでに秀吉に心酔していたんだろうと。その後、豊臣家が滅び、徳川の時代が来るまでにたくさんのドラマがあると思いますが、家康にとって秀吉というのは最終的には非常に尊敬に値する人だったんだろうなと思います」
第41回では終盤、秀吉が「わしがここまでこられたのは徳川殿のおかげでござりまする」「いつも道に迷うたときは、あのときの言葉を信じて前に進むことができ申した」と、第5回で家康(松平元康)が秀吉(羽柴藤吉郎)に告げた言葉を回想。「どうすれば松平様のようにお偉くなれますでしょうか」と教えを乞うた秀吉に、家康(元康)は「誰にもできぬことをやってのけるのじゃ。恐れず、己を信じて突き進むのじゃ」「大事なのはここじゃ」と胸を打ち、「熱意が人を動かし、勝敗を決する」と答えた。
その伏線回収とも言うべき展開について、松下はこう語る。
「“熱意が人を動かし、勝敗を決する”。当時、家康は真逆のことを言ってやったと言いましたが、秀吉と秀長がどこまでもピュアで、彼らの真っ直ぐな熱意が家康に響き、最終的にはその言葉がブーメランのように自身に返ってくるという展開が面白いなと思いました」
第5回の時点ではこうした展開を予想できなかったため、松下は「なるほどと思いました。ここに繋がってくるんだと」と驚きがあったという。
「第5回を撮影している時は、本当に緊張していて。まだ現場にも慣れていませんし、ましてや馬に乗りながらで、あまりセリフを交わしたことのない仲野くんや池松くんに緊張しながら、必死の思いでセリフを言っていた。なので、もっとかっこよく言えばよかったなと(笑)。まさか第41回で出てくるとは思っていないですから。ただ、そうして過去の出来事がバトンのように渡されていく様を視聴者の皆さんと一緒に見ることができるというのは、大河ドラマならではの素晴らしいところだなと思うので、とても嬉しかったですね」
第41回では秀長暗殺を画策する家康と、和睦に応じた家康の真意を見極めようとする秀長の緊迫の心理戦が展開。取材時には完成映像を見ていなかったが、松下は仲野の名演をふまえ「見ごたえのあるシーンになっているといいなと思います」と思いを込める。
「家康には(秀長暗殺の)作戦があるので、序盤はあまり焦らずじっくりと楽しむように会話を進めるんですが、中盤にかけて思いもよらぬ言葉が秀長からたくさん返ってくることで動揺し、最終的に彼らの熱意に押されてしまう。そのグラデーションをしっかり作りたいと思いながら演じていました。とはいえ、もちろん僕1人でできることではなく、太賀くんのお芝居に助けていただきながら、家康が最初の余裕たっぷりな状態から少しずつ追い詰められていく過程を演じることができたので、見ごたえのあるシーンになっているといいなと思います。個人的には、秀長の“徳川殿が楽しいと思うことは何でござりまするか”という質問に対して家康が“薬草集め”と答えるのが可愛いなと(笑)」
その後、家康が大坂城で秀吉に臣従を誓うシーンでは、家康が月代を剃った姿で現れた。そこに込めた家康の想いについて、松下は「最大級の敬意」と解釈している。
「当時頭を剃って月代にするというのは最大級の敬意であると僕は解釈しました。それこそが真の臣従の表現。豊臣の傘下に入るという決意の表れが、あの姿なのかなと思いました。監督もその決意が伝わるように大切に演出してくださいました。ギリギリまで月代を見せず、頭を上げた時に剃っているのがわかるという。そのこともあり、“この家康、本日ただ今より身命を賭して殿下にお仕えいたす所存”という言葉以上のものが月代に込められたんじゃないかなと思います」
ちなみに、家康はこれまで豊臣兄弟にさんざん嘘をついてきたため、臣従は真意なのかと疑ってしまうが……。
そんな問いに、「真意と考えていただいていいと思います(笑)」と松下。「ただ、その後の(出奔した家康の側近)数正(迫田孝也)とのやり取りの中で、“おまえはそれまで秀吉に仕え、わしに通じよ”というようなセリフもあるので、豊臣の支配下の中にいながらも、やはり家康の中にある野望は全く消えたわけではないのかなと。ただ、秀長、秀吉の2人をとてもリスペクトしているということに関しては真実だと思います。確かに、家康はこれまでたくさん嘘をついてきたので、僕がどれだけ頭を下げても視聴者の皆さんが信じてくれないんじゃないかという不安はあります(笑)」とユーモアたっぷりに答えていた。(編集部・石井百合子)



