小栗旬の役との向き合い方 三池崇史監督『クローズZERO』から約20年

変わっていく人生のフェーズとともに…。
変わっていく人生のフェーズとともに…。

 三池崇史監督の最新映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』(公開中)。ドラッグやギャンブルに溺れ、汚職にまみれた警部補・矢吹恭二を演じた小栗旬が、約20年前の『クローズZERO』からタッグを組んできた三池監督との関係、そして環境が変わったことで変化した役との向き合い方を語った。

にじみ出る色気…小栗旬インタビューカット集

 矢吹は、警察官でありながら決して「善」とは呼べない男だ。しかし小栗が台本を読んで最初に抱いたのは「とても人間らしい人」という印象だったという。「欲望に忠実というか。どうしようもないところも面白い」と笑う一方、その背景については三池監督とも話し合った。「間違いなく、もともとは正義に情熱を燃やしていた人だと思う。ある意味、真面目だからこそ深いところまで足を突っ込んでしまった」。自らの行為を“正しい”と思いながら進んだ結果、気づけば身動きが取れなくなっていた。そんな男として矢吹を捉えた。

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 本作は小栗にとって、『クローズZERO』『クローズZERO II』『テラフォーマーズ』に続く三池監督との4度目のタッグとなる。『クローズZERO』撮影時、小栗は23歳。当時は役を撮影現場の外まで引きずることも多く、共演者たちと毎日のように酒を飲み、作品の世界の中で生活していたという。

 今回も「三池さんと仕事しているときはいつもそう」と、矢吹さながら“不摂生な生活”を送り、「ほぼ二日酔い」で撮影現場に入ることもあったそう。しかし、20代の頃とは自分を取り巻く環境が変わったことで、役から離れてしまう瞬間ができてしまったようだ。役を引きずり続けることだけが芝居への誠実さなのか。それとも日常へ戻りながら、必要な瞬間に再び役へ入っていくべきなのか。「そういうことに向き合うことも、役者っていう仕事のやるべきことなんだろう」と、今も模索を続けているという。

 そんな小栗にとって、三池監督の撮影現場そのものは約20年前から変わっていないと話す。「三池さん自体が撮影現場を一番楽しんでいて、映画作りっていうものを楽しんでいる。それが見えるから、自分たちもこの人のためにできることはないかなという気持ちにさせてくれる」。撮影当日の空気から生まれたシーンもあり、台本だけでは完成しない三池組ならではの映画作りを楽しんだ。

 また、本作では英語での芝居にも挑戦した。小栗は、英語のセリフについて「日本語の時の数倍反復をして現場に行っている」と明かす。それでも、「自分が使い慣れている言語ではないので、なかなか日本語で話している時のようにいかない」と、その難しさを率直に語った。

 20代の頃のように、24時間役になり続けることはもうできない。それでもカメラの前では、自分では決して選ばない人生を生きることができる。小栗は改めて俳優という仕事の面白さを実感しているようだ。(取材・文:森田真帆)

映画『バッド・ルーテナント:トウキョウ』は全国公開中
ヘアメイク:高木琢也(OCEANTOKYO)
スタイリスト:三田真一(KiKi inc.)

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