ケイト・ブランシェット、難民支援に想い「大切なのは作家たちに自由を与えること」

第39回東京国際映画祭

来日したケイト・ブランシェット
来日したケイト・ブランシェット

 俳優のケイト・ブランシェットが30日、現在開催中の第39回東京国際映画祭で行われた「ディスプレイスメント・フィルム・ファンド(難民映画基金、以下DFF)」記者会見に出席し、本取り組みへの熱い思いを語った。この日はモハマド・ラスロフ監督、シャフルバヌ・サダト監督、クレア・スチュワート(ロッテルダム国際映画祭マネジング・ディレクター)、柳井康治(株式会社ファーストリテイリング取締役グループ上席執行役員)も登壇した。

【画像】会見の様子

 DFFは、避難を余儀なくされた映画制作者、または避難民としての経験を描いた実績のある映画制作者の活動を支援・助成するために設立。2025年の第54回ロッテルダム国際映画祭(IFFR)において、俳優・プロデューサーであるケイト・ブランシェットが設立を発表した。第39回東京国際映画祭では、DFFの支援を受けた『アライズ・イン・エグザイル/故郷を追われた盟友たち』(ハサン・カッタン監督)、『ローテーション』(マリナ・エル・ゴルバチ監督)、『センス・オブ・ウォーター』(モハマド・ラスロフ監督)、『スーパー・アフガン・ジム』(シャフルバヌ・サダト監督)、『ウィスパーズ・オブ・ア・バーニング・セント/残り香のささやき』(モ・ハラウェ監督)の短編5作品が「ガラ・セレクション」に選出されている。

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 ブランシェットは「まずはこのような場をいただけたことに感謝します」と語り出すと「ファンドとして、多くの監督たちの声を広めたいという思いがあるので、作品群として上映できる場はとても重要です」と映画祭での上映の重要性を強調する。

 続けてブランシェットは「いま世界では67人に1人が祖国を追われたり、避難を強いられたりしています」と現状に触れながら「そういう人たちの表現をしっかり確保しなければいけないと思いました」と強い使命感があったことを明かす。

 今回の企画で「とても大切にしているのは作家たちに自由を与えること。どんな題材を取り扱ってもいいんです」と語ったブランシェット。

 そんななか『センス・オブ・ウォーター』を作り上げたラスロフ監督は「私はイランを離れてからそれほど長い年月が経ったわけではありません。イランを離れざるを得なくなって海外で暮らし始めてから、およそ1年半が経過した頃にこのファンドからのお話をいただきました」と切り出す。

 続けてラスロフ監督は「母国を離れてまず直面した大きな問題が“言語”でした。言葉にはそれぞれ独自の感情や質感が宿っています。しかし翻訳を介したり、第二言語で思考しようとしたりすると、その感情のニュアンスが失われてしまうことがあります。母国語であればごく自然に感じ取れる質感や感情が、第二言語ではどうしても抜け落ちてしまう。そのことに対する強い恐れや戸惑いがありました。これは私個人にとって非常に切実な課題でした」と葛藤を打ち明け、「ファンドの話を受け、こうした思いを作品に描こうと思ったんです」と作品に込めた思いを述べていた。

 また『スーパー・アフガン・ジン』のサダト監督は、「これまでの私の人生は、大きく2つの要素によって決定づけられてきました。ひとつは過酷な人種差別、そしてもうひとつは性差別と家父長制です」と語る。さらにサダト監督は、ソ連のアフガニスタン侵攻によりイランに逃れ、その後も戦争に翻弄され続けた苦悩を振り返る。そんななか居場所を“自分の体”に求めることにより安寧を望んでいたこと、そしてその気づきが本作の題材になっていることを明かしていた。(磯部正和)

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