小島秀夫監督、コジプロ10周年展に込めた次世代への思い 新作は「映画とゲームの境界」をなくす試みに

麻布台ヒルズギャラリーで31日から開催される、コジマプロダクション設立10周年記念展「BEYOND THE STRAND:創造と挑戦の航路」(10月31日~12月20日)のメディア向け内覧会が30日に行われ、同スタジオを率いる小島秀夫監督が代表質問に答えた。独立からの10年を振り返った小島監督は、展覧会の目的や進化するAIに対する思い、現在進行中のプロジェクトについても語った。
2015年12月15日の独立から10年。ギレルモ・デル・トロ監督などの後押しもあって、自分たちのIPとして立ち上げた「DEATH STRANDING」から始まった歩みは、続編やスタジオA24との実写映画化、アニメーション展開など多角的な広がりを見せている。
10年の歩みの中でファッションブランドやグッズ展開など、ゲームの枠に収まらないコラボレーションを繰り広げてきたコジマプロダクション。小島監督は「ゲームとか映画とかマンガとか音楽とかファッションが、分離したものではなく、デジタルの世界で1つになっていきていると思います」と語り、“デジタルの魔法”を駆使した新しいスタイルの創出を目指していると語った。
その思いは、新作ホラー「OD - KNOCK」や、新世代のアクション・エスピオナージ「PHYSINT」といった、スタジオの“サードフェーズ”担う進行中のプロジェクトにも反映されているようだ。「『OD』はホラーゲームではありますが、システム的には今までに全くなかったものになります。何かはまだ言えませんけど。また『PHYSINT』は新しい諜報ゲームにしようとしていますが、映画とゲームの境界をなくしたくて、そういう狙いがあります」と明かした。
また、急速に進化するAI技術について尋ねられる一幕もあり「ゲームはそもそもテクノロジー依存のエンタメではありますが……」という小島監督は、効率化などの恩恵がある可能性を認めつつ「例えば絵を描くとかってなると、完成させるだけが面白いんじゃないんですよね。その途中が非常に面白いと思うんです」と強調する。「指示をしたものがポンと出てくるというのも効率としてはいいんですが、僕が思うものづくりとしては、ちょっと面白くないかなと。作っている過程が、本当のものづくりになっている時もあるので」
「作詞・作曲なら『こういう曲を作ってください』と人に言ってそれがあがってきてOKではなくて、その間の試行錯誤でアドレナリンが出て“面白い”という気持ちになると思うので、そこが失われるような未来にはなってほしくはないです。一方で効率は非常によくなるので、使い方によっては良い未来を築けるんじゃないかなと。ただ“商品”を作るならそれでいいと思うのですが、やはりクリエイティブとなると話はまた別じゃないかと思ってます」
「DEATH STRANDING」の開発資料や初期プロセスまで赤裸々に展示している今回の記念展。小島監督は「僕が美術館や博物館が大好きということもありますが、ゲームを作っているのはどういう人たちで、どうやって作ってるのかをわかってほしいという思いもありました。よく言っていることですが、ゲームは遊ぶのも面白いですが、作る方が面白い(笑)。今回はたくさんの情報を出していますので、目を通していただいて、『自分たちでも作れるんじゃないか』と、若い人たちがよりクリエイティブの世界に来てくれればいいかなと思っています」と次世代へのメッセージを寄せた。(編集部・入倉功一)
「KOJIMA PRODUCTIONS 10th ANNIVERSARY EXHIBITION BEYOND THE STRAND:創造と挑戦の航路」は2026年10月31日(土)~12月20日(日) まで麻布台ヒルズギャラリーで開催
チケット料金 前売:2,600円(税込)/当日:2,800円(税込)
※10月31日(土)~11月3日(火)の入場にはプレビューチケットが必要



