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なぜヒット?インド映画『RRR』は何がすごいのか

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 昨年2022年10月21日に公開されたインド映画『RRR』が、年をまたいでますます勢いを増している。2023年1月9日時点で動員が33万6,952人、日本国内累計興行収入は5億952万4,520円。日本におけるインド映画の最高記録を24年ぶりに更新し、1990年代に4億円を稼ぎ出した『ムトゥ 踊るマハラジャ』(1995)を大きく引き離した。

 年末からは一度は上映終了した多くの映画館で再上映が始まり、IMAX上映も復活。1月20日からはドルビーシネマでの上映も始まる。湧いているのは日本だけではない。先日発表された第80回ゴールデン・グローブ賞では、非英語圏の作品では異例の歌曲賞を受賞。『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のジェームズ・キャメロン監督が『RRR』のS・S・ラージャマウリ監督に『RRR』を観た興奮を熱弁している姿も目撃された。

 『RRR』は、イギリス植民地時代のインドを舞台に、ラーマとビームというふたりの男の友情と権力への戦いを描いたアクション超大作。いや、ハリウッドでもお目にかかれないハイテンションなアクションが満載なことは確かだが、荒唐無稽でありつつも熱いドラマとユーモアが混じり合い、中毒性の高い強烈なリズムの音楽が観客を大きなうねりの中に放り込む。インド映画の常として多種多様な要素がごった煮になっており、おおよそひとつのジャンルで括れるものではない。

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 主演のN・T・ラーマ・ラオJr.ラーム・チャランの存在感も尋常ではない。映っているだけでスクリーンを支配するスターの濃厚すぎるオーラは目眩がするほどで、そんなふたりが熱いダンス対決を繰り広げるシーンまで飛び出すのだから、もはや映画全体がひとつのフェスかカーニバルだと思っていただいて構わない。

 と、作品の魅力を駆け足で紹介してみたが、これまでにもパワフルで面白いインド映画は日本で上映され、それぞれに熱狂的なファンもついている。前代未聞の『RRR』の快進撃は、続々とリピーターが生まれたことだけでなく、今までインド映画に触れていなかった新規の観客をつかめていなければありえなかったはず。『RRR』が飛び抜けた傑作であることはさておいて、ここに至るまでには着々と積み上げられてきた下地があったことも忘れてはならない。

 S・S・ラージャマウリ監督の前作『バーフバリ』は、前編『伝説誕生』と後編『王の凱旋』が別々に公開された二部作だった。日本では当初『伝説誕生』の上映館はわずかしかなく、劇場で鑑賞する機会は限られていた。しかし作品が放つ強烈な熱気を浴びた観客が夢中になり、「スゴイ映画がある!」と口コミが広がって、『王の凱旋』の時にはIMAX上映や応援上映などさまざまな形で盛り上がった。

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 さらにいえば、長年インド映画といえば『ムトゥ 踊るマハラジャ』が引き合いに出され、歌って踊る珍奇な文化を愛でるものとして扱われることが多かった。しかし『きっと、うまくいく』『女神は二度微笑む』『マダム・イン・ニューヨーク』のような違う文脈を持った良作がインド映画の幅とクオリティーを日本や世界に知らしめることで、固定化されていた概念を突き崩してきた背景もある。中でもインド映画らしさと斬新さを兼ね備えたラージャマウリ監督への期待は大きく、監督作が日本公開されるのも『RRR』が6本目。映画ファンの多くが「次は何をやってくれるのか!」と手ぐすねを引いて待ち構えていた状態だったのだ。

 国内が複数の言語圏にわかれ、それぞれに映画産業を持つインドの映画を十把一絡げにはできないし、そのスタイルも時代とともに変化を続けている。しかし過剰なサービス精神で観客を巻き込むパワーは衰えることがなく、ここ数年の流れを見る限りインド映画の受容は世界的にも進んでいる。映画賞レースが加熱するこの時期に、続編も企画中という『RRR』がさらなるビッグバンを起こすのかに注目したい。(村山章)

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