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『東京リベンジャーズ2』など4月公開映画の評価は?

今月の5つ星

 フィンランド発の青春ドラマにM・ナイト・シャマラン監督の新作、イランで起きた連続殺人事件に着想を得たサスペンス、セザール賞7部門受賞作、そして『東京リベンジャーズ』の続編まで、見逃し厳禁の作品をピックアップ。これが4月の5つ星映画だ!

思春期の美しさや尊さが詰まった秀作

ガール・ピクチャー』4月7日公開

 第95回アカデミー賞国際長編映画賞のフィンランド代表作品で、第38回サンダンス映画祭ワールドシネマドラマ部門の観客賞を受賞した青春ドラマ。多感な時期を過ごす少女たちが悩みに向き合っていく姿を鮮烈に描き出す。

 心に響くのは、もがきながらも自分に問うことを諦めずに行動する彼女たちの姿。そこには、かけがえのない青春時代を生きる瞬間の美しさや尊さが詰まっており、同世代ならドンピシャに刺さる。同時にその時代を懐かしく感じる大人にとっても新たな気付きがある。物語だけでなく、カラフルな映像美も突出しており、赤や青のライティングで人物を照らすシーンは格別の美しさで、悩める思春期の真っ只中にいる、主人公たちのみずみずしさが引き立っている。異なるセクシュアリティーを当然とする肯定感に満ちた本作は、多様性を尊重する現代を代表する秀作と言える。(編集部・小松芙未)

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究極の選択を迫られた家族が下す決断とは

ノック 終末の訪問者』4月7日公開

 『シックス・センス』や『オールド』など、予測不可能なストーリー展開で世界中の観客を震撼させてきたM・ナイト・シャマラン監督の新作。人里離れた山小屋で休暇を過ごす3人の家族の前に突如現れた4人の訪問者たち。彼らは家族を拘束し「家族の犠牲か、世界の終焉か」という究極の選択を提示する。理不尽な選択に抵抗する家族たちだったが、訪問者たちの説得と変化する世界情勢に心が動き始める。刻一刻と選択が迫られる中で家族が下した決断とは。

 映画を通して描かれる究極の問いかけを自らにも置き換えずにいられないため、鑑賞後、余韻に浸ることは必至だ。シャマラン監督ならではの最後まで予測不可能なストーリー展開と、訪問者たちが使命を全うするシーンや家族の選択によって引き起こされる世界情勢の変化の描写はインパクト抜群の映像に仕上がっている。(編集部・柳田光司)

殺人鬼以上の恐怖がそこにある

聖地には蜘蛛が巣を張る』4月14日公開

 イランの聖地マシュハドで16人もの娼婦を殺害した殺人鬼スパイダー・キラーによる連続殺人事件に着想を得たサスペンス。事件の真相を追う女性ジャーナリストが受ける不条理な扱いと葛藤、模範的な人物だった犯人の姿を通して、もう一人の殺人鬼ともいえる、社会の抱える問題を浮き彫りにする。

 そこには、敬虔な信者にして、街を浄化するために娼婦を狙ったと訴える犯人が英雄視され、犠牲者の尊厳を傷つけることが歓迎される世界が存在する。性別や年齢にかかわらず、習慣的に女性蔑視が根付いた社会構造の恐ろしさは、決して他人事ではない。一人の人間である犠牲者たちの背景と、表立って悲しむこともできない遺族の描写に、やり切れない思いが募る。カンヌ国際映画祭で女優賞に輝いた、主人公ラヒミ役のザール・アミール=エブラヒミはもちろん、戦争における心の傷を抱え、社会で生きる意味を見失った犯人を演じるメフディ・バジェスタニにも注目だ。

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200年前のパリに、現代が顔をのぞかせる

幻滅』4月14日公開

 大小さまざまな新聞が部数を伸ばし、ジャーナリストが社会に与える影響力が増大していった19世紀前半のフランス。詩人としての夢も忘れて新興メディアの寵児となる主人公のリュシアンが生きたのは、あらゆる情報が資本主義の論理で「商品」としてやりとりされる世界。まさに、フェイクニュースがはびこる現代の情報社会を先取りしたような社会だ。200年もの昔に書かれたバルザックの原作は、そんな無節操さをシニカルに描き出していたが、本作の切れ味も同じく鋭い。写し絵のように、熱狂に包まれたパリの情景と現代社会が重なっていく。

 リュシアンを演じたのは『Summer of 85』でも美青年ぶりを見せつけたバンジャマン・ヴォワザン。熱狂の渦に飲まれ、純朴な青年がしだいに堕ちていくさまを、退廃的な美しさをたたえながら魅力たっぷりに表現している。劇中で変化していく彼のビジュアルから、当時のパリの風俗を生き生きと感じることができる。(編集部・大内啓輔)

さらなるブレイクを遂げた人気俳優たちの熱量!

東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 -運命-』4月21日公開

 和久井健の人気コミックを映画化し、マンガ実写の新たな成功例となった『東京リベンジャーズ』の続編2部作の前編。凶悪化した組織“東京卍會”によって、再びかつての恋人・ヒナタ(今田美桜)を殺された主人公・タケミチ(北村匠海)は、ヒナタを救うため過去に戻り、東卍結成メンバー6人を引き裂く悲しい事件に迫る。

 前作を経てさらなるブレイクを遂げた人気俳優たちの圧倒的な熱量に加え、永山絢斗村上虹郎高杉真宙という新キャストの参戦で面白みと説得力が増している。前作ではわずかな登場だった謎の男・キサキ(間宮祥太朗)も存在感を増し、タケミチの目の前で命を落とすヒナタや、マイキー(吉沢亮)の兄のシーンなどエモーショナルな展開もありで、見どころ十分の90分。なぜ、かつての親友たちは戦うことになってしまったのか? タイトルの「血のハロウィン」につながる後編にも期待が高まる。(編集部・中山雄一朗)

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