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【ネタバレ解説】「ロキ」シーズン2第3話:『007』ボンド俳優が演じる可能性があったキャラクターとは?

 ディズニープラスで配信中のマーベル実写ドラマシリーズ「ロキ」シーズン2の第3話「1893」は、『アントマン&ワスプ:クアントマニア』のおまけシーンに直結! 1893年のシカゴ万国博覧会で何が起きたのか。第3話注目ポイント&小ネタと合わせて確認していく。(文・平沢薫)

※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「ロキ」シーズン2第3話をまだ見ていない方はご注意ください。

“在り続ける者”の変異体が出現

 シーズン1最終話での“在り続ける者”(ジョナサン・メジャース)の予言通り、征服者カーンの新たな変異体ヴィクター・タイムリーが初登場した。マーベル・コミックにも存在するキャラクターで、1901年のアメリカの田舎に出現する。「ロキ」でヴィクターが登場するのは、1893年のシカゴ万国博覧会。時間分岐をめぐるドラマも進展するが、それと一緒に歴史ドラマの雰囲気を楽しむエピソードにもなっている。冒頭のマーベルのロゴ画面で流れるテーマ音楽も、この時代に合わせた古風なアレンジに。ロキ役のトム・ヒドルストンはさすが英国紳士、古風なスーツ姿がビシっと決まってよく似合い、それとは対照的な相棒メビウス役のオーウェン・ウィルソンの少々ユルい感じの着こなしもいい感じ。

 それにも増して目を引かれるのは、ジョナサン・メジャースが一人二役で演じる在り続ける者とその変異体ヴィクター・タイムリーの別人ぶり。発明家であるヴィクターは真面目でコミカルな雰囲気もあり、彼が『アントマン&ワスプ:クアントマニア』で演じた傲慢な征服者カーンともまた違い、メジャースの芸達者ぶりに脱帽だ。

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ミス・ミニッツが怖くも切ない…人物の性格描写も見どころ

 今回はヴィクターだけでなく、人物の性格描写も見ものだ。久々に登場した元TVA(時間変異取締局)の判事ラヴォーナ・レンスレイヤー(ググ・バサ=ロー)と人工知能ミス・ミニッツ(声:タラ・ストロング)の本心がくっきり。レンスレイヤーは「私が秩序よ」と発言して、権力志向が明白に。ミス・ミニッツの望みは、在り続ける者に愛されること。身体を持たない人工知能のミス・ミニッツが身体を欲しがる場面は、ちょっと怖いが切なくもある。

 そして、ロキの変異体シルヴィ(ソフィア・ディ・マルティーノ)の心境が変わりつつあることも描かれる。彼女は、在り続ける者の変異体は全員殺すと宣言していたが、変異体のヴィクターが「私は彼ではない。私は自分自身の道を選べる」と言うと、彼を殺すことをやめる。そして、ずっと憎んできたラヴォーナにも「執着は身を滅ぼすことがわかってきた」と言って彼女を倒さず、別の時間軸へと飛ばす。シルヴィのこれからの行動は変化しそうだ。

 人間ドラマもあるこのエピソードの監督は、「ロキ」シーズン1からプロダクション・デザインを手掛けるイラン出身のカスラ・ファラハニ。このエピソードでは、脚本にも参加している。マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の参加は本作が初めてではなく、『ブラックパンサー』『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』などのコンセプト・アーティストを務めている。

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【今週の小ネタ】『007』6代目ボンド俳優が演じる可能性があった人物!

 今回登場する1983年のシカゴ万国博覧会は、実際に行われた大イベント。メビウスが会場を見て言う「ホワイト・シティ」「H・H・ホームズ」も史実だ。万博会場の中心部の建造物は、古代ギリシャ風の新古典主義様式で統一され、化粧石膏により白く輝いたので「ホワイト・シティ」と呼ばれた。また、「H・H・ホームズ」はこの会場近くでホテルを経営して客を殺し、27件の殺人を自供したシリアルキラーの名前。ヴィクターはステージで街中を電灯で照らすと発言するが、実際にこの博覧会の注目アイテムは電気で、エジソンによる光の塔や、テスラの交流型発電機が話題を集めた。ヴィクターとラヴォーナが船から見る、夜の万博会場が電灯で光り輝いているのは、この史実を踏まえている。

 もちろん、マーベルの小ネタも続々と登場する。ロキとメビウスが見る、今夜の講演を告知する看板には、アントマンとのリンクかもしれない記載がある。ヴィクターの演目の上に「シンガー、フェルディナンド・ラング」とあり、この人物はアントマンことスコット・ラングの祖先かもしれない?

 また、万博会場には、北欧神話の神の木像(オーディン、ソー、バルドル)が展示されており、これらは『マイティ・ソー』シリーズに関連する。ロキが「バルドルなど誰も知らないだろ」と言うと、メビウスが「バルドル・ザ・ブレイブだろ」と返答。バルドルは北欧神話のソーの弟で、神話ではロキの計略により異母弟に殺されるが、世界が滅びた後に復活する。バルドル(英語ではボールダー)・ザ・ブレイブは、マーベルコミックのキャラクターで、1962年刊行の「Journey into Mystery #85」が初登場。このキャラクターはMCUに登場するとの噂もあった。『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に登場したスーパーヒーローたちの秘密結社イルミナティの一員がバルドル・ザ・ブレイブで、映画『007』シリーズで6代目ジェームズ・ボンドを務めたダニエル・クレイグが演じるという噂が流れたことがある。

 そして、ヴィクターがマシンを買って騙されたと怒る男に追われるシーン。彼が隠れる柱と背景にある建物の壁に注目すると、古代エジプトの壁画の模様がある。これは、原作コミックに登場するカーンの変異体の一人、古代エジプトのファラオ、ラマ=タトの存在を匂わせる仕掛けかもしれない。また、ヴィクターが試作品を取りに行く研究室の所在地がウィスコンシンなのは、原作コミックのヴィクターが住んでいたのがウィスコンシンだからだろう。

 現実とリンクした小ネタでは、ヴィクターたちが乗る船の名前も挙げられる。彼らが乗船する時、「SS Herron」という船名が映るが、これは「ロキ」シーズン1の全話を監督したケイト・ヘロン(Kate Herron)へのオマージュかもしれない。

 次週の第4話で、全6話のシーズン2も折り返しに突入。TVAの時間織り機は修復されるのか? ヴィクターの試作品、処理速度倍増器は活躍するのか? ミス・ミニッツがラヴォーナに言った、彼女が聞いたら怒るという「あなたに関する"在り続ける者"の秘密」とは何なのか、次回の展開が待ち遠しい。

「ロキ」シーズン2はディズニープラスにて独占配信中

(C)2023 Marvel

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