『パラサイト』に続き世界が大熱狂!ポン・ジュノ最新作『ミッキー17』が最高!
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『パラサイト 半地下の家族』で第92回アカデミー賞作品賞を含む4冠に輝き、韓国映画の歴史を塗り替えたポン・ジュノ監督。映画ファンが待ち望んだ『パラサイト』以来初となる新作『ミッキー17』がいよいよ3月28日より日本公開されます。製作が発表されて以来、世界中から熱い視線が注がれていた本作は、第75回ベルリン国際映画祭でお披露目となるや、極限まで高まった期待すら軽々超えて絶賛レビューの嵐に! 『ミッキー17』の何がそんなに最高なのか、海外のレビューの数々からその魅力に迫りました。(編集部・市川遥)
ハリウッドでもポン・ジュノ節炸裂!最新作にして集大成
『ミッキー17』は、何もかもうまくいかずとにかく地球を出たかったミッキーが、ろくに契約書も読まず、唯一空いていた“使い捨てワーカー”という職業で大企業の仕事を手に入れるところから始まります。導入から惹きつけられる展開ですが、名称通りヤバすぎたこの仕事。危険な任務や人体実験はすべてミッキーの担当で、死ぬたびに過去の記憶を引き継いだ新たなミッキーとして生き返らされ、ミッキーは今日もまた文字通り“使い捨てワーカー”として権力者に命令されるがまま酷使されるという衝撃的な設定が光ります。
これまでも格差社会、資本主義社会への鋭い視点をエンターテインメントに昇華させてきたポン監督は、『THE BATMAN-ザ・バットマン-』『TENET テネット』『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のロバート・パティンソンを主演に迎えたこのハリウッド大作でも自身のスタイルを遺憾なく発揮しています。海外のメディアでも大絶賛されており、SlashFilmは「今この時代にぴったりな映画で、ポン・ジュノ史上最高の英語作品」と激賞し、Total Film は「ポン・ジュノは21世紀で最も強力で安定した映画監督としての地位をさらに固めた」とたたえています。
さらにIndieWireは「ポン・ジュノは『スノーピアサー』と『Okja/オクジャ』の最高な部分を融合させて、新たなものを作り出した。この温かく素晴らしい映画は、彼が資本主義を憎む以上に、人間を愛していることを示している」と本作が新たな境地に達していると評価。使い捨てワーカーvsブラック企業トップという、半地下を超えたこの“どん底”からの逆襲エンターテインメントは、ポン・ジュノ監督の最新作にして集大成というべき完成度です。
先日2月28日にポン・ジュノ監督の出身国韓国で世界最速で公開されると、週末3日間で10.1億円の興行収入となり大ヒット! 2025年公開作品のなかではもちろん、ロバート・パティンソン史上最大のオープニング成績を記録。この勢いは止まりません!
応援せずにはいられない!愛すべき主人公ミッキー

その人の記憶をそのままに新たな身体にコピーする技術が存在する『ミッキー17』の世界には、「コピーは同時に2人以上存在してはいけない」という厳格なルールが。しかしある日、ミッキー17(※17番目のミッキー。16番目までは全員死亡)が危険な任務から奇跡の生還を果たすと、入れ違いでミッキー18が生成されていて……。2人存在していることがバレると共に抹殺されるため、“唯一のミッキー”になろうとするミッキー17とミッキー18の争いは、そもそも彼らに“死にゲー”的任務を強いているブラック企業のトップへの大逆襲へと発展していくことになります。『パラサイト』で描かれた階級社会の超強化版といった趣で、圧倒的に不利な立場から、人を人とも思わず贅沢三昧のトップに一矢報いようとするミッキーの挑戦に、誰もがいつの間にか共感し、ミッキーと共にエキサイトしていくこと必至です。

それもそのはず、Time Out が「常に面白く愛すべき主人公」と評するように、ロバート・パティンソンが演じるダメダメで心優しいミッキーがとにかく魅力的。ブラック企業の上司からの無理難題に文字通り命を懸けて対応し、同僚たちに気を使わせないように少し情けない笑みを浮かべて散っていくミッキーの姿には、程度の差こそあれ、働く現代人なら誰しも共感を覚えずにはいられないはず。The Independent は「本作はパティンソンの最高傑作。映画スターのカリスマ性を抑え、愛すべき変人を見事に演じている。ミッキーは打ちのめされたすべての人にとってのヒーローだ」と応援せずにはいられない彼の魅力を称賛しています。
またミッキーはコピーされて生き返るたびにほんの少し性格が変わるのですが、ミッキー18はそれまでとのミッキーとは全く違って、恐れ知らずな性格。IndieWireは「パティンソンは本作で彼史上最高の演技のうち、二つを披露している。おとなしく抑圧されたミッキー17のことはすぐに愛おしくなるし、クールなミッキー18からはパティンソンのエモいブルース・ウェイン(バットマン)を感じさせる」と評し、さらにポン監督と同じ韓国出身で、『別れる決心』で第75回カンヌ国際映画祭コンペティション部門監督賞を受賞したパク・チャヌク監督も「ロバート・パティンソンに2つのアカデミー賞を与えるべきだ。主演男優賞と助演男優賞をね」とその演じ分けを絶賛! ダメダメなミッキー17の予想外のハマりっぷりから劇薬のようなミッキー18のさすがのかっこよさまで、パティンソンの衝撃的な演技の振り幅がもたらすユーモアは絶品です。
先の読めない逆襲エンターテインメント!

脚本家としても名高いポン・ジュノ監督は、本作の脚本ももちろん執筆。原作小説「ミッキー7」からタイトルが『ミッキー17』に変更されていることからもわかるように、ポン監督はさらに10回もミッキーを死なせて、観客を予想不可能なめくるめく逆襲劇へと引き込みます。愛すべきミッキーに過酷な任務を強いるブラック企業のトップたち(『アベンジャーズ』のマーク・ラファロ&『へレディタリー/継承』のトニ・コレット)も振り切ったヤバさで、コミカルでありながら先の読めない展開にドキドキしっぱなし! Deadlineでは「命懸けの、めまいがするようなワイルドなライド」、SNSでも「これまで観た映画の中で最も先の読めない映画の一つ」と高く評価されています。何度経験しても決して慣れることはない死の恐ろしさもきちんと提示してミッキーに感情移入させた上で、世の中の“使い捨てワーカー”代表の彼とブラック企業のトップたちとの対決へとなだれ込む脚本は、さすがポン・ジュノというべきクオリティーです。
The Guardian が「絶え間ない死の中にも『ミッキー17』にはその恐怖に対する楽観性のようなものがあり、最終的にはハッピーエンドが訪れることを感じることができる」と評するように、本作の核になっているのは人間に対するポン監督の愛あるまなざし。GamesRadar+は「ポン・ジュノは映画の達人であることをまたしても証明した。音楽、演技、脚本のペース、美術に至るまであらゆる点で完璧。本作を最後まで観れば、ミッキーが絶え間ない死を前にしてなおそうしているように、あなたもこれまで以上に懸命に生き、愛するための活力を取り戻しているだろう」と鑑賞後の爽快感について言及しています。その言葉通り、ジェットコースターのようにスリリングな展開に夢中になり、ミッキーの逆転劇に快哉を叫んだ後は、心にぽっと灯がともった気分に包まれること間違いなしです。

また、日本人ならきっと気が付くのが『風の谷のナウシカ』とのリンク。ミッキー17が危険な任務を行う場所に住んでいる謎の生き物クリーパーは、王蟲にそっくりな見た目。そしてクリーパーと対峙することになるミッキーは、そのゴーグルと耳当て付きの帽子も相まって、ナウシカと王蟲にしか見えない……! このクリーパーの造形が実際に『風の谷のナウシカ』に影響を受けているかどうかは不明ですが、ポン監督は以前から宮崎駿監督への敬愛の念を表明しており、「現代の監督として生命や自然について語ろうとするならば、この偉大な巨匠の影響を受けないなんてことは不可能だと思います」と語ったこともあります。“ナウシカ”パティンソンを堪能できるのも、本作が最高な理由の一つといえるでしょう。
映画『ミッキー17』は3月28日より全国公開 公式サイト>> 公開劇場>>
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