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【ネタバレ解説】「デアデビル:ボーン・アゲイン」第3話:デアデビル史上最もクールで衝撃的なエンディング

 昼は弁護士、夜はクライムファイターのヒーロー・デアデビルを描くマーベルドラマ「デアデビル:ボーン・アゲイン」の第3話「手の中の空虚」が配信された。今回も見どころが山盛りだが、エンディングのクールな演出にすべてが吹っ飛ぶ!(文・平沢薫)

※ご注意:本記事はネタバレを含みます。「デアデビル:ボーン・アゲイン」第3話をまだ観ていない方はご注意ください。

無罪のホワイトタイガーが…衝撃のエンディング

 弁護士マット・マードック(チャーリー・コックス)の尽力により、裁判で無罪判決を得たホワイトタイガー/ヘクター・アラヤ(カマール・デ・ロス・レイス)。裁判で正体がバラされたヘクターだったが、第3話のエンディングでは、マスクとスーツを身につけて再び夜の街に出る。ところが、彼は側面から頭部を撃たれ、路上に崩れ落ちる。

 それだけでも衝撃的なのに、現場から立ち去る男の胸部には、見慣れたドクロのマークが。「まさかパニッシャーが!?」と思う間もなく、世界は暗転し、エンドクレジットがスタート。そこに音楽はなく、ただ何かの鳴き声が聞こえてくる。それは、冒頭でヘクターが語った、世界一美しい場所・プエルトリコの海岸で鳴くコキーコヤスガエルの鳴き声だ。耳を澄ますと、遠くに波の音も聞こえている。これはヘクターが死後に到達したどこかで聞いている音なのか。この音は、マットが彼にした「またそのビーチに行ける」という約束が果たされなかったことにも思い至らせる。

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 このエンディングの素晴らしさに、それまでのすべてが吹っ飛ぶ。そう、デアデビルが生きている世界は、ヒーローが容赦なく殺される場所なのだ。監督は、第2話から続投のマイケル・クエスタ(『アメリカン・アサシン』)。ヘクターの物語は同じ監督が完結させている。

 また今回は、マットの弁護士としての能力が発揮されるのも見どころ。裁判の証人を法廷に出頭させるためのトリック。裁判で、陪審員を説得するために被告がホワイトタイガーであることを提示する大胆な作戦。こうしてマットが弁護士としての見事な腕前を発揮する一方で、検事側の最終弁論も巧みで、判決の結果は予測が難しい。このシリーズの持つ、法廷サスペンスとしての魅力をたっぷり味わわせてくれる。

『スパイダーバース』とリンク?気になる人名

 第3話でも、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)とのリンクが登場。大きなネタでは、モラレス巡査という警官の名前。裁判中に読み上げられる、ホワイトタイガーの善行を記録した警察官たちの調書に含まれている。この人物は、アニメ映画『シウパイダーマン:スパイダーバース』シリーズの主人公マイルズ・モラレスの父親で警察官のジェファーソン・モラレスのことかもしれない。

 また、裁判の途中で挿入される街の情景で映るバス停留所には、MCUでお馴染みの飲料ピンゴ・ドセのポスターがある。ピンゴ・ドセは、映画『インクレディブル・ハルク』で初登場し、『アントマン』などにも広告が登場している。

 原作コミックとのリンクでは、ホワイトタイガーの妹と姪への言及だ。ホワイトタイガーは裁判中、妻は現在、彼の妹や姪と同居していると発言するが、コミックでは、彼の姪は彼の死後、2代目ホワイトタイガーになり、彼の妹は3代目ホワイトタイガーになる。

 そして「Marvel デアデビル」とのリンク。マットは裁判で警官の顔の打撲の痕跡を見て「ボクシングではこう言う、“アザが嫌なら殴られるな”」と言うが、これは幼い頃に殺された彼の父親がボクサーだったことを思い出させる。また、キングピン/ウィルソン・フィスク(ヴィンセント・ドノフリオ)と妻バネッサ(アイェレット・ゾラー)の会話に登場する「ルシアン・フロイドの3つの習作」は実在する絵画で、フランシス・ベーコンの1969年の作品。この夫妻の趣味の良さは相変わらずだが、これは「Marvel デアデビル」でバネッサが画廊に勤めていて、フィスクがその画廊に通っていたことも思い出させる。

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忍び寄るミューズの影…

 そして見逃せないのが、第1話のラスト近くで通りの壁にフィスクのグラフィティを描いていた、シリアルキラーでグラフィティ・アーティストの悪役ミューズの痕跡だ。マットに協力する元刑事チェリー(クラーク・ジョンソン)が、証人の隠れ家に向かう途中、通りの壁にパニッシャー(ジョン・バーンサル)のグラフィティが描かれているが、その右下に「ミューズ」と署名がある。

 そのパニッシャーの画の額に「Triggered(開始された、起動された)」という文字が書かれているのも気になるところ。これは、ラストに登場したパニッシャーのドクロマークと、何か関係があるのだろうか。そしてこのホワイトタイガーの射殺には、自警団を目の敵にするフィスクが関係しているのだろうか。    さらに、マットの気持ちが揺らいできたことも見逃せない。彼は第1話で親友フォギー(エルデン・ヘンソン)を救えなかったことから、デアデビルとして活動することを自ら封印した。しかし、ホワイトタイガーの裁判中、彼がヒーロー活動をする理由を問われるたびに「それが正しいことだからだ」と答えるのを聞いて、マットの心は揺れる。そして裁判の後、彼はデアデビルのマスクの破片を握りながら、想いに沈む。そんなマットが、ホワイトタイガーの死を知った時、何を思うのか。マットの心境の変化からも目が話せない。

「デアデビル:ボーン・アゲイン」ディズニープラスにて独占配信中

(c) 2025 Marvel

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